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145°
カタン、カタン。と緩い振動が身を揺らす。地震かと思い急に目も覚めたものの、一瞬してからバスの車内であることに気づいた。町中で走っているような、長細い大きなバスだ。真ん中部分に乗り口、運転席の横に降り口がある。今俺がいるところは、後ろ半分の、少し高くなっている場所だ。
「……どうやって?」
誰かに聞いたわけではない、ただ気になったことを口走っただけだ。聞いている人は今はいない。運転手がいるかどうかはわからないが、きっといることだろう。何かを聞くよりかも前に心地よい振動が眠気を誘う。残りについては後に考えることにして、再びバスの中で眠りに就くことにした。




