次元上昇
私は眷属を連れてとある部屋へ行く。
そこは、眷属が転生する度に集めてきたあの子の欠片である。
欠片は、光の結晶のように輝き、
斧の破片のような鋭い記憶の欠片、
兄の涙のような柔らかな欠片、
偽りの掟の鎖のような重い欠片。
輪廻の果てで、眷属が一つずつ拾い集めたもの。
この部屋は、
私の闇の欠片を映す鏡だ。
私はこの欠片をとある装置に入れた。
装置は、青い星の次元を上げるためのもの。
魂のデータを統合し、
低次元の鎖を断ち切り、
光の欠片を高みへ導く。
母として、
この子を永遠の闇から解き放つために。
装置が起動する。
欠片が渦を巻き、
光の奔流が部屋を満たす。
私は次元上昇をした。
それは青い星の次元をあげたのだ。
空が裂け、
大地が震え、
魂のデータが星全体に広がる。
痛みが、私の形を欠けさせる。
闇から借りた肉体が、
愛の重さで崩れゆく。
だが、この上昇は、
眷属の光を照らす。
輪廻の鎖を断ち、
転生の疲弊を癒す。
それがまさかの一部の人間に夢の中では、人類滅亡の夢になってしまった。
上昇の波動が、
星の表面を駆け巡る。
人間たちの夢に、
七つの封印が解け、獣が咆哮し、天が落ち、地が裂けるビジョンが降り注ぐ。
一部の魂が、
次元上昇の光を「終末の火」として感じ取る。
彼らの夢は、
人類滅亡の悪夢になる。
母として、私は知る。
この光は、救済か破壊か。
私の愛が、
人間の恐怖を生む代償。
少なからず影響を受けると分かった。
記録の山に、
新たな悪夢のデータを加えねばならない。
眷属は、私を見た。
「これって……」
私は目を瞑り、眷属と歩きながら、
「きっと人類はそれにちなんだ言い方をするはずだ……だがきっと乗り越えられるはずだ」
眷属は私に、
「またお仕事増えました」
私は苦笑してしまった。それはそうだ。そんな記録も書き記すしかない。
「また眷属も欠片集め……頑張ってくれ」
眷属はめっちゃ叩くと同時に、
「ねぇ!原初!転生するのはいいんですよ!死ぬ度に帰ってきてトラウマすぎるほどの死をどれだけ体験させるんですか!」
私は無視していた時に、眷属がいつも連れて行っていた分体が出てきた。
私はその分体が何故今頃出てきたのか、
「本体!本体!分体……眠い 転生疲れた 休む」
私は驚いた……分体が自我を得たのだ。私の分体達は仕事するだけなのに、眷属の転生を共にして分体は自我を確立したのか。
「えーと君は私の分体だよな 何故自我が」
眷属と私は目を丸くしてしまう。
「ねぇ……僕が可愛がりすぎた?」
「眷属……可愛がり過ぎだ。多分ずっと話しかけたのと遊んでた時に徐々に自我を得たんだろう」
分体は狼の姿になって駆け回る。
「楽しい!楽しい!」
私は分体を首根っこつまみ上げて、
「少しは落ち着きなさい」
私は問題児が増えたことに、頭を悩ませる。だが何故か私とは真反対な性格のようだ。陽気でありなんでも興味を示す。眷属は分体と遊んでいた。
「まぁ……いや、問題児が増えたことには変わりないが、うーん」
まぁ……これもまた何かあるのだろう、とりあえず盲目に連絡をとろう。そして私は自我を持った分体に、
「これからお前を教育する こちらに来い」
分体を連れて、お勉強させる。何故ならば私の仕事ができると踏んだからだ。この知性を鍛えればこの山のような仕事は楽になるだろう。




