128°
小さなビジネスホテルの部屋のようなところで目が覚める。今までとは違うのは、夢じゃない、現実だというなぜか確信があるためだ。でも夢だ。いやでも気が付くのは、壁にあるデジタル時計が7月4日月曜日を示していること。学校に行かないといけないはずだが、いまはいかなくてもいいようだ。そもそもここはどこだろうか。六畳一間くらいの小さなところに、ベッド、化粧台、小さな壁掛けテレビ、縦横50センチくらいの冷蔵庫が1台詰め込まれていた。そこから寝ているベッドの足元から廊下が2メートルぐらい続いていて、ちょうどユニットバスが用意されていた。
「……見たことがあるな」
そうだ、さっきまで見ていた夢の通りじゃないか。よく見ると、部屋のドアにつけられていたはずの取っ手は床に落ちている。誰が外したかはすでに分かっていた。ドアを静かに開けると、さらに外にある廊下へと出る。同じような部屋のドアがずらりと並んでいる。右を見ても、左を見ても同じようなところだらけで、目印でもないと迷子になりそうだ。誰かいるような気配がないため、俺はそのままドアを開けておくのと、部屋番号を確認することにした。
「部屋番号は、5100と」
口に出して覚えた。わかりやすい番号でよかったと思いながらも、廊下を歩きだす。そういえば、部屋の中にあった使い捨ての、紙でできたようなスリッパをはいていた。いつの間に履いたか記憶はなかった。
廊下は25個の部屋がくると右へと直角に曲がっていく。そして同じような部屋がずらりと並んでいる。それぞれに部屋番号があるのだろうが、かすれて読めない。一つ一つ、ドアの取っ手を押し下げれるかを確認していっていたが、どれもすべてカギがかけられていて、開けることはできなかった。
しばらく歩いていると、50個目の客室の部屋のドアのところで、再び右へ曲がっていく。すると見慣れた景色が広がっている。さらに歩き続けて50個ドアを数えたところでもう1回右へ直角に。こうなるときっと、と思うとおりに、50つめのドアでまた右へ。すると開け放たれたドアが1つ見えた。
「あー、出れないのか」
ともかく今回は出れないらしい。誰もいないのなら、と思ってドアを開けっぱなしで部屋へと入る。するとバタンと手も触れていないのに勝手にドアがしまった。テレビがつくかと思ったが、どのボタンも今は反応することはない。電源ボタンも当然つかないし、本体のどこかに何かないかと思っても、つるつるする表面には、一つの傷も凸凹もなかった。何もすることができないなら、今はただ寝るだけだ。
「……おやすみ」
布団をかぶり、眠りにつくこととした。




