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クジ引きで勇者に選ばれた村娘。後に女神となる。  作者: ふるか162号
第ゼロ章 クジ引きで選ばれた勇者
4/140

4話 女神に選ばれた勇者

いきなり、前・クジ引きとは違う話になってきてますが、気にしません。

 リリアンさんは、僕が冒険者としてやっていける証拠を見せてあげると言い、部屋を出て行ってしまった。

 証拠って何だろうか……。

 ま、まさか……、凶悪な魔物とでも戦わせるつもりなのだろうか……。

 だ、ダメだ。殺されてしまう。


 嫌な予感に襲われた僕は、この部屋から脱出しようと、立ち上がる……が、逃げたとしても、村には帰れない。

 昔、行商人のおっちゃんに地図を見せてもらった記憶があるが、確か僕の村と王都は凄く離れていたはずだ。

 そもそも方向音痴の僕が、まっすぐ帰れるとも思えない。

 しかもだ。

 この部屋は、冒険者ギルドの一番奥にある。絶対気付かれる。

「どうやって帰ろう。何か目印でもあれば帰れるけど……。そもそも、どうやって脱出しよう」

 脱出経路を考えていると、ふと、自分の村がある魔大陸の事を思い出す。


 ……!!


 ……絶対に無理だ……。


 余計な事を思い出してしまった。

 僕の村がある魔大陸は海に囲まれている。

 結界とやらは、どうにか出来たとしても、一番の問題が残っている。


 ……僕は泳げない。


 というよりも水が怖いのだ。

「どうしよう……。こんな事になるのなら、泳ぐ練習を……、いや、そもそも水が怖くなったのは、じいちゃんの特訓のせいだ。どうしよう……」

 僕は座ってじっくり考える事にする。

 リリアンさんが帰ってくる前に逃げ出したい。

 でも、そんな時間はあるのかな?

 いや、あると信じよう。

 でも、どうしようかな……。


 そう言えば、リリアンさんは証拠がどうとか言っていた。

 その証拠とやらで、僕は大した事がないと気付いてくれれば、解放されるはず。

 それに、お母さんがじいちゃんを叱って、僕を迎えにくる方法をアリ姉に相談してくれているはず。

 アリ姉は、僕の知る限り一番強い人だ。僕をかわいがってくれていたから、きっと助けに来てくれるはず!!

 僕がそんな事を考えていると、リリアンさんが、綺麗な桜色をした魔宝玉を持ってきた。

 いや、戻ってきてしまった……。

 しかし、あの魔宝玉は何だろう……? とても綺麗な色なのに、僕はその魔宝玉が不安で恐ろしい色に見えた。

「みつきちゃん。この魔宝玉に手を置いてみてくれない?」

「これは?」

「これは女神の魔宝玉と言ってね、これに手を乗せるとね、その人の職業と女神ランクが表示されるのよ」

 職業に女神ランクか。

 いくら何でも、女神セリティア様なら、僕がただの村人と肯定してくれるはず。

 これで帰れるかな? いや、帰れるはずだよね。


 いや、ちょっと待てよ? 僕としては、あのうるさいじいちゃんと一緒に暮らすよりも、この王都で、のんびり暮らした方が幸せじゃないんだろうか。

 となれば、ちゃっちゃと魔宝玉に手を乗せて、無能をアピールしよう。

「これを使えば、僕が勇者じゃないと認められるわけだね?」

 これは……、この魔宝玉は、僕を自由にしてくれるはずだ。

 その証拠に綺麗な……、なんだろう……。これに手を乗せちゃいけないと言われている気がする。

 僕の直感を信じるのならば、乗せずに逃げる方法を考えるべきだけど、僕はクジに当たるほど、運が悪い。

 嫌な予感しかしない。

 しかし、リリアンさんは涼しげな顔で、僕に手を乗せるように言う。

 むぅ……。

 ま、まぁ。乗せてみて、僕が勇者に選ばれなければ、諦めてくれるだろう。

 僕が嫌がっていると、リリアンさんが残念そうに僕を見る。

「みつきちゃんは、勇者は嫌なの?」

 そんな分かりきった事を、なんで聞くかな。

「嫌だよ。僕はあくまで村人だよ? クジ引きみたいな()()()な方法で選ばれただけだよ」

 皮肉攻撃だ。


 僕の言葉に、リリアンさんは黙ってしまう。


 し、しまったぁあああ!!

 これで、怒らせて牢屋にでも入れられたら……ど、どうしよう!?


 僕は恐る恐るリリアンさんの顔を見る。

 しかし、リリアンさんは笑っていた。

 笑顔で怒るタイプの人なのかなぁ?


「みつきちゃん。辛辣ね~。まぁ、一度手を乗せてみて」

 よ、よかった……。

 怒っていないようだ。

 よし!! こうなったら覚悟を決めよう!!

「うん」

 あれ? 一瞬背中が寒くなったぞ?

 どうして?


 僕は、魔宝玉にそっと手を乗せる。


 みつき(16) 性別:女 職業:女神に選ばれた勇者 称号:村娘とごねる勇者 ランク:オリハルコン


「……え?」

 僕は目を擦る。

 い、今なんて書いてあった?

 僕は、リリアンさんに視線を移す。

 リリアンさんも、魔宝玉に釘付けになっている。

「ほ、ほらね? みつきちゃん!! 証拠が出たでしょ!?」

 リリアンさんは、若干ひくついているが、嬉しそうにする。

 そ、そんな馬鹿な……。

 僕はもう一度手を乗せる。


 みつき(16) 性別:女 職業:女神に選ばれた勇者 称号:無駄にごねる勇者 ランク:オリハルコン


 ちょっと待て……。

 さっきから、この称号という項目……。僕に喧嘩を売っているのか?

「リリアンさん。この魔宝玉を割っていい?」

 僕は魔宝玉を投げようとする。

「良いわよ。ただし、弁償はしてもらうから……。そうね、五十年はタダ働きかしら?」

 僕はそっと魔宝玉を戻す。


 さて、気を取り直してっと。

「リリアンさん。このランク:オリハルコンって何?」

 ランクというのがあるのは聞いた事があるけど、ミスリルランクが最高と聞いた事がある。

 確か、実在する金属の名前じゃなかったかな?

「オリハルコンランクはね。()()()()()()では、最高ランクなのよ」

 ん? リリアンさんが、眼鏡をかけているぞ?

 美人さんは、何をしても美人さんだ……。

「リリアンさん。眼鏡……」

「あぁ。ごめんなさい。ギルド幹部の場合は眼鏡を着用して見なきゃいけないのよ」

 ん? なんで眼鏡を? 

「まぁ、いいや。これ壊れているよ。僕みたいな小娘が勇者なわけないじゃん」

「そうは言っても、もう証拠は出てるからねぇ……」

 リリアンさんが僕の手を握る。

「逃がさないわよ~」

 リリアンさんの目が怪しく光る。


 僕はこの先どうなってしまうのだろう……。


ブックマークの登録、評価、ありがとうございます。

 少しでも面白いや続きが気になるという方がいれば幸いです。

よろしければ、ブックマークの登録、評価をよろしくお願いします。


他にも連載していますのでよろしくお願いします。

 旧・クジ引き  https://ncode.syosetu.com/n2043en/ 連載凍結中 

 親友が…… https://ncode.syosetu.com/n1660ez/


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