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「……あの、それで。相談していたアレは」
あんずが座ると早速、俺にはわからないことを話し始める。
「すでに準備しております。少々お待ちください」
にこやかにカウンターの向こう側にいる店員があんずに話しかけている。
言って、店員がすっと立ち上がると、店の裏側に何かを取りに行く。
俺があんずに何かを尋ねるよりも先に、店員がけっこう大きな白い箱を1つ、そして手のひらにすっぽり入るくらいの小さな白い箱が1つ、それぞれ俺らのところへと持ってきてくれた。
「こちらになります」
「ありがとうございます」
箱の中身は俺には見せてくれないようだ。
ただ、大きな箱には快気祝いという熨斗紙が丁寧にかけられているのはわかった。
「とりわけ用の袋はお付けになりますか」
「お願いします」
にっこりとしているあんずに、店員が大きな袋と小さな袋をそれぞれ手渡した。




