136°
目が覚める。すぐに周囲を確認すると、やっぱり、あのホテルみたいな部屋にいた。違うのは、ドアが開きっぱなしになっていることぐらいだ。廊下は相変わらず部屋の前にあるし、そこから左右に伸びているのも変わらない。ペタペタと歩いていると、違っているところを発見する。
「なんでエレベーターが?」
それは業務用と書かれた、銀色の扉をしたエレベーターの扉だった。壁には埋め込まれている上下方向のボタンがあり、そこで操作することができそうだ。えー、と思いながらもまずは上向きをのボタンを押す。
「……来たんだ」
本当に来た、という思いの方が先に来る。チーンと電子音が聞こえると、ドアがゆっくりと開いた。中は、どう見ても何の変哲もない、どこかのマンションかのようなエレベーターだ。壁にはコルクボードが掛けられているが、今は何も張り紙の類がない。一歩入ると、すぐにドアが後ろで閉まってしまった。現在の回数を一瞬だけ目にすると、途端に猛スピードで上へ上へと上がっていくのがわかった。重力に押しつぶされながらも、意識を保とうとしていたが、しかし、いつの間にか落ちてしまっていたようだった。




