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 騎士がカイとクウを捕まえに来たのか。


 二人がヨーシャーク商会に使われていたのは広く知られている。

 何せ全く関係ない僕の耳にまで聞こえてきたぐらいなのだから、少しでも調べればすぐにわかる事だった。

 そして、その姿が屋敷から消えている事もだ。


 そうなればヨーシャークが何者かおれに殺されて、調査を始めた巡回騎士が二人から話を聞こうとするのも想像できていた。


 予想外だったのはふたつ。

 その調べが思ったより早かった事と、何よりも殺人の容疑を受けている事。

 こんな子供が大人を殺したんなんてどうして考えるんだ?

 間違ってもそうならないように、俺が動いたというのに!


「騎士ディエゴ、見つけました! エルフの子供です!」


 疑問を浮かべつつも僕が屋敷から出るのと、無断で実験農園に入り込んだ従士が声を上げたのは同じタイミングだった。

 見ると一人の従士がテーブルの辺りで手を振っている。

 どうやらカイとクウはさっきまで資料を広げていたテーブルの下に隠れていたらしいけど、すぐに見つかってしまったのだろう。


 僕はすぐにそちらに向かう。

 従士と子供たちの間に強引にならないよう入り込んだ。


「お待ちください」

「む?」


 カイとクウは……とりあえず、怪我はなし。

 怯えていたけど、僕が来て安心している。

 二人に頷いてあげて、従士と向き直る。


「……なんだ、お前は。怪しい仮面をつけて」


 従士は腰の剣に手を伸ばした。

 僕を見る目は完全に不審人物を見るそれだ。


 どうやら僕を知らないらしい。

 城門の警備をしている人間なら当然、知っている。毎日のように出入りして、挨拶をかわしているのだから。

 となると、他の部署から来た従士なのだろう。


「僕はレサト。この実験農園を管理している者です」

「実験農園? そういえば、城門の警備が賢者だとか言っていたが……六賢者様とは関わりないはず。その農園の主がどうした。我々の任務を邪魔立てするなら許さないぞ!」


 名乗っても態度は変わらない。手も柄を握ったまま。

 この従士かなり高圧的な態度だな。

 まあ、僕は仮面で顔を隠しているのだから、不審人物と思われても無理はないのだけど。


 考えながら相手を観察する。


 従士の装備は軽装――革鎧と小ぶりの剣か。

 小回りが利く動きやすさと、狭い場所でも戦うための装備。これは王都の中を警備する巡回騎士の従者の装備だった。


 同じような装備をした男たちが実験農園のあちこちに入り込んでいて、今は駆け足でこちらに集合しようとしている。

 あいつら畑を踏み荒らしやがって。

 内心で怒りが湧いてくるけど、今は目の前の従士の対処だ。


「もちろん、騎士様方のお邪魔など致しません。しかし、この子たちは僕が保護している子供たちです。お話を聞かせていただけませんか?」

「話? そんなもの必要ない!」


 突然、別の男の声が降ってきた。

 そちらを見ると中年の大男が広い歩幅で近づいてくるところだった。


「俺は土いじりなどに用はない失せろ」


 大柄なジョゼフさんよりもさらに大きい。

 背の高さもだけど、体の厚みが一回りは違っていると鎧を着ていても伝わってくる。

 普通は『背負う』はずのロングソードを『腰に差す』という異常が、この男の場合だと違和感がないように見えてしまうあたり余程だ。

 戦争でもなければ着ない金属製の全身鎧を装着しているけど、その歩みに重さを感じない。


「騎士ディエゴ。エルフの子供はその男の後ろです」


 従士の男が指さし報告する。

 注目されたクウが僕にしがみついてきて、カイも不安そうに見上げてきた。

 その頭にポンポンと手を置いて、視線をディエゴと呼ばれた騎士に向ける。


 従士と話しても意味がない。

 彼は騎士の命令に従っているだけなのだから。

 説得するならこのディエゴにするべきだ。


「騎士様。先程、殺人の容疑と聞こえました。ですが、見ての通りの二人とも小さな子供です。誰かを殺すなんてとても――」

「おい。貴様」


 ディエゴは僕の言葉を無視して、従士に目を向けた。

 従士の男子が震えて、すぐに姿勢を正す。


「はっ、はい! 騎士ディエゴ!」

「さっさとその男を斬れ」


 ……は?

 いまこの男、何を言った?

 斬れって、僕を!?


 これには従士の男も驚いて、ポカンとしてしまっている。

 周りに集まってきていた他の従士もだ。

 ただ一人。ディエゴだけが平然とした顔で、従士が動くのを待っている。その様子に揺らぎはない。

 本気の本気で僕を斬らせようとしているんだ。


「し、しかし、騎士ディエゴ。我々の任務は殺害犯の捕縛であって……」

「そうだ。だから、任務を妨げる邪魔を排除しろと言っている。最初に容疑者を見つけた褒美だ。手柄をくれてやる。遠慮はいらん。この程度、問題にもならんからな」


 ディエゴはいい事でもしてやったと言わんばかりに笑っている。

 その笑顔に従士の誰もが動けない。


「あの、騎士ディエゴ。本当に?」

「くどいぞ! 貴様、俺の命令が聞けんのか!?」


 再度の問いかけに怒号が返る。

 笑顔から一転して怒りに染まったディデゴに従士は震えあがった。

 従士は僕を見て、ディエゴを見て、握ったままの柄に目を落として、ギュッと目をつぶったと思うと、カッと見開くなり剣を抜こうとして。


「貴様に恨みはないが――」

「遅い! この能無しが!」


 抜く途中でディエゴに殴り飛ばされる。


 冗談ではなく本当に人が飛んだ。

 軽装とはいえ武装した大人の男が。

 数歩分の距離を吹き飛んで、地面に叩きつけられて、ゴロゴロと転がって、止まったあとはピクリとも動かなくなる。


「俺が手柄をやったのに、不遜な奴め。戻ったら性根から叩き直してやる」


 殴った拳についた血をぬぐって、ディエゴが近づいてくる。


 まずい。

 こいつ、話どころか常識が通じない。

 どうしてそんな奴に騎士なんて身分と権力を与えたんだ!


「俺は慈悲深い。どけ。そうすれば一発で無礼を許してやる」


 どっちにしろ殴るつもりじゃないか。

 あいつめ、何をしているんだ!


 内心で毒づきながらカイとクウの前から動かずに見つめ返す。

 ディエゴは不快そうに舌打ちをして、拳を振り上げた。


「余計な手間をかけさせおって」

「あれ? ディエゴ様じゃないですか!」


 ディエゴの後ろから声が飛んできた。

 やっと出てきたか。

 軽い足取りでやってきた声の主――クリスを睨むけど、本人は気づかないふりでディエゴに話しかける。

 ディエゴの凶暴な言動を見ていただろうに、まるで臆したふうもなくいつも通りの口調だった。


 振り返ったディエゴは不審な様子。

 やや機嫌が悪いようにも見えるけど、もしかしてお前覚えられてないんじゃないか?

 僕の不安をよそに、暴力の権化を前にしてもクリスの態度は変わらない。


「あたしですよ、ディエゴ様。エイチコ商会の娘のクリスですよ。お忘れですか? ほら、この前の新作発表パーティーで挨拶した仲じゃありませんか」

「……クリス嬢」


 ようやく思い出したのか、ディエゴが拳を下ろした。

 何も気づいていないふうにクリスは距離を縮めていく。


「それにしても、巡回騎士のディエゴ様が王都の外に出るなんて珍しいですね。今日はこんなところにどうしたんです?」


 ディエゴは眉間にしわを寄せながらも、低い声で聞き返す。


「……クリス嬢こそどうしてここに? 商会の令嬢が来る場所ではありませんぞ」

「あれ、知りませんでしたか? ここってエイチコ商会が出資している農場なんですよ。新作発表のパーティーでディエゴ様が気に入っていた新作ワインありましたよね? あれもここで取れたブドウで作っているんです。パーティーで出された料理の材料も、元はこの農場から広まったものばかりであたしの自慢なんです」


 無邪気そうに胸を張るクリス。

 逆にディエゴは眉間にしわを寄せていく。

 ディエゴ本人がエイチコ商会のパーティーに参加していたなら、今の状況はわかりやすいはずだ。


 エイチコ商会はここで作られた目新しい商材を一手に扱っている商会。

 当然、パーティーで出されるのはエイチコ商会が扱う物で作られた、ここでしか味わえない一級――いや、生産が始まったばかりで希少な材料で作られているのだから、特級品と言うべきだろう。

 貴族がどんなに望んでもない物はどうしようもない。手に入れられる者とそうでない者が現われて、その差が貴族の間でステータスとして扱われているのだ。

 そのため、今王都の有力者たちが競うようにエイチコ商会との繋がりを求めている。そこには高位貴族だけではなく、王族まで含まれているのだとか。


 もちろん、エイチコ商会の立場は貴族の下。貴族に逆らうなんてできないし、命令なんてとんでもない。

 だが、貴族であっても軽く扱うのは躊躇われる程度には価値がある商会だ。


 今、ディエゴはその商会ともめようとしている。

 ディエゴは巡回騎士だから騎士爵。王都の治安を守るという名目で、それなりの権限を持っているが、あくまでそれなり。

 決して、高位貴族の不興を買って無事で済む立場ではない。


「あ、すみません。それで、なんの話でしたっけ?」

「……俺たちはここに潜り込んだ、ヨーシャーク殺害の容疑者を捕縛に来ております」

「ああ。ヨーシャークさんの事件。怖い事件ですよねえ」


 ちっとも怖くなさそうだぞ、おい。

 クリスはあごに指先を当てながら僕を見る。


「もしかして、うちの賢者様が疑われてます?」

「賢者様? 賢者様とは……」

「ああ。そこの仮面の人です。この農場の主で、新しい作物を次々に生み出しているんです。七番目の賢者って呼ばれているから、賢者様なんですよ」

「なるほど。ならば、違います。その男は容疑者ではありません」


 その答えにクリスは『え?』という顔で僕を見て、ディエゴを見て、最後にエルフの兄妹に目を向けた。


「じゃあ、もしかしてその子たちが容疑者ですか?」

「そうです。そのエルフたちはヨーシャーク商会で世話になっていながら、ヨーシャークが殺された日に逃げ出し、姿をくらましていました。ヨーシャークに不満を抱いていたという証言もあります」

「ははは。ディエゴ様、冗談はやめてくださいよ。ヨーシャークさんをこんな小さな子たちが殺すなんて無理ですって」


 本当に心から楽しそうに笑うクリスに、ディエゴはますます渋面になる。

 それはそうだ。普通に考えたらカイとクウがヨーシャークを殺すなんて無理に決まっている。


「しかし、クリス嬢。子供であっても隙を突けば」

「いやいや、あたしも知っていますけど、ヨーシャークさんってすごく強い護衛の人を雇っていたって有名じゃないですか。元Aランク冒険者とかいう人」


 子供がAランク冒険者の護衛を排除するのは不可能だ。


「そんな人がいるのに殺すなんて無理ですって」

「不在時を狙えば可能です。実際、その護衛もヨーシャークの屋敷から姿を消しています」


 それはない。嘘だ。

 彼を殺した僕が断言する。

 あの場で彼は死に、倒れた。亡骸を移動させたりもしていない。そして、僕が立ち去ってから巡回騎士が駆け付けるまでの時間は僅かで、第三者が介入した可能性もない。

 だとすれば、巡回騎士が亡骸をなかった事にしたわけだ。


 うん。大体、状況はわかってきた。

 ディエゴはなんとしてもカイとクウの身柄を確保したいんだ。

 そのために無理を通して二人を容疑者に仕立て上げたみたいだけど、それは悪手だったね。うん。殺人容疑はやりすぎだ。


 カイが否定しようと開きかけた口を手で塞いで、僕は見上げてくるのに首を振った。

 ここはクリスに任せておいた方がいい。


「ええ!? 護衛なのに席を外しちゃったんですか、その人? ヨーシャークさんを恨んでいるかもしれない人と会っているのに?」

「所詮、冒険者などその程度でしょう」


 鼻で笑うディエゴ。

 冒険者をバカにしているのは本心からだろう。


「うーん。でも、それなら怪しいのは護衛のその人じゃないですか? だって、いなくなっちゃったんですよね?」


 だよね。

 普通に考えれば第一容疑者はそうなる。

 少なくとも幼いエルフの兄妹よりはよほど怪しい。それを探さないなんて不自然極まる。


「……もちろん、その男の足取りも追っています」

「ああ。よかった。じゃあ、すぐに見つかりますよね。王都の巡回騎士は優秀って聞いてますから。おかげで、あたしたちも安心して商売ができます」


 えげつないな、クリス。

 さりげなく、『見つけられなかった』という逃げ道を塞いだ。


「じゃあ、この子たちの容疑は薄いんですよね?」

「……いえ、まあ、そうですな」


 否定はできない。

 否定してしまっては、不正な捜査を認めてしまう事になる。

 第一容疑者は失踪した事にした元Aランク冒険者だ。


「とはいえ、現場にいた可能性が高い。聞き取りするために連れて行きますぞ」

「そうですね。この子たちでも証言ぐらいはできるはずですしね」


 あからさまにほっとした顔になるディエゴ。

 やっぱり、なんとしてもこの子たちを連れてきたいのだろう。

 巡回騎士の詰所まで連れ出してしまえば、後はなんとでもなる。護衛の彼の死体を隠したように、二人を行方不明にだってしてしまえる。

 尋問中に逃げ出したとか、死んでしまったとか。

 けど、そんなのを僕は認めないし、クリスだってわかっている。


「いいでしょう! では、あたしが一緒に行きます! この子たちも『保護者の』あたしがいた方がしゃべりやすいでしょうから!」


 心からの善意。

 そう見える笑顔でクリスが宣言すれば、ディエゴの表情が固まった。

 そして、動揺を隠しきれないまま同行を断ろうとしてくる。


「い、いえ、クリス嬢の手を煩わせる事では……」

「遠慮しないで下さい。巡回騎士様に協力するのは民の義務ですから。それに証言だけなら時間も大して掛かりませんよね?」


 どんなに時間が掛かったとしても半日程度だろうか。

 そもそも、場所を変える必要さえない。騎士の詰所まで行かずに、この場で話を聞けば済むのだから。

 そうでなければ、捜査に疑いを持たれてしまう。


 大方、僕たちだけなら権力に任せて強引に連れ去ればいいと考えていたのだろうが、ここはエイチコ商会の傘下で、相手は商会の娘のクリスだと知ってしまった。

 非合法な真似をすればタダでは済まない。

 事前の情報収集が甘いからこうなる。

 元々、そういうのがディエゴは苦手な可能性が高そうだ。


 なのに、不得意な事をしようとしたのなら理由があるはず。

 考えられるのは誰かに命じられたから、とか?

 その誰かはおそらくヨーシャーク商会の裏にいた者だろう。

 そいつは余程カイとクウを逃がしたくないらしい。


 となると、ディエゴは捨て駒かもしれない。

 そうだな。エイチコ商会との繋がりを知らないまま強引に動けるバカだと都合が良かったのだろう。

 カイとクウさえ手に入れてしまえば、後でエイチコ商会から追及されてもディエゴを切ればいいのだ。


 僕が考察している間、ディエゴは天を見上げていた。

 背の高い彼の表情は見えないが、どんな顔をしているかは想像できる。


「……そう、ですな」

「では、早速行きましょうか。不謹慎かもしれませんが、巡回騎士様のお仕事に興味がありますねえ」

「いえ、それには及びません。こちらで結構です。それから俺も別の任務がありますので、今日はこれで失礼」


 クリスに見られたらまずい物でも詰所にあるのかもしれない。

 ディエゴはしかめっ面のまま早口で部下たちに命令を出す。


「おい、そこの貴様。聞き取りをしておけ。くれぐれも丁重にだ。クリス嬢に失礼があったら許さんぞ。他の者はついてこい! 午後は特別訓練だ!」


 不機嫌を隠しもしないでディエゴが足早に去っていく。

 従士たちは恐れた様子で後を追っていった。午後の特別訓練という名の、ディエゴのいびりを想像しているのだろう。

 すぐに彼らの後姿は城門の向こう側に消えていった。


 残ったのは最初に殴られた従士を介抱していた中年の従士が一人だけ。

 恐ろしい上司ディエゴを追い返した少女を前に、憐れなぐらい戸惑っている。

 それがわかっていないわけもないだろうに、クリスは満面の笑顔で話しかけた。


「さて、証言してもらいましょうか。場所はこのテーブルでもいいですか?」


 この場を支配しているのはクリスだ。

 ダメだなんて言えるわけがない。

 こくこくと頷く従士たちが満足に聞き取りできるわけもないだろう。


「さあ、この子たちの保護者のあたしが立ち会いますからね――って痛い!?」

「やっ!」

「あんなに頑張ったのに、クウちゃん、ひどい!?」

「こ、こら、クウ! すみません、妹が……」

「いえいえ、いいですよ。むう。どうすれば心を開いてくれますかねえ」


 さりげなくカイとクウの肩を抱こうとして、クウにペチンと叩かれて悲鳴を上げている。

 しまらない奴だなあ。

 まあ、おかげで助かった。


「クリス、ありがとう」

「いえいえ、賢者様のためならこれぐらいへっちゃらですよ。けど、賢者様もあたしのすばらしさを再認識してくれちゃいました? しちゃいましたよね!? いやあ、しちゃいましたかあ!」


 クリスは調子に乗って腕を何度も引っ張って、これでもかというぐらい顔をのぞきこんでくる。

 ……助かったし、ありがたいのは事実だけど、面倒くさいなあ。


 まあ、いい。

 僕は引かれた手に逆らわずに、自然な体でクリスに顔を寄せる。お互いの肩に顎をのせ、耳と耳が触れ合うぐらいの距離。

 くすぐったそうに身をよじるクリス。


「ひゃん!? ちょっ、賢者様!?」

「……やるよ」


 小さく、低い、俺の囁き。


 それでも確かに伝わる。

 クリスは俺の肩を押して距離を取ると、透明な笑顔の形を浮かべた。


「もう。賢者様ったら大胆ですね! まあ、いいでしょう! さあ、どうぞ!」


 大げさに両手を広げて、抱きしめるようなポーズを取る。

 喜びを分かち合うようなシーンに見えるだろうか。

 しかし、大事なのは言葉だ。

 いいでしょう。どうぞ.

 俺が動くために必要な言葉は得られた。


「賢者様、めっ!」


 クリスの間に割って入ってくるクウ。

 ぷくっとほっぺをふくらませてむくれるその頭を撫でて、俺は仮面の下で目を細める。


 さあ、ここからは俺の仕事の時間だ。


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