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329°
放課後、俺が教室で荷物を片付けて座って待っていると、あんずがヤアとやってきた。
周りも俺とあんずが幼馴染でずっと一緒につるんでいるということを知っているから、とかく何か言ってくることはない。
「待った?」
「いや」
今着いたところ、とか言おうとしたが、さすがにそれは嘘がすぐにばれる。
どうせ俺は今はほとんど動けないんだ。
正直にいかせてもらうのが一番だろう。
「持ってあげようか、荷物」
「おう、ありがとう」
通学用に使っているリュックサックを、彼女の言葉と一緒にひょいと机のフックから上げて、そのまま渡す。
「行ける?」
「もちろん」
杖を使って椅子からしっかりと立ち上がりながら、俺へとあんずは言った。




