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中身は指輪、それとキーホルダーの組み合わせだった。
「これって……」
指輪は俺の人差し指の大きさにぴったり合う。
キーホルダーにはあんずの名前がローマ字で刻まれていた。
もしかしたらあんずの手の中には俺の名前のキーホルダーがあるのかもしれない。
これを見てようやく家で空けるようにと何回も何回もあんずが言ったことに合点がいった。
要は恥ずかしかったのだろう。
目の前で開けられて、しどろもどろになるあんずの姿、ということは思い浮かびにくいが想像できないわけではない。
「なるほどなぁ」
指輪は銀色だがどうやらチタン合金のようだ。
キーホルダーのほうは虹色に輝いて見えるように、何かしらの塗料とラメが入っているらしい。
次学校に行くときには指輪は付けられないが、キーホルダーのほうはカバンにでもつけていいかもしれない。
もっとも、どんなふうにからかわれるか目に浮かぶようだが。




