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いつかまた会えたならば  作者: 旅人


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愛という記録

輝く者たちが上空で古き者の動きを監視している束の間の休息。

俺は管理者としての書斎を離れ、森の奥を歩いていた。

泣き声がした。

小さくて、か細くて、でも確かに、あの子の泣き声に似ていた。

そこにいたのは、赤子だった。

記録によれば人間と古き者の間に生まれた忌み子。箱に残る記録には、この子の父親は「天候を操る異質な存在」と呼ばれていた。人間たちは彼を「嵐の支配者」あるいは「異形の長」と呼んで恐れていた。その異質な血が混じっているからこそ、この子は社会から疎まれていたのだ。

汚れた布にくるまれ、誰も手を差し伸べない。

誰も拾わない。誰も、見ようともしない。

俺は、ただただ寂しくて、手を伸ばした。

その子は泣き止み、俺を見つめた。透き通った瞳が、確かに俺の姿を捉えている。

「認識」されたことで、俺はこの世界に縫い留められた。その事実に驚きながらも、俺はその体を抱き上げた。

理の外にいる俺は、通常は形を持たない。

だからこそ、必要なら「形」を借りられる。

箱に残る膨大な記録庫から、人間や動物の「母親」の残滓を呼び出し、

温もり、匂い、鼓動、子守唄を闇で包み、仮初の肉体とした。

触れられない手で触れ、

見えない腕で抱き、

声なき声で歌った。

記録は数時間しか持たない。

だから毎晩、同じ母親を再起動させた。

朝になると記録は消え、俺はまた姿なき闇に戻る。

だが長く維持するコツが、少しずつ掴めてきた。

その子は泣き止み、眠った。

俺は初めて知った。

「守る」って、毎晩自分を消し続けることなんだって。

名前はつけなかった。

名前をつけたら、また失うのが怖かったから。

毎日、草を摘み、歌を歌い、夜が来たら抱きしめて寝た。

その子は純粋だった。闇に染まらない小さな光。

だが記録によれば人は言葉を話し、理性を持つ。

俺に育てられたこの子は、本能でしか動かず、完全に獣のようだった。

輝く者が来たとき、俺の姿を見て戸惑った。

「原初が……人間に化けている……?」

俺は聞いた。

「どうやったらこの子は人として成長する?」

輝く者は少し考えたあと、冷徹に言った。

「原初はこの子の母になるのはいいが、人間とは群れるものだ。

 だが忌み子だ……誰も見てくれないだろう」

俺は困った。

輝く者は続けた。

「いっそこの世に消せば、忌み子も楽だろう」

俺は咄嗟に叫んだ。

「こいつには罪は無い! いくら輝く者達が正しくても!」

輝く者は静かに言った。

「ならば今世は人と合わせず、動物達と暮らした方が良いだろう」

俺は作り出した。

灰色の毛を持ち、獲物を狩るために生きる存在を。

忌み子よりも大きく、その背に乗り、嬉しそうにはしゃいでいた。

俺は複数体作り出し、人間と同じく群れる存在とした。

そんな時、俺たち(俺と輝く者)の次元を見れる人間がいた。

俺は近づいた。

輝く者は人間に優しく微笑んだ。

人間は忌み子を見て言った。

「この子の母親ですか」

俺は何故かびっくりしてしまい、姿なき姿に戻ってしまった。

 輝く者は人間に言った。

「この子供は、原初と呼ばれる存在と関わりがあります」

人間は子供の腕を支えた。

その瞬間、子供は四つ足から二足へ、立つことを覚え始めた。

人間から発せられる光の波動が、子供の成長の理を刺激したのだ。

「手伝ってくれないだろうか? この子を人として育てるのに」

人間は少し考えた後、了承してくれた。

そして条件を伝えた。

「貴方の存在を他の人に伝えてもよろしいでしょうか?」

「条件は分かったが、神としてではなく、原初と言って欲しい」

輝く者は人間と何かを話し合った。データ上の記録と照合しているようだ。

やがて、その存在に対する呼称について話が進んだ。

「では、**『原初の母』**として呼んでもよろしいでしょうか?」

俺は渋々了承した。しかし、それがこの状況において最も適切な呼び方だと理解した。

輝く者は、その場の状況を記録しながら、淡々と述べた。

「記録によれば、これは『家族』という事象に該当します。このサンプルの継続的な観察は、システム維持に有益です」

「俺が変なのか?」

輝く者は淡々と頷いた。

「記録によれば、あなたは『俺』と言う割に、『女性』という形状を多用している。整合性が取れていません。」

俺は記録で女性の言葉遣いを調べた。「私」を使うらしい。

「私でいいのか」

輝く者はついでに何かを取り出して渡してきた。

「そうです。あと……記録に基づいて服を着ることを推奨します」

私は少し困惑しながら、ぎこちなく服を着ている間に、

子供は人間と静かに過ごしていた。

……いや、人間は失礼だな。

私は呟いた。

「お主はこれからこう呼ぶとしよう。目が赤いから、『赤目』で」

赤目はため息をつきながらも、

少し不服そうだったが、

子供を抱き上げて、優しく話しかけているようだった。

私は赤目と子供が心を通わせているのを感じた。

その光景は、私の中に、

これまで記録に存在しなかった、壊れやすい感情を芽生えさせた。

私はその感情データを『愛』と名付け、大切に記録した。

これ読んでくれている方へ

作者の旅人です……ここまで読んでくれてありがとうございます。作者は初めて小説を書いております。

私は夢を毎日見ているのでたまに連続して見ることもありますが私の夢物語を楽しんでいただければと思います

次の書いておりますので早くて今日遅くて明日になると思われます

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