119°
何か夢を見ているような気がする。でも、あまりにも現実感が強い。これが夢というのができるのであれば、気が楽なのだが。しかし、やはり現実なのかもしれない。そんなふうな違和感を感じながらも、今日も目が覚める。時計を見ると午前6時、7月4日月曜日。体の上の重みで目が覚めたのかもしれない。顔を動かさなくても、なにがのっかってきているのかはわかる。
「……寝るんじゃないよ、人の上に乗っかってきておいて」
「えー、だってかなめくんが寝てるからー」
乗っかってるのは久崎あんず。幼馴染だ。ただ、この前から家に泊まっている。それもこれも戦争が悪い。一人で暮らすよりかは、ということで俺の家の空いていた部屋をあてがっていたわけなんだ。だったはずなんだが、なんでかだいたい毎日朝になると、こうやって俺の上に乗っかってきている。なんでかは知らない。
「んで、今日も今日とておきようよ」
「やだよ、今日は休みだろ。先生も召集されて今学校行っても誰もいないし。俺らだってどうなるかわからんぞ」
この前からどんどんと教職員も召集をされていて減っている。ただ戦況がよくなっているとラジオではずっと放送しているけども、それが嘘なんだろうなというのは薄々感づいていた。ただ気にしてはいけないという雰囲気にのまれて、俺も知らない間に考えないようにしているだけだ。
「ねぇ、じゃあ一緒に寝ようよ」
「はぁ?」
思わず声が出る。
「いいからいいから」
シングルベッドに2人。どう考えても狭い。だが、それが何か心地がいい。ずっとこんなところにいるかのような、そんな安心感を覚えるほどだ。気づけば、その気持ちよさに乗っかって、自然と二度寝をしていた。




