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位相  作者: 尚文産商堂


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33/59

167°

 もしかしたら、こういうところがニライカナイというところなのかもしれないと思う。でも、俺はその単語を初めて聞いた。ここがどこかなんて、分かるはずがない。そもそも、ここってどこなんだろうか。考えても答えは出ないものの、あのホテルからの一連の流れだけで考えると、夢の中のままという考えが一番正しいような気がする。

「誰か、いないか?」

 小声で声を出してみるが、返事する相手はこの空間の中にはいない。もしかしたらあんずぐらいはいるかとも思ったが、どうも違うようだ。無秩序な世界は、それ自身が存在することによって秩序を生み出していく。ここが閉じた系であるならば、ここから何かを得られることはないはずだろう。だが、俺がいる。

 ここに俺がいることによって閉じた系から開いた系になったはずだ。必ず、どこかに出口か、別の入口があるはずだ。まずはそれを探すことにしよう。

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