【第1章】指輪と光と犬とキスと_011
「あんた記憶が……!?」
「わたくし、『夢』の内容はよく覚えている方なの。だからあなたがわたくしに何をしたのか、わたくしがあなたに何をしたのか『全て』知っている!」
エルミーナが一言発するたび、ローラッドの手を押さえつける力が増す。
彼は息を荒くしたエルミーナをなんとか振り解こうとするが、リリスの毒の影響かうまく力が入らない。
(クソッ……また『アレ』を使うハメになるのか!)
『夢幻夜行』。
目を見た相手を眠らせ、さらに『夢』を見せることで操る技能。
その源流は、リリスの『支配』。
忌むべき血縁の力を、ローラッドは再び行使しようとした。
だが。
「眩しいっ……!」
エルミーナの目は黄金色に発光していて、彼はとてもじゃないが目を開けていられなかった。
「あなたのプライマルはよくわからないけど、あの催眠術はとりあえず『目を合わせる』ことが条件なのでしょう?ならこれで封じたも同然だわ」
「忘れたのか!?俺には目の感度を……」
「調節してみますか?ダンジョンではしてやられましたが、タネさえ割れればこちらのもの」
喋りながら、エルミーナの輝きはどんどん増していく。
「感度を誤魔化したって『熱』はそうもいかないでしょう?わたくしの光線出力の最大値は見せた通り。あなたの目の限界まで、わたくしという『太陽』と勝負しようというなら止めませんけど!」
「マジでヤバいなそのプライマルっ」
「お気づきになられまして?でももう遅い。裸を見られ、そのうえ犬のように扱われて、撫でられて……!わたくしの貞操はもうボロボロ。だから全部あなたに引き取ってもらいます!」
「落ち着けって!俺はあんたをそんな風にしたかったんじゃない!」
「それに……おほほ、つ、番ってしまえばあなたの『根源資質』も調べたい放題っ!」
「本音はそっちかクソッ!」
「さあ大人しくなさい!今再びッ、裸になって差し上げますわッッッ!」
恥を振り払うのに気合い十分。
エルミーナはローラッドの手を離し、自らの服を素早くはだけた。
真っ白であらゆるところが見えてしまっている危険なデザインの下着と、それに包まれた双子の山がばるんと飛び出る。
この隙にやるしかない。
「目を見れないならっ」
ローラッドは露わになったエルミーナの腰、正確には脇腹に指を這わせる。
「今さらくすぐり攻撃ですか?しかしわたくしはもう下着を外すところ。おなかを掴んだ無礼は不問にしますから、大人しくしなひゃあん!?」
ローラッドが指を少し動かすたびに、エルミーナは彼に跨ったまま身をよじらせ、悲鳴をあげた。
彼女が外しかけていた下着はもはや、その豊かな胸部になんとか引っかかっているという状況だ。
『勝負』に茶々を入れられた屈辱と込み上げる快感に肩を振るわせながら、黄金の令嬢はその輝く瞳で眼下のローラッドを睨みつける。
「な、何を、しましたのっ、んんぅっ!?」
「『感度自在』で俺ではなく、あんたの『感度』をいじった。少しのくすぐりで何倍もの刺激として感じるようになる……困ったことに、この技はこっちが『本来』の使い方なんだよ」
「そんな意味不明な!?」
「全く同意だ!こんなことしたくはないが、しばらく『夢』のような快楽に溺れてろ!」
「ちょっ、やめっ……あっ、んんっ」
絶え間なく迫る快楽の波をエルミーナはなんとか耐えようとする。
彼女が悶えるたび、固く結んだ唇の隙間からは唾液と吐息が漏れ出し、溢れる熱情は汗となり、ベッドの上を淫らに濡らしていく。
こみあげる悦を受け止め続けながら、女は慈悲を求めてローラッドを見つめた。
だが、やめない。
ローラッドはエルミーナが完全に骨抜きとなるまで、指を止めるつもりはない。
家と言うにはやや手狭な部屋の中。
少女の華奢な肩が震え、汗と唾液の混じり合った淫雨が豊かな双丘からこぼれ落ち、脳を焼くような甘い喘ぎ声が響く
街灯も消え、夜の帳が完全に下り切った世界で。
小さな一室に顕現した淫蕩の空間の主人、ローラッドは……
(なかなか折れねえな、こいつ)
正直、ちょっと焦り始めていた。
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