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位相  作者: 尚文産商堂


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36/59

180°

 頭の中に、千の声がこだまする。すべてがおなじ声だということに気づく。それが徐々に焦点が生まれてきた。言葉は脳内で意味が自然と生じて、必然、それを理解しようともがく。

 ふと周りを見る。ここは海だ。世界に沈もうとしている俺が、生きようともがいている海だ。それを考えた瞬間、ここは海と化した。流れる海水は俺を自然に水面へと水面へと押し上げていく。音が聞こえる。音は意味を成すわけではない。言葉は理解を超える、水面は意識の層だ。根の国から持ちあがる奔流に、俺の体は右へ左へと揺れ動く。

「負けないでっ」

 ようやっと理解できた。意味は分かった。手を差し出されるのが見える。波からの日差しが眩しいが、まだ深い海だ。だが今は違う。波が激しくなるのと、海中からの潮の流れに乗るのは同じぐらいのタイミングだった。そして、バッと波間から飛び出して、彼女の手をつかんだ。空の光が、海と混ざって、必要以上に視界を焼いていった。

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