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いつかまた会えたならば  作者: 旅人


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黄泉の国に向けての準備

 太陽の女神は、黄泉の国への道と注意を聞いていた。

盲目は何故か女神たちに求婚されている……。

赤髪に整った顔立ち、何枚も布で重なってるが少しだけチラ見えする鍛え上げられた肉体美。元は初代熾天使故に礼儀を重んじるが……流石に話を聞ける状況ではない。

私はイラッとして、盲目を地面に埋め込んだ。

和かな笑みで、太陽の女神の話を聞いていた。

「……では、黄泉の国へ至る地図と、この衣を」

女神が差し出したのは、ひどく泥に汚れ、死臭に似た湿り気を帯びた襤褸ぼろだった。

私は眉を顰め、その布を手に取る。

「……随分と無作法な装いだな。これで向かえと言うのか?」

「ええ。あちらはこちらとはことわりが真逆の場所。

清浄な衣は、あちらの住人にとっては『私はまだ生きています』と叫ぶ灯火のようなもの。

その襤褸を纏い、死者の泥を被ることで、ようやく奴らの眼を欺けるのです」

女神はさらに、血のように赤黒く変色した干し肉のような塊を突き出した。

「そして、この食料以外は決して口にしないでください。

黄泉の竈で焼かれたものを一度でも含めば、あなたの魂は腐り落ち、二度とこの陽の光の下へは戻れなくなります。

……たとえ、愛しい者の声で食を勧められたとしても、です」

私は息を呑んだ。黄泉の国とは、そんな場所なのか。

太陽の女神は、静かに続けた。

「黄泉の国は、死者の静寂の底。

陽の光は届かず、風も音もなく、ただ重い闇が満ちている。

そこにいる者たちは、生者の気配を嗅ぎつける。

清らかな魂は、たちまち群れをなして襲いかかる──

腐った肉体に引きずり込み、永遠に一緒にいようとするのです。

道中には、黄泉比良坂ひらさかという坂があり、

生と死の境界を示す大岩が立ちはだかる。

それを越えれば、もう後戻りはできません。

さらに、泉の川──黄泉の川が流れ、

渡る橋は朽ち果て、底なしの闇が口を開けている。

渡るには、死者の名を借りるか、魂の一部を代償に払うか……。

そして、最奥にいる黄泉の神は、

生者を決して許さない。

愛しい者の姿を借りて誘い、

甘い言葉で魂を奪う。

……あの方は、そんな場所の奥深くに封印されています。

きっと、貴方を待っているでしょう。

でも、会えたとしても──

戻れる保証はありません」

私は、短く息を吐いた。

単なる旅ではない。

一歩間違えれば、存在そのものが闇に溶け、

永遠に「あの子」と一緒に腐る境界への侵入なのだ。

地面に埋まり、なおも女神たちに囲まれ困惑している盲目の男を一瞥する。

「この蛇を頼む……私一人で行く」

太陽の女神に盲目を任せる事にした。

「承知いたしました。この者は私が、しかるべき時まで繋いでおきましょう。

……どうぞ、お気をつけて。門を潜れば、そこはもう神の慈悲も届かぬ、静寂の底ですから」

私は、最後に太陽の女神の忠告を胸に刻み、その地へ

地図を広げて旅を始めた。

襤褸を纏い、死臭の食料を携え、

何億年の疼きを胸に、

あの子に、ようやく会えるかもしれない場所へ。

私は…道中で奇妙な旅となることになるとは思いもしなかった。

皆様こんばんは 作者の旅人です!

活動報告書を書きましたので今週の投稿予定書いております。

そしてここまで読んでくださりありがとうございます。

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