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予告を守れずすみません。次こそガッツ入るので御容赦を
硫黄島基地内無人機管制室
複数のモニターの前にして、それぞれ一人ずつ座っていた。モニターには複数の気象や気流に関する情報が映されており、メインに映されているのは青空と海面であった。燃費や情報収集の観点から、プロペラ機を使用されており、安全が保障されかつ暇な為、必然的にお喋りがされる。よろしくは無いのだが、脅威となるものが無い上に無駄に緊張を保つのは良く無いので黙認されていた。
「見つかりませんね」
「何を言ってる。まだ2千キロだぞ。ハワイだって見えない距離だ」
「無人機が壊れてなくて良かったです。でなきゃ、よく知らない海の上を、闇雲に探すハメになっていたところでしたよ」
「文明の利器に感謝を」
「衛星からの支援が受けられないのは痛い。今だって、中継の機や船で電波の強度が保たれているとは言え、EMPなんかが来れば即おじゃんだ」
「大気圏の測定が済んだので、宇宙ロケットの設計に取り掛かっているそうですよ。ただ自転の測定が終わってはいないようなので、まだ暫くは無理のようです」
「この世界の国と国交を結んだとして、すぐに食料や鉱石の買い付けをするんですかね」
「本音はしたいが、そうもいかないだろう。防疫や言語の問題で暫くは出来ないだろう。切羽詰まっていなければの話しだが」
「今までなら多少のデメリットがあっても、買い付けしたかもしれないけど、島?と呼ぶにはデカいのが編入されたおかげで、無理する必要なくなりましたよね」
「どうかな。今使っている資源が全て賄える事は出来ないだろうし、耕作地とするには数年はかかるらしいから、買い付けはするしかないな」
「ここ以外に無人機飛ばしているのは、北海道と沖縄、新天地ですよね」
「そうだが。それがどうかしたか」
「知り合いと賭けをしてまして、どこが一番に見つける事が出来るかでね。でも、新天地って安直過ぎないですか」
「俺達公務員のネーミングセンスにしては、かなり良い方だろ。変な名前で笑われ事は無いんだから」
「交代の時間です」
交代要員と変わる事で暫くの休憩に入る。ただ、交代して数時間も経たないうちに国籍不明船と陸地発見の報が入り、大層悔しがったとかなかったとか。
官邸会議室
「文明国家が見つかったと言うのは事実なんだな」
誤報だったならば許さないと、土御門総理から言外の圧が掛かった。その圧に負けそうになりながらも、つい先程各大臣に配られた資料と同じものを手に答える軍人。
「はい、その事で手元の資料を御覧下さい。画像分析からなので、事実との齟齬があるのかもしれない事を前提にお聞き下さい。文明レベルは産業革命相当、政治体制は絶対王政もしくは民主主義とされます。兵器は、蒸気船と思わしき船と航空戦力とされる生物、潜水可能とされる海上生物の使役が確認されました。それと、陸で馬と共に二足歩行生物と思わしき存在を確認しました。生物にそれぞれ仮称で、飛竜、水竜、地竜としました。武器は中世ヨーロッパ相当で、火縄銃、大砲の存在を確認されました。人種なのですが、動物の耳と尻尾が付いてる事が確認されました。顔立ちは恐らくアラブ人に似ているそうです。それと観ていただきたいものが」
途中からげんなりしていた各大臣達が、まだあるのかとしていた。会議室のテレビに映像が映ると、驚きが大臣達の顔を彩った。
野外の訓練施設とされる場所で、一列に並んだ集団の前に、突然何も無いところから火球が現れ、前方に進み的に当たったらしく燃えた。
「ご覧になったように、我々の知らない何かによって攻撃する手段が有るようです。この未知の手段を魔法と呼称します。この魔法によって、技術体系が我々の知るものとは異なるもので有ることが充分にあり得ます。軍としては、早急に魔法の情報と対策を講じる必要が有ると認識しています」
その後も無人機からの映像を分析した報告を受けていた。冗談であって欲しいと思っていたが、後日の専門家による詳細な説明時にプ●デターのような可能性を指摘され、まだマシと思えた。
貿易相手国が必要な為、様々な問題を孕みつつも、艦隊の派遣を決定した。
旧太平洋 かが甲板上
海風に当たる二人の隊員は、この世界で初めて国家と接触する不安を感じていた。
「前回の調査隊は、かなりギリギリのところを掠ってたんだな」
「みたいだな。西側の調査は打ち止めらしいぞ。ハワイ付近まで飛ばしてみたけど、何も見つからないから暫くは無人機の観測に留めるそうだ」
「どう接触するんだっけ。そもそも言葉通じるのかね?」
「平和的接触をすると言われているけど、いざという時は砲艦外交するんだろ。でなきゃ、この艦隊の意味が無い。言葉は日本を転移させた力に通じる不思議パワーで、出来ると思うしかない」
派遣艦隊
第一艦隊旗艦 しょうかく
みくま
あきづき
かこ
たかなみ
あかつき
第二艦隊旗艦 かが
すずや
ながら
ふゆづき
あまつかぜ
おぼろ
特殊艦隊
のうみ
ましゅう
まみや
潜水艦艦隊
そうりゅう
じんりゅう
あさしお
もちしお
『そろそろ異世界国家との接触に入る。総員配置につけ』
「いよいよだな」
「何事も無く終わる事を祈るよ」
アナウンスが流れ、それぞれの配置に着く。
ロドロ王国海軍 装甲コルベット
定期哨戒に出ている最新鋭艦の甲板から水平線を眺める船長がいた。
「本日も晴天波穏やかナリ」
「何言ってるんですか船長。似合って無いですよ」
「うるせい!大陸の方はきな臭いって言われているんだ。海賊共もこっちに稼ぎに来るかもしれねんだから、しっかりと見張れ!」
「痛ってぇー、何も殴らなくても。そのきな臭い元は、共和国とか言う奴らでしたっけ?ここ最近の出てきた」
「そうだ。耳がいいな、その調子でしっかりと見張れよ」
その会話中に気になる報告がされた。
「船長、何か変な音が聞こえます」
「変とはなんだ。もっと具体的に報こ」
見張り係りが割り込んで報告をする。
「船長!うちでない飛竜が、港に向かっています!何て速さだ」
言うが早く、船員全員が上を見上げた。そこには、頭上を有り得ない速さで回る謎の飛竜がおり、すぐに飽きたようで真っ直ぐに港へと向かっていった。
急いで港へと向かうが、その途中に自分達よりもデカい灰色の船に囲まれ、生きた心地がしないめにあった。




