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305°
はじめの間は、ただ沈黙だけだった。
「……ねぇ」
黙々と食べているのにも飽きてきた、ちょうど弁当も半分くらい食べたころに、あんずが俺へと声をかけてくる。
「どうかしたか」
俺は橋を上げ下げしながら、ゆっくりと弁当を食べる。
「あの箱、どうしたの?」
「ああ、開けたよ」
ひょいと一口おかずを食べ、それからご飯を食べる。
「……どう思った」
「どうって言われてもなぁ……」
ある意味、答えに窮する質問だ。
きっとあんずが欲しい答えはただ一つだけだし、それはどんな内容かはわかっている。
でも、その正しい回答以外を、思わず言ってしまいそうになってしまっている自分がいた。




