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337°
あんずにもたれるときもあれば、手すりをつかったりもして、ようやく俺の家の前までやってくる。
何もなければ10分かかるかどうかといったところのはずだが、とても遠くに感じる。
「……また明日、かな」
あんずは俺が無事に玄関先にある手すりにつかまったのを見届けてから、しおしおと手を振って、俺と別れようとする。
「あ、そうだ。一つだけ聞いてもいいか」
帰ろうとしてもう2歩ほど歩いているあんずを、俺は引き止める。
「どうかした?」
「あのさ、聞きたいんだけどさ……」
と思いを考えて言葉を無理やり紡ぎだそうとしていく。




