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烏の王のフロールヴ  作者: 生値命
第一章
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カラスを操る力

 先ほどの儀式で自分の肉片を持ってきた鴉だろうか。それが一羽、歩兵隊長の頭上をからかうようにまとわり付いたのだ。歩兵長は剣で振り払おうとするが鴉はそれをことごとくかわしていく。


「くそ!邪魔だ!」


 今しかない。


 フロールヴは頭上の鴉に気を取られている歩兵隊長の懐に入りこみ、短剣で鎧と兜の隙間の顎にあたるであろう部分を突き刺した。肉を突き刺した実感がある。

絶叫をあげる事もできず自身の血に溺れながら歩兵隊長が地面に倒れる。

 さきほどの鴉は死体と化した歩兵隊長の兜の上にとまりフロールヴの方を見つめていた。ふとある考えがフロールヴの頭に浮かぶ。


「お前、俺の命令に従うんだな?」


 鴉はカァァと鳴き声で答えた。フロールヴはそれを肯定の返事だと感じた。

フロールヴは周りを見回す。敵の数は減ったものの味方と敵の集団はまだ戦っている。それなら敵の戦意を喪失させる為に敵部隊をまとめて率いている本物の隊長を倒すしかない、とフロールヴは考えた。

 その隊長はすぐに分かった。農場の入口付近におり、綺麗な鎧をまといオレンジ色のマントを着て馬上で剣先で部下の兵士達に命令をくだしていた立派なひげを生やしていた男がまさにそれだった。しかしフロールヴとの距離は遠く、おまけに間に敵と味方が入り乱れて戦っていた。石を投げて届く距離ではないし、飛び道具は手元にも殺した兵士達からも見つからなかった。


 ふとある考えがフロールヴの頭に浮かぶ。一羽でも鴉を操れるなら飛び道具の代わりに出来るのではないか。


「いってくれ!狙いは馬だ!」


 フロールヴが隊長と思わしき男の方を指さして命じた鴉は死体から離れ勢い良く飛んでいく。カラスを操るのは不思議な感覚で、勢いよく飛んでいる感覚と徐々に馬に近づいているのが分かる視覚をカラスと共有している感じがした。そのおかげですぐに狙い良く馬に飛びついた。この騎兵たちは急いでこの農場に来たのであろう。鎧をまとう対策も施されていない馬は騎兵にとって弱点でもあった。勢いよく飛んだ鴉は馬の頭に止まり、その鋭いくちばしで馬の頭を激しくつつき肉と皮を食いちぎった。たちまち耐えられなくなった馬が激しくあばれ乗っていた敵の隊長を地面に放り投げてしまう。

 落馬した隊長はその衝撃で骨を折ってしまったのだろう。その激しい絶叫に気づいた周りの敵兵達が衝撃を受けていたのが分かる。

なんとフロールヴはカラスを操る事が出来た!

楽しんで頂けたら高評価お願いします!

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