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それでも俺は、あんずが欲しいであろう答えを伝える。
「うれしかったよ」
「ほんとに?」
疑っているのは、口調とその表情からはっきりと見て取れる。
「ああ、当たり前だろ」
疑うことがないように、俺ははっきりと答えた。
それを聞いて、ようやくホッとした顔色になる。
「よかったぁ。それを聞いてやっと一息付けるよ」
ごはんのこともあってか、口調とは裏腹に机の上にもたれかかるようなことはしなかった。
もしもなければ絶対べったりと引っ付いていたことだろう。
「それで、あれってさ……」
「これのこと?」
予想通りというべきか、あんずがヒョイと机の端に引っ掛けていたカバンから、俺がもらったのとそっくりなものを取り出した。




