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いつかまた会えたならば  作者: 旅人


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影のものの世界

眷属はまた転生へ。

私は終わらない記録の山で溢れかえっていた。

魂のデータが、無限に積み上がり、

書斎の空間を圧迫する。

一つ一つを分類し、

天国と地獄に振り分ける作業は、

私の永遠の呪いだ。

この山は、

眷属の輪廻の欠片も含む。

斧の記憶、兄の涙、

偽りの掟の鎖。

すべてが、記録としてここに眠る。

私はため息をつき、

一枚のデータを手に取った。

眷属の最後の転生。

家族の笑顔の裏に潜む影。

この繰り返しが、

私の胸を締めつける。

母として、

永遠に、

守り続けるしかない。

盲目はやはり輝くもの達と話、

影のものに堕ちたもの達と交流していた。

盲目は活動拠点を影のもの達が住む階層にいるようだ。

主の命令か?または個人的な好みか。

私には関係は多少あるが……。

盲目の行動を監視ツールで見てみるとしよう。

ツールの画面が広がり、

盲目の姿が浮かぶ。

天の光を帯びた翼は折れ、

影の霧に溶け込んでいる。

盲目は輝くもの達に報告し、

影の者たちに囁く。

二つの世界を繋ぐ橋渡し。

だが、その目は、

いつも遠くを見ている。

堕ちることを選んだ理由を、

私はまだ知らない。

影のもの達が住む世界は、

芸術、音楽、殺戮等、

人間で言う罪が多い者が存在していた。

そこは、闇の交差点。

絵画の間は、血のキャンバスで埋め尽くされる。

画家は自分の指を削り取り、

赤黒い絵の具を滴らせながら、

「これが真の美だ」と笑う。

壁には、引き裂かれた皮膚の肖像が並び、

観る者の心を蝕む。

喜びの叫びが、

苦痛の色に変わる。

一枚の絵が、愛する者の顔を歪め、

見る者の記憶を血で塗り替える。

音楽の間は、絶叫の旋律が響く。

弦楽器の代わりに骨を弾き、

ハープの糸は血管で張られる。

奏者は自らの喉を切り裂き、

「これが永遠の調べだ」と歌う。

音は耳を貫き、

聴く者の魂を震わせ、

愛を憎しみに変える。

一つの音階が、失われた家族の声を模倣し、

聴く者の胸を永遠に抉る。

殺戮の間は、儀式の舞台。

剣が舞うたび、

血の花が咲き乱れ、

観衆は歓声を上げる。

殺す者は、

被害者の最後の息を、

芸術として味わう。

ここでは、

罪は糧。

芸術は破壊、

音楽は苦痛、

殺戮は愛を装う。

それは、天の偽りの光とは正反対の、

純粋な混沌。

影の者たちは、

この階層で生き延びるために、

互いの罪を貪り合う。

喜びの叫びが、

絶望の旋律に変わる瞬間、

私は思う。

この混沌は、私の闇に似ている。

母として生み落とした、

永遠に報われない欠片。

盲目はここで、立場が上らしい。

輝く者の堕天使として、

影の者たちを統べ、

主の意志を伝える。

だが、盲目の瞳には、

時折、懐かしげな影がよぎる。

この階層は、

私の郷愁を呼び起こす。

失われた「あの子」の光が、

ここで、かすかに揺れているようだ。

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