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3話 みつきの力?

「みつきちゃん。もう買い物は終わったの?」


 冒険者ギルドにはラビさんの姿はなく、勇者専用の受付にはリリアンさんが座っていた。

 買い物はできていないので、僕は首を横に振った後、流れ星の流星(笑)に襲われたことを報告する。

 僕が報告を終えると、リリアンさんの顔が少し青くなる。


「襲われた!!? みつきちゃん。怪我はしていないの?」


 怪我って……。

 あんなへっぽこな連中に怪我をさせられるわけがない。

 しかし、冒険者ギルドの汚点は、ちゃんとリリアンさんに言っておいた方が良い。


「大丈夫だよ。でも、気を付けた方が良いよ。あの程度の奴がゴールドランクを名乗っているんだから」


 僕の知る冒険者というのは、危険な任務を遂行して、町の人々のために働くものだ。

 クエストというのは、町の人達や国のお金で成り立っているのだ。

 それなのに、あんな弱い奴等がゴールドランクというのもおかしい。


 冒険者のランクというのは、6種類と説明して貰えた。

 下から、カッパー、アイアン、シルバー、ゴールド、ミスリル、オリハルコンと教わった。

 ゴールドというのは、一般的に一人前といった冒険者に与えられるランクだそうだ。

 あいつ等がゴールドを名乗っていたけど、一人前とは思えない。


「きっと不正でもしたんだよ」


 僕は自信をもってそう答えるが、リリアンさんは信じていないのか困った顔をしている。


「みつきちゃん、少し待っててね」


 リリアンさんは、そのまま受付の奥の方へと入っていってしまった。僕の報告が嘘と思われたのだろうか。



≪リリアン視点≫


 みつきちゃんの話を聞いた後、私はゲイルさんに冒険者名簿を出してもらう。

 冒険者名簿には、このナイトハルトでの今までの活動記録が記されている。

 流れ星の流星は性格こそ欠陥はあるけど、ちゃんと冒険者として貢献しているはず。


「ゲイルさん。流れ星の流星の資料を出してくれる?」

「はい」


 ゲイルさんは、数多くの資料の中から、迷うこともなく彼らの冒険者名簿を渡してくれた。


「やっぱりそうか。実力は言うまでもなく、貢献度もある。短気なのが問題だけど、ゴールドランクは不正ではないわね」

「何かあったのですか?」


 不正という言葉が出たからなのか、ゲイルさんが声をかけてきた。

 私はみつきちゃんが襲われたことをゲイルさんに説明する。

 みつきちゃんが嘘を言っているとは思えないが、彼等がそんな事をするとも思えなかった。


「みつきさんが襲われて、返り討ちに合わせた……ですか」

「にわかに信じがたいわよね~」

「えぇ。でも、みつきさんが嘘をついているとは思えません。あの子は嘘を吐くような子には見えません」


 ゲイルさんには特殊な目『女神の眼』を持っている。

 これは、一目見るだけで、その人と人となりを見破る能力があると聞いた事がある。


「みつきさんが襲われた場所を聞いて下さい」

「分かったわ」

 

 私は、みつきちゃんの下へと戻る。

 私は王都の地図を広げてみつきちゃんに襲われた場所を聞いた。


「この路地裏」


 みつきちゃんは、あまり人が近付かないような路地裏を指差す。

 それを見ていたゲイルさんが、その場所を調べに行ってくれる。

 それにしても気になることはある。


「どうしてこんな所に? 女の子が一人で行くところじゃないわ」

「え? 生体感知であいつ等がつけてきているのに気付いていたから」

「生体感知でっすって!?」

 

 この子は今何と言った? 生体感知?

 『生体感知』は禁術とまではいかないけど、習得難易度が物凄く高い事で有名だ。

 それをこの子は使える? この子は村娘と言っていたのよ? 何故そんな子が生体感知を?

 しかも、私にはみつきちゃんの話を素直に信じることが出来ない理由があった。


「みつきちゃんから魔力を感じないのだけど?」

「うん。僕には魔力はないから」

「そうなの!?」

「うん」


 ま、魔力が無い? 嘘でしょ? そんな人間が存在しているなんて……。

 この世界に生まれた以上、どんな人間にも魔力は存在するはず。でも、確かにみつきちゃんからは、全く魔力を感じない。

 最初は隠しきっているのかと思っていたけど、みつきちゃんの顔を見る限りそれも無さそうだ。

 しかし、魔力の無い子が、最高難度の『生体感知』を使える……。どうなっているの?


 暫くすると、路地裏を見に行ったゲイルさんが帰ってくる。


「リリアンさん。流れ星の流星は確かに路地裏で気を失っていました。しかもです……」


 ゲイルさんは彼等が倒れていた状況を詳しく教えてくれる。

 砕けた重鎧に鋭利に斬られた剣。それに倒れていた三人は全て一撃で倒されていたと……。


 え? この子、普通の村娘と言っていたわよね?

 どっちにしても、あの場で倒れていたことが全ての証拠になるわ。


「流れ星の流星には私の方から罰を与えておくから、安心して」


 私は、みつきちゃんにそう宣言する。

 みつきちゃんが仮に強かったとしても、新人の、しかも女の子に大の大人三人がかりで襲いかかる時点で大問題だわ。


「分かったよ」


 良かった。みつきちゃんも納得してくれたようだ。

 私が安心して溜息を吐いていると、期待の新人であるみつきちゃんに関わって欲しくない子が、みつきちゃんのスカートを引っ張っていた。


「ん? 何?」


 みつきちゃんが振り返る。

 その子はダメ!!


次の話でヒロイン? が登場します。

前のクジ引きを読んでくれている人にはバレバレですが。


ブックマークの登録、ありがとうございます。

少しでも面白いや続きが気になるという方がいれば幸いです。

よろしければ、ブックマークの登録、評価をよろしくお願いします。


他にも連載していますのでよろしくお願いします。

 旧・クジ引き  https://ncode.syosetu.com/n2043en/ 連載凍結中 

 親友が…… https://ncode.syosetu.com/n1660ez/


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