令嬢の遺言状―首を拾えば桔梗が咲く―
令嬢の遺言状
あるところに若き貴族がいました。
彼は婚約者である令嬢がいましたが、令嬢は罪を犯してしまい、処刑が確定してしまいました。
この遺言状は、その令嬢から貴族に送られた最期のメッセージです。
===================================
私の親愛なる婚約者様へ
楽しく現在お暮らしになっていることかと思いますね。私がいないのだから。
知っているとは思うのだけれど、私は明日死刑執行が確定してしまったのよ。
儚い人生だったとは思うけれど、最期に貴方に手紙を送ろうと思うの。
ずっと今から昔、忘れもしないあの日。婚約の告白は貴方からしてきた。
冷たい態度で私は軽くあしらったというのにあなたは全然諦めもしない。
とっても滑稽だったわ。本当に本当にあの時の貴方は惨めで無様だったわ。
しつこく迫ってくるもんだから、つい呆れて同意してしまったのは私のミスね。
貴方は子犬のように喜んでいたわね。本当にうざったかったわ。
忘れもしないあの姿。貴方は転んで泥だらけになったの。本当に汚かった。
折角だから最期に貴方にメッセージを送るわ。
断頭台に貴方がこの手紙を読んでいるころには私が立っていることでしょう。
つまり、『私の首』が吹っ飛ぶってわけ。どう嬉しいでしょう?
大層いい御身分の貴方は遠くから私の死を見るのでしょうね。
今まで散々あなたに対して惨い仕打ちを繰り返したのだから、因果応報よね。
まぁ、どうせすぐに貴方には別の婚約者ができるのでしょうね。
まさしくこの私のように貴方の財力目当てで飛びつく女が大勢現れるでしょうね。
出来損ないの貴方を好きになる人なんているわけじゃない。
有り得ないことをすぐに考えるのはやっぱりあなたの悪い癖ね。
理解力。貴方に足りないものね。これからもずっと苦しみ無様に死んでほしいわ。
我慢強い貴方はこの遺言状を読んでも、何も感じないのでしょうね。
とんだとばっちりを食らった気分ね。本当に最悪だわ。
運が本当についていなかったわ。貴方と婚約なんてしなければよかった。
===================================
遺言状の封には私の婚約者であった令嬢の名前とメモが記され、彼女が好きな桔梗の花が一輪添えてありました。
「私が死んだ後は『私の首』をさっさと拾ってね。貴方を私は一生許さないし、忘れないのだから」
若き貴族がこの手紙を読むときには、既に令嬢は断頭台の上に立ち、彼女の首が切り落とされて、処刑されてしまいました。
こんにちは。山崎桜です。このお話、私がわざわざ傍点を振った「首」がポイントになっています。「首」というのは、「くび」、「しゅ」とも読みますが、また別の読み方もございます。あなたが読んだ手紙の「首」を拾えば、そこに何かが隠れているかもしれません。それを踏まえてもう一度読み、彼女が落とした「首」を拾ってあげてください。
また余談ですが花言葉も調べてみてはいかがでしょうか。




