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位相  作者: 尚文産商堂
14/54

46°

 予報のとおり、豪雨が外を洗っている。ただ、ここまで大雨になるとは想像していなかったが。家には庭もあって、今は父親の長期出張に合わせて一緒について行ってしまった母親が昔していた家庭菜園跡がある。2階にある俺の部屋の窓からはそれが見えるのだが、どう見ても、土が流されていて下地に使っていた玉砂利のようなものがあった。

「ふわぁ~」

 寝ぼけた目で見ていたから見間違いかと思って、いったんあくびと、それから体を軽くストレッチでほぐす。陸上部でいろいろと教えてもらっていたから、ストレッチは一通り、一人でもできるようになっていたのが幸いだ。でなければ、単に伸びをおもいきりして終わっていただろう。時計を見ると、思ったよりも早く起きてしまっているようだ。日付は7月4日の月曜日。週の始まりの日としては、良くない方の始まり方にはなるのではないだろうか。

「ん、メールか」

 ストレッチも終わり、ベッドから3歩離れたところにある、壁際の勉強机の上で、一人きりで充電され続けているスマホを手に取ると、そこにはメールが3通きていた。うち2通は登録している市の広報メールで、警報が出たのと自主避難所が開設されたということだった。もう1通は通学中の高校からで、警報が出たからまず午前中は休校、午後については午前10時の時点で判断するという内容だった。そんなメールを読んでいると、ピロンとまたメールが届いたことを知らせる通知が来る。

「あー、まあそうなるよな」

 頭を軽くかきむしりつつ、そのメールの本文を読み進めた。陸上部の友人からで今日は休校だろうから、通信でゲームでもしようという誘いだ。部屋にあるタワー型のデスクトップパソコンは、モニターとその周辺機器ともども、どこかのeゲームにでも参加しているのかというぐらいのスペックがある。ネット通信ぐらいが心配なもので、ほかについては、通常使う分には何も問題はない。そこでこうして休みのたびにネトゲ―にはまっているわけだ。世界大会にも出たこともあるわけだが、2位で終わった。

「……はて」

 そういえば何か忘れているような気がする。でも、それが何かはわからない。まあいいか、と思って結局そのままゲームに没頭した。そのうちに、その何かを忘れたことを忘れた。

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