凄惨な現場
冷たい雨が降りしきる暗い夜。建物の廊下は静寂に包まれていたが、ある一室だけが異様な空気を漂わせていた。
ベッドの上には、布一枚をまとった女性が横たわっている。肌は汗に濡れ、身をよじらせていた。彼女はすでに手酷い仕打ちを受けており、恐怖と痛みに追い詰められていたのだ。
部屋には冷たい目をした男がいた。その傍らには数人の従者たちが控えている。彼らは男を崇拝しているようで、その仕草や表情には深い敬意がうかがえた。
やがて、ベッド上部の照明がつけられた。強烈な光が彼女を照らし、彼女は膝を抱えて身を縮めた。
数秒の沈黙のあと、男と従者たちは互いに頷き合った。それが儀式の始まりを告げる合図だった。従者の一人が彼女の背後に回り、無防備な背中に針を突き刺した。短い悲鳴が静寂を引き裂く。
彼女の唯一の願いは、この怪しげな儀式が一刻も早く終わることだろう。しかし、運命は彼女に対してあまりにも無情だった。
男が布をめくり、露わになった腹部に向けて鋭利な刃物を振り下ろしたのだ。
だが、彼女の表情に痛みの色はない。感覚が麻痺しているのか、それとも放心状態に陥っているのかもしれない。
ただ、時折聞こえる男と従者の会話に微かに反応しているので、意識はあるようだった。それは何よりも残酷なことだった。
男は彼女の傷口を手で押し広げ、冷酷な器具で固定した。そして、刃物でさらに内部を切り裂き、その手を腹の中に差し入れ……にやりと笑った。笑ったのだ! 血にまみれていく自分の手を見て、喜んでいるかのように……。
ついに男は彼女の内臓を取り出した。
従者が何かを呟くと、彼女の目から涙が流れ落ちた。自分の死が近いことを悟ったのだろう。
しかし、残忍な信奉者たちは満足しなかった。残酷な運命を確定させるかのように、従者の一人が取り出した内臓を抱え、彼女の顔の前に差し出したのだ。
すると……彼女は笑った。ああ、絶望のあまり、狂気に陥ったのだ。彼女にはそうすることでしか、自分を守る術がなかったのだ! そして――ここで、偵察の昆虫型ドローンが発見され、通信が途絶えた。
だが、それでよかった。私にはこれ以上、見続けることは耐えられなかった。
厳戒態勢の建物内部で行われていたのは、このような悍ましい儀式だったのだ。
通信が切れる直前、従者が彼女に言い放った言葉はまだ解読中だが、おそらく彼女の死を宣告するものだったのだろう。なんて残酷な生き物なのだ。地球人というのは……。
『おめでとうございます。元気な女の子ですよ!』