5話 ゲンの店
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ゆーちゃんとパーティを組んだ後、僕は日用品などを買いにゲンさんのお店に向かうことにした。
とりあえず、動きやすい服と日用品。それに各種回復アイテム、道具袋を買わないとね。
僕はゆーちゃんを連れてゲンさんのお店に向かおうとすると、リリアンさんに声をかけられた。
「みつきちゃん。今から日用品を買いに行くんだよね」
「うん。ゲンさんって知ってる? その人のお店に行ってみるよ」
「あぁ。いつきちゃんのお父さんね」
「いつきちゃん?」
そういえば、ゲンさんが店を仕切っているのは娘と言っていたね。
ゲンさんの娘さんかぁ……どんな人だろう?
リリアンさんも知ってそうだったね。
「リリアンさん。いつきって人はどういう人?」
「そうねぇ……」
ん? リリアンさんの顔が少し暗くなったぞ? どういうことだろう?
「この町で一番有名な商売人よ。それこそいろんな意味でね」
「いろんな意味?」
何だろう。もしかして、ものすごく強引な商売方法なんじゃ……。
僕は押しに弱いから、高額なものを買わされそうだな。
「あいつのみせはだめ」
「ん? ゆーちゃんはいつきって人を知っているの?」
「あいつはごうよく」
強欲か……。でも商人なら、多少なりとも強欲じゃないとダメなような気がする。
ゆーちゃんは嫌そうだったが、僕が説得すると大人しく一緒に来てくれた。
ゲンさんのお店は、北門の近くにある大きなお店だった。
というか、ゲンさんってこんなに大きなお店を持っていたんだ。
僕達は、お店に入る。
お店の奥には茶色い髪の毛の優しそうな女の人が座っている。
僕と同じ歳くらいだろうか。でも、僕よりも胸はある……。
この人がいつきさんかな?
「いらっしゃいませ」
「えっと、ゲンさんはいますか?」
「お父さんですか? 少し待ってくださいね」
お父さん。
やっぱりこの人がいつきさんなんだ。
お店の奥からゲンさんがラフそうな格好で出て来た。
いつもは重装備だったから、一瞬見間違えたよ。
「来たか!! みつきの嬢ちゃん!!」
「うん。ここで日用品の一式と服を揃えようと思って」
「ありがとよ。いつき、服を選んでやんな」
ゲンさんがそう言うと、いつきさんは優しい目で僕を見て自己紹介してくれる。
「みつきさんでしたか? 私はゲンの娘でいつきです……ん?」
「よろしくいつきさん。で? どうしたの?」
何だろう。
いつきさんの目は、僕の心の奥を見透かしたような不思議な目だった。
「あ、すみません。みつきさんは綺麗な目をしているな……と思いまして、それと隠れてないで出てきてください」
僕もいつきさんが見ている入り口付近を見て見ると、ゆーちゃんが面倒くさそうにお店に入ってくる。
ゆーちゃんの顔は、凄く嫌そうな顔だ。
「ひさしぶりだな。ごうよく」
「久しぶりですね。ゆづきちゃん」
ん? 知り合いかな?
確かに、ゆーちゃんはこのお店に来るのを嫌がった。いつきさんと何かあったのかな?
「で、みつきさんはどういった服をお探しですか?」
ゆーちゃんといつきさんの関係は気になるけど、いつきさんが服を聞いてきたから答えないと。
「動きやすい服かな」
いつきさんは動きやすそうな服を用意してくれる。
アレ? 僕の洋服のサイズって言ったっけ?
うん。この服が気に入った。
「これちょうだい。それと、回復薬ってある? できれば多めに持っておきたいんだけど……」
ゆーちゃんが僕に『ひーる』をかけた場合の為に、毒消し草も必要だ。
服を買ったとしても、結構な額があるので薬を大量に買えるだろう。
何せ、僕の村では薬草一つ200ルーツだったからだ。
「ありますよ。薬草一つ8000ルーツですけど」
ん? 今、凄い金額が聞こえたけど、気のせいかな?
もう一度、聞き直してみよう。
「もう一回言って?」
「はい。薬草一つ8000ルーツ、毒消し草一つ10000ルーツです」
はぁ!? なんでそんなに高いの!?
「は、8000!? ゲンさんは僕の村で、一つ200ルーツで買っていたよ!?」
「はい。王都では8000ルーツです。これでも他の道具屋よりは安いんですよ?」
これで安い方なの!?
こんな物価の高い土地でどう生きていけばいいの!?
「な、なんでそんなに高いの!?」
「みつきさん。薬草の効果を考えてください。飲めば万病に効く、すり潰して塗ればある程度の傷にも効く。そんな薬が安いわけがないですよ。これが安いのならば、治療院や僧侶は必要なくなります」
た、確かにそうだ。
絶望の村の周辺では薬草が良く採れるから気付かなかったけど、効能は凄かった。
とはいえ、こんな薬を買っていたら、破産してしまう。
僕は、ゆーちゃんに確認を取ってみる。
ゆーちゃんほど凄い僧侶なら、初級回復魔法くらいなら、簡単に使えそうだ。
「ゆーちゃん。本当のヒールは使えるの?」
「つかえる」
ほら。
あの『ひーる』はゆーちゃんの照れ隠しなんだよ。
……と思っていたのだが、いつきさんが身もふたもない事を言い出した。
「あ、ゆづきちゃんのひーるには回復効果はありませんよ」
「え?」
「少なくとも、私は一度も見たことがありません」
え? どういうこと? 今使えるって言ったよ?
「ゆ、ゆーちゃん?」
「てへぺろ」
い、いや……可愛いけどさぁ……ど、どうしよう……。
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