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クジ引きで勇者に選ばれた村娘。後に女神となる。  作者: ふるか162号
三章 異国の教会編

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23話 新しい仲間


 えりかさんの挨拶が終わり、次は僕の番だ。

 えりかさんが「己の私腹の為に神聖な教会を乏しめた大罪人クリストファーに、女神セリティア様より神罰が下される!」と叫ぶ。

 すると大広場が大歓声に包まれる。なかには泣いている人もいるみたいだ。

 この演説が始まる前にソーパー王から聞いたのだけど、クリストファーは悪魔に憑りつかれていると嘘を吐いて、数々の人々を殺したり乱暴したりしていたそうだ。

 勿論、全てがクリストファーだけの罪ではないけど、クリストファーが主導していたのは間違いない。教会の権力を使って好き勝手した男が、今は涙ながらに許しを請う。許されるはずもないよね。


「とはいえ、セリティア様を現世に呼ぶ事はできない。そこで勇者であり巫女であるアロン王国の英雄みつきの体の中に憑依してもらう!」


 ……え?

 えぇ!?

 ぼ、僕の身元が暴露されているよ!?

 い、いや、こんな話聞いてないよ!?


 僕がいつきさん達を見ると、いつきさんは満面の笑顔で、よいやみは声を殺して笑っている。

 二人共、知ってたな!?

 ゆーちゃんはと言うと、二人を不思議そうに見ていたので知らなかったのだろう。


 と、ともかく……。

 今更逃げられないから、前に出ないと……。


 僕は振るえる足を無理矢理前へと進める。

 僕がえりかさんの隣に立つと、大歓声が起こる。


「さて、みつきちゃん。お願いするよ」

「えりかさん。僕の名前を公表するなんて聞いてないよ」

「ははは。これはいつき様からの提案で黙っているように言われていたんだよ。言ったら逃げちゃうでしょ?」

「それはそうだけど……」


 僕はいつきさんを一睨みしてから、アルテミスに体の主導権を渡す。それと同時にセリティア様が僕に神気を送る。

 暖かい魔力に似た何かが背中から入ってくるのがわかる。僕の髪の毛は金髪に染まっていき、セリティア様と同じ金色の羽が生える。


 あれ? アルテミスの羽は白銀だったよね。


『セリティアの力を上乗せしているので、色が染まっているのですよ。今回はセリティアの真似をするのが目的ですから、ちょうどいいでしょう』


 そうなんだ。

 完全な金髪と、二対四枚の羽を生やした(アルテミス)が両手を広げる。


『我が名はセリティア。巫女みつきの体を借りて、ここに降り立ちました』


 広場にいる人達は一度静まり返った後、一気に歓声があげた。

 その歓声を聞き、アルテミスの中にいる僕は少し怯えた。怖いんじゃなくて迫力に押されたと言った方が良いのかな?

 しかし、クリストファーは違ったみたいだ。顔が青褪めている。

 今更ながら、自分が何をしていたのかに気付いたのだろう。


「助けてください。助けてください」


 クリストファーは何度も命乞いをする。

 しかし、アルテミスは冷たい目でクリストファーを見下す。


『今、こうなっているのは、全て貴方が行ってきた事が返ってきているだけです。今更命乞いをしたところで、もはやこの国の人達は貴方を許さないでしょう。私から言える事は一つだけ、悔い改めなさい』

「そ、そんな!? わ、私はお母様に大司教になれば好きな事を……ぼ、僕を馬鹿にした奴等に復讐できるって!?」

『そうですか。それで弁明になると言うのであれば、今、この国の方々に弁明してみなさい』


 クリストファーは、アルテミスの言葉通り、広場にいる人達に弁明しようと顔を出した。

 だけど、クリストファーが見たのは自分に対する憎悪の目をした人々。

 そんな目をした人達に、自分勝手な弁明をしたとしても聞いて貰えるはずがない。

 そう感じたのか、クリストファーは尻もちをついて後退る。


『弁明するつもりは無いようですね。ならば神罰を与えましょう』


 クリストファーはアルテミスの言葉に何も反論できないみたいで、ただ涙を流しながら「嫌だ。嫌だ」と呟くだけだった。


『ここにいる大罪人クリストファーに神罰を与えます』


 アルテミスの手がクリストファーに向けられると、クリストファーが光り始める。

 そして、光が止むと急に苦しみ始める。


「ぎゃあああああああ!!」


 クリストファーはその場でのたうち回り「痛い、痛い」と泣き叫んでいる。

 アルテミスの神罰は全身に痛みを走らせるというモノだった。

 痛みの種類は様々で、斬りつけられたり、殴られたりと様々な症状が三日三晩クリストファーを襲うらしい。

 しかし、この症状って……もしかして。

 体の主導権が無いのでゆーちゃんの方を向けないのだが、ひーるの効果にソックリだ。

 確かひーるって、甦生魔法の甦生部分と即死魔法の即死部分を無くして混ぜたという良く分からない方法で作られた魔法だよね。

 ゆ、ゆーちゃんは神罰を作り出したの!?

 そう考えたら、ゆーちゃんはやっぱり凄い。


 クリストファーは暫く苦しみ、そして気絶した。

 気絶したクリストファーは兵士に連れられて地下牢獄へと連れていかれた。


『最初は気絶して逃れられますが、そのうち気絶すらできなくなります。それくらいではないと、神罰とは言えませんからね』


 アルテミスが、低く笑ったのを感じて僕は少し怖くなった。


『これで神罰は終わりです。後は人間の国王にお任せします』

「はい。承りました」


 ソーパー王がアルテミスに頭を下げて、クリストファーへの断罪は終わった。

 国王が頭を下げるのは、国としてどうかと思ったのだけど、教会……女神セリティア様は国王よりも敬う存在というのを見せつける為だと、ソーパー王が言っていた。

 そうすれば、教会を仕切っていく大巫女のえりかさんに下らない言いがかりなどを言ってくる者も少なくなるだろうとの事だった。

 この三日後、クリストファーはアルテミスの言った通り、廃人と化し、処刑された。奇しくも同じ日にシスタークリスも死んでしまったらしい。



 クリストファーが処刑されて二日後、僕達はアロン王国へ帰る為に、えりかさん達にお別れを言いに来ていた。


「では、えりかさん。ソーパー教会を任せますよ」

「はい。この教会をアロン王国の様に人の為になる教会にして見せます」

「何かあればこれを使ってください」

「これは連絡用の魔宝玉ですか。教会にも設置してありますけど」

「教会の魔宝玉は教会間にしか連絡できません。これは連絡用の魔宝玉のある所に任意で連絡をする事ができます。だから、私に直接連絡ができます」

「な!?」


 えりかさんが驚くのも無理はない。

 世間一般に出回っている魔宝玉は、最初に設定した場所以外に連絡はできない。

 それが任意で連絡できるとなると、それだけでも各国が欲しがるだろう。

 いつきさんがタチアナさんを欲しがる理由が分かったよ。


「クレイザーさんもえりかさんを支えてあげてくださいね」

「まかてくれ!! 暫くアロン王国へ帰れないが、僕が抜けた穴は君達に託すよ!!」

「お前が抜けた穴なんてちっちゃすぎるから何の問題も無いっす」

「よいやみちゃんは酷いなぁ……」


 僕達は暫く笑いあって話し込んだ後、いつきさんの転移魔法でアロン王国へと帰った。


 アロン王国に戻った僕達は直接お城に出向き、王様に報告をする。

 王様は「お前達には本当に苦労をかけたな」と言ってくれて、報酬を用意してくれる。

 これを期にアロン王国とソーパー王国は同盟を組むそうだ。


「まぁ、シスタークリスがいなくなって、ソーパー王国の教会も再建されるのならば、今回みたいな問題も起こらないだろう。今後は連絡を取り合うから、もし問題が起こったとしても国同士で対応できるからな」

「はい。えりかさんにも連絡用の魔宝玉を渡しておきました。もし、何かがあったのならすぐに連絡が来ると思います」


 これでソーパー王国の騒動も一段落しただろう。

 僕達が帰ろうとすると、王様がいつきさん呼び留める。


「いつき、お前に一つ注文したいものがある」

「なんですか?」

「この連絡用の魔宝玉を発注したい」


 王様もこの魔宝玉の有用性に気付いたのか。

 でも、今の段階でこれを作れるのはタチアナさんだけ。

 まだ勧誘が成功していないから……。


「それに関しては、今は答えを保留させていただきます」

「何故だ?」

「仕入れ先を知られると、先を越されそうなので今は秘密です」

「そうか……もし、発注できる様になったら報告してくれ」

「分かりました。都合がつき次第連絡を入れます」


 僕達は報酬を貰ってから冒険者ギルドへと向かう。

 今回は僕達だけじゃなく、カレンとアディも一緒にだ。

 勇者専用の受付にリリアンさんがいたので、パーティ登録書を用意してもらう。


「あら? 新しい人を入れるのね。アレ? そちらの方ってソーパーの勇者さん?」

「はい。今後は黒女神でお世話になります」


 リリアンさんはカレンの胸を見ている。

 そう言えば、リリアンさんはカレンの性別を知らなかったっけ?


「か……カレンさんですね。前は勇者カイトだった気が……それに性別が……」

「はい。私の本名がカレンで、性別は女です。勇者をやっていた時は性別と名前を偽っていたんです」

「そうだったのね」


 リリアンさんは少し複雑そうな顔をしていて、その理由を聞くと「女性冒険者がカイトさん……カレンさんの事を聞きに来ていたのよ。彼女達にどう説明しようかしらね……」とため息を吐いていた。

 リリアンさんは二人の職業を見て「二人は戦闘職ではないのね」と聞いてきた。


「うん。カレンとアディさん。うちで解体職として頑張ってもらうの」

「解体職ねぇ……」


 どうしたんだろう?

 僕はリリアンさんに解体職を探していた経緯を説明する。するとリリアンさんから冒険者ギルドでも解体職を探していたと言い出した。

 元々アロン王国では強い魔物がいなかったから解体職は必要なかったけど、魔大陸での狩りが可能となった今では解体職の必要性がでてきたのだ。

 冒険者ギルドでも、解体場所の確保と職人を探していたらしい。


「これはいつきちゃんに足元を見られそうね」


 リリアンさんはいつきさんの性格を知っているからこそそう言ったのだが、解体についてはアディさんが取り仕切る事になっているのでお金の事は問題ない。


「ははは。俺達は黒女神の解体職だけど、その前に解体職としてのプライドがあるから、解体料は正規の値段しか請求しないさ。それは俺からいつきに言ってあるよ」

「解体の事もそうなのですが、私は商売相手の足元を見て商売をした事はありませんよ。相手が不義理な事をした場合には商談そのものを破棄させてもらう事もありますが、真っ当な相手には普通の商売をします。失礼な事を言わないでもらえますか?」


 確かに、いつきさんは強欲だのお金に汚いなど言われているけど、商売はきちんとしていると思う。

 まぁ、性格に問題があるのは否定できないけどね。


 ひぃ!?

 いつきさんが僕を見て笑っている。

 たまに僕の心を読んでない!?


「心なんて読んでいませんよ」


 ……え?


 僕はいつきさんに疑問を持ちながらも、パーティ申請の書類にカレンとアディさんの名前を書きたし提出した。

 これで、二人が正式に黒女神に加入する事になった。


 それはともかく……。

 え?

 心読まれてない?


 再度いつきさんに聞いても、笑うだけで答えてくれなかった。


これで三章終わりです。

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