修復者と眷属の仲
私は、修復者が戻ってきたのを確認して、改めて出席者を確認する。
眷属、修復者、天の主、盲目、私(原初)、女神、悪の魔術師、輝くもの(盲目が退いた後に継いだリーダー)。
の8人だ。
議題は、救済主の降臨についてである。
天の主「すまないな……これからについてと、救済主を送り込む話だ」
修復者は、すぐに異議を唱え始めた。私は皆の意見を聞きながら、静かに様子を見ることにする。
修復者「そんなん……また縛るだけだよ。人間界を締め付けて、何人が壊れると思ってんだ? そんなにメリットあるのか?」
その声には、いつもの反骨精神以上の、かすかな震えが混じっていた。試練の記憶が、まだ鮮明に残っているのだろう。
眷属は資料を読み込みながら、穏やかに諭すように言った。
眷属「えーと……修復者。一旦ちゃんと資料読もうか。今回は前とは違うよ」
修復者は苛立つ。いや、苛立ちを隠せない様子で噛みついた。
修復者「あっ? 年功序列の偉いだけてっか? お前らには、あの痛みが分からないんだろ」
……反骨精神はいいが、今回は少し違う。私の中にも、あの試練での確認不足が棘のように刺さっている。
原初「修復者……黙れ。会議にその感情は必要ない。今は、全体を見据える時だ」
修復者は唇を噛んで黙った。盲目が、その光景を静かに見つめながら口を開く。
盲目「まぁ……修復者が言いたいことは分かります。でも、今の現状はこの人間界の救済を考えなければなりません。あのままでは、取り返しがつかなくなる」
悪の魔術師はそれを聞きながら、いつものように笑みを浮かべていたが、目は真剣だ。
悪の魔術師「でもさ? これだと悪役必要じゃね?」
皆が小さく頷く。
天の主「悪が必要か……」
私を見てくる。確かに、うってつけの役割ではある。
原初「悪役になれと? 構わないが……派手にやったほうがいいか?」
盲目と悪の魔術師は、自分達が選ばれると思っていたようで、少し残念そうな顔をした。
輝くもの「私は賛成ですね。そうすれば救世主が活動しやすくなる」
眷属と修復者は、私の方を見る。
眷属「汚れ仕事、好きですね……」
それに同調するように、修復者が小さく呟いた。
修復者「ほんとな……そういうとこだぞ、本体」
その一言が、胸に刺さった。試練の後、私がまた同じ道を選ぼうとしていることに、修復者は気づいている。
私は頭に血が上ったが、感情を抑えて二人を反省部屋に閉じ込めた。残りの5人は、複雑な表情で苦笑していた。
天の主「救世主候補はもう決まっている。天使達から一人出している」
私は、悪役のフリの準備をしなければならない。
原初「分かった。これからは忙しくなりそうだ」
盲目と悪の魔術師は、天の主を見ていた。
悪の魔術師「主よ……天使に戻れるチャンスを頂けないでしょうか?」
天の主は少し悩んだ後、静かに答えた。
天の主「いつかチャンスをやろう。その時は、修復者と眷属の守護をやれ」
悪の魔術師は素直に喜び、盲目がその様子に微笑む。
盲目「まぁ……良かったな。チャンス貰えて」
輝くものは異議を唱えようとしたようだったが、主が決めたことには口を出さなかった。
その後は話し合いの末にまとまり、決行日も決まった。私は、その日が来るのを待ち続けることにする。
その前に、閉じ込めた二人を出すか……反省部屋の中で、二人は案の定争いに発展していた。
私は部屋に大量の水を流し込み、二人を強制的に落ち着かせた。被害者の苦しみを思い知らせる、一つの方法だ。
眷属が濡れた髪を払いながら、ため息をつく。
眷属「もうちょっとマシなやり方、ありますよね……?」
修復者は気絶しているが、問題ない。死なないからな。
原初「別に良いだろう。これくらいでなきゃ、伝わらないこともある」
そして、私は二人を宇宙船に乗せ、誰も聞けない密室に連れ込んだ。
今度こそ、ちゃんと話さなければならない時が来たようだ。




