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【2巻発売中】転生皇女はセカンドライフを画策する  作者:


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459 キャラメルと熱意


ーうふふ。やっぱりあの時、みんなに相談して良かったわ。


稽古が終わり、お揃いのセーラー服を着てアデライーデがいるテントに向かってくるリネア達を観て、陽子さんはあの浴室での作戦会議を思い出していた。



リネアとフィリップをもう一度会わせてあげたいと口にした時、ミア達は揃って一瞬難しい顔をした。


みんな腐っていても王宮勤め人。可愛らしいカップルを見ていたいという腐な気持ちはあれど、王宮に勤めていたメイドとして他国からの訪問団の公的スケジュール遂行の厳格さを知っている。


私的な訪問は別だが公的訪問は余程の体調不良でもない限り、帰国まで予定されているスケジュール通りに進められるからだ。


それは迎える側も招かれる側も同じで、その為に使用人達も主の体調を万全に整える努力をする。



「だって、今回の訪問でフィリップ様達が気兼ねなくお話できたのは舞踏会だけでしょう? 来年まで会えないのに、たった二時間だけのおしゃべりだけって…、ちょっと切ないじゃない」

建前的には二人はまだ婚約前で、王宮では挨拶以外ほぼ会話をする事はできないのだ。



「来年まで会えない婚約者同士…」

「つかの間の逢瀬…」

「切ない…」


きゅん!

彼女達に何かのスイッチが入った。



「アデライーデ様。今回のノアーデンご一行の『主賓』は王太子殿下ご夫妻で、リネア様は同行されている…で、ございましたね」

「え? えぇ、そう聞いているわ。リネア様は見聞を広める為にご一緒にって名目だったと聞いたわ」


マリアの確認するような質問に答えると、マリアはにやりと笑いミア達は声を揃えて目を輝かせた。


「「「だったら!」」」



何でもマリア達が言うには、公的にスケジュールが決まっているのは主賓の方々で、同行者は必ずしもそのスケジュールに沿う決まりはないらしい。



「リネア様だけこちらに来られるのは、目立ちますわね」

「ええ、まだ正式なご婚約前ですから大っぴらは避けた方が良いですわ」

「うふ。こっそり密やかに…なんて素敵」

エミリアからみんなの心の声が漏れている。



「だったら、王宮の外に出られるご予定の時に一緒に出られるのが自然ですわ」

「そうそう、移動途中は護衛の騎士団だけですから口止めが王宮メイドより効きますからね」



「マリア様。殿下ご夫妻のご予定って、おわかりになります?」

「ええ、ご予定は聞いてますわ。確か数日後にペルレ島での式典があったはず…」


「「「それですわ!」」」

アデライーデそっちのけでマリア達の作戦は練られていく。腐の情熱恐るべし。


早速、翌朝朝食の後のお茶の時間にレナードに相談すると、後ろに控えていたマリア達の無言の熱い圧に押されたのかレナードは意外にもすんなりと王宮に手紙を書いてくれて、本日の訪問が決まった。




「お疲れ様でした。汗をかかれたでしょう? 冷たい飲み物とお菓子をご用意してますよ」

「ありがとうございます!」


「リネア姫、グラスで飲むのも美味しいですが、木のジョッキで飲むのも美味しいんですよ」

「そうなんですか?」

「飲んでみます?」

「ええ、ぜひ!」



ーうふふ。良いわねぇ。見てるとにやけちゃうわ。さて、おじゃま虫は退散しようかしら。

可愛らしい会話をちょっとだけ聞いて、アデライーデはちらりと周りを見る。


マリア達も目を細めて、うっとりとフィリップ達の会話を聞き入っていた。



「少し中座しますね」

そう言うと、マリアが我に返ってついてこようとしたが「マリアは私の代わりにここにいて。フィリップ様達をお願いね。付き添いはレナードにお願いするから」と、アデライーデはレナードを連れて席を立った。



「レナード、離宮に戻ったらちょっとキッチンに向かうわ」

歩き出してすぐにアデライーデにそう告げられて、てっきりお手洗いなのかと思っていたレナードは驚いた。



「キッチンでございますか? アデライーデ様、よろしいのでございますか? お話されずとも」

「良いのよ。午前中にたくさんお話したわ。後はお若い方同士で…ね。」


陽子さんの気持ちは既にお見合いおばちゃんになっている。ドラマでしか聞いたことが無かったセリフを言えて満足しているあるじをレナードは呆れた顔で見ていたが、それ以上のお小言は口にしなかった。



「さてと、固まっているかしら」

キッチンでエプロンをつけ、アルトに持ってきてもらったいくつかの油紙に包まれたキャラメルを取り出すと、しっかりとした塊になっているキャラメルを一口大に切り分けた。


昨日のうちに仕込んでおいたキャラメルは、ちゃんと固まっているが市販のものよりちょっと柔らかい。味見はしたのだが、お土産に持たせられない端っこのキャラメルを一粒口に放り込む。



ー懐かしいわね。久しぶりに作ったけど固まっているのがあって良かったわ。


口に放り込んだキャラメルは、口の中で甘くとろりと溶けていく。


ちょっと前の生キャメルブームがあった時に「材料があれば倍食べられる」と手作りしたレシピを思い出して配合を変えていくつか作ってみたのだ。


訪問のお礼に琥珀糖を用意してあるが、リネアの為に何か作りたかった。切り分けたキャラメルを小さな油紙に包みかわいいカゴに詰めてからお茶を飲んで、アデライーデはゆっくりと訓練場に向かった。


ちょうどリネアが帰る時間に間に合うように。




キャラメルの歴史

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%AB


キャラメルのレシピ

https://www.meiji.co.jp/meiji-shokuiku/homework/experiment/rawcaramel/

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― 新着の感想 ―
>「「「それですわ!」」」 >アデライーデそっちのけでマリア達の作戦は練られていく。腐の情熱恐るべし。 この主にしてこの従者ありと言いたくなる盛り上がり方でしょうか。王族のスケジュールを変更するとか相…
私にも貴女も十分お若いですよ…と誰かの心の声がきこえました 今は腐ってるってBL限定だったのか… ショタだろうが百合だろうが無機物だろうがなんでもかんでも恋愛フィルターかかるのを脳が腐ってまして…み…
更新ありがとうございます。 急な申し入れでも当人同士だけの招待なら準備する側も楽だし良かったですね。 腐との表現には合わないかな?カプ厨かね。 恋バナ好きな侍女さん達です。 生キャラメルって作るの…
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