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クジ引きで勇者に選ばれた村娘。後に女神となる。  作者: ふるか162号
二章 人魔王編

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8話 二階層探索


 二階は、一階とは違い、古い遺跡の様に見せる為か、古く見える様にわざとらしく作られていた。しかし、古い遺跡によくある独特の臭いや、雰囲気は無いので、ここも魔法で作られた場所なのだろう。


 そう言えば、ここは明るいな。


 通路に対し明るすぎるので、疑問に思い天井を見ると、長細い何かが白く光っていた。


「いつきさん。あれなに? 光の魔石でもなさそうだけど」

「はい? あぁ、光の魔石を加工しているんじゃないですか? 私の知っている光の魔法具とは形が違いますけど。よいやみさん、一つ外してくれませんか?」

「ん? いいっすよ。持って帰るっすか?」

「はい。もし、簡単に作れるようなら、量産して売るんですよ。儲かりそうじゃないですか」

「納得っす」


 よいやみは天井にくっついている長細い魔法具を取り外そうとしたのだが、力を込めていたのか、長細いなにかは割れてしまった。


「何すか!? これ、思いっきり脆いじゃないっすか!?」

「よいやみさん、次はもう少し優しく外してください」

「分かったっす」


 よいやみは今度はそっと取り外す。

 何個かは割れてしまったけど、僕も手伝って、何とか一つだけ無事にとれた。

 しかし、不思議な()だ。

 光の魔法具のはずなのに、天井から外すと消えてしまう。どういう事なのだろうか。


「光が消えた? もしかして、光の魔石じゃないんでしょうか……」


 いつきさんは、光を失った()をジッと見ている。


「いつきさん、見ただけで、構造とか分かるの?」

「流石に、今すぐは分かりませんが、詳しく調べてみれば、構造なども分かるかもしれません。もしこれを安価で作る事が出来たなら、一般家庭にも広まりますし、私としても儲かって嬉しいです」


 普通の家庭での光源は、ランプか光の魔石かのどちらかだ。

 ランプは、安価で手に入るがあまり明るくなく、光の魔石は、普通の人でも買えない事は無いが若干高価だ。

 人の集まる冒険者ギルド、お城には、光の魔石を加工した魔法具があるが、これは物凄く高価だ。

 ちなみに、僕達が拠点にしているいつきさんのお店は、光の魔石を改造したものがある。これはいつきさんが作った物らしく、売るにはコストと手間が高すぎるそうだ。

 いつきさんは商人だけじゃなく、聖女と魔法具技師といろいろな事をやっている。頼りになるリーダーだ。


 ん?


 いや、リーダーは僕だった。



 二階の探索は順調に進んだ。

 まぁ、順調と言っても、何があるでもなく、ただ進んでいるだけなんだけど。


 この階に出てくる魔物は、ゴブリンやオークにヘルハウンドといった、初級と中級の魔物ばかりだった。

 弱い魔物とはいえ、本来であれば戦利品を手に入れられるから無駄ではないのだが、ここの魔物は特殊なようで倒すと塵になってしまうので、余り倒す意味がない。


「あれっすね。合成獣(キメラ)という割には、存外の魔物を作っているだけなんすね。あしとしては、オーク肉を手に入れられなかったのがムカつくっすけど、魔石一つも手に入らんとなると、ただ働きっすよ」


 よいやみがグチグチうるさい。

 まぁ、愚痴りたくなるのも分かるけど……。


 よいやみは、オーク肉が大好きらしくてオークが出て来た時には嬉々として狩っていたのだが、ここの魔物は倒しても塵になってしまう。

 しかし、よいやみは諦めなかった。

 いつきさんから、炎の魔法具を借りて、直接焼きに行ったのだが、少し焼けた部分が出来ると、そこが塵になって消えていた。

 これにはよいやみもショックを受けたようだ。


「よいやみ、グチグチうるさいよ」

「だって、くやしいっす」

「はぁ……。この依頼が終わったら、焼肉を食べよう。それでいいでしょ? いつきさん、そのくらいのお金はあるよね?」

「大丈夫ですよ。今回は、まだ依頼料が決まっていませんので、その分もしっかりと請求しますから」


 今回の依頼は緊急クエストなので、報酬もそれなりにあるだろう。いつきさんが報酬交渉に行ってくれる事で、僕達はいつも潤っている。

 焼き肉を食べられるという事で、よいやみも少しやる気になったようだ。

 よいやみと僕で魔物を蹴散らし先に進む。



「やっぱり、この塔は拡張されているからか、広いね。まだ、広間に着かないや」


 一階と同じならば、この階にも広間はあるはずだ。そこには、また大きい魔物でもいるのだろう。

 

「そうですね。それに、また魔物が来ましたよ」

「アレは……」


 前方から、乾いた音と、ペチャペチャという音が聞こえてくる。

 なにやら物凄く嫌な予感がするんだけど……。


「何すかね、この音は……、っ!!!!!!!!!」


 よいやみが何かに気付い……あ、アレは……。

 腐った体に崩れた顔……グ、グールだ!!


「ぎ、ぎゃあああああああああああ!!」


 よいやみが叫んで逃げだし、僕を盾にして隠れる。いや、気持ちは分かるけどさ。

 しかし、グール特有の嫌な臭いはしない。やっぱり作られているからかな?


「みつき、助けってっす。いやっす。もう帰りたいっす!!」

「いや、ここで帰ったら、依頼は失敗だからね。焼肉食べられないよ?」

「グールの前で焼き肉の話はするなっす!! 吐きそうになるっす!!」


 よいやみが本気で泣きそうな顔をしている。しかし、今のは失言だった。僕も気持ちが悪い。でも、戦わないと先には進めないし……。

 僕が嫌々、剣を構えると、ゆーちゃんが前に出る。


「しね!!」


 即死魔法だ!! もしかして、即死魔法は死霊系にでも効くかもしれない。

 しかし、グール達には効いている様子も無く、ただ、こちらににじり寄ってくる。


「ざんねん。しなない」


 作られたとはいえ、一応死霊系となるのだろうか? 効かないようだ。

 こ、これは困った。

 そう考えているといつきさんが呆れた顔で前に出た。


「全く、よいやみさんがこれでは困りますね。あまり時間をかけたくないので、ここは私が戦いますよ」

「え!? いつきさん戦えるの!?」

「私は聖女ですよ。最低限の魔法は使えます」


 最低限の魔法? という事は、炎系の魔法が使えるのかな? それなら安心だ。

 死霊系の魔物は炎に弱い。


 しかし、いつきさんが使った魔法は、そんなモノじゃなかった。


「混沌の海に消えなさい!!」


 え!? この魔法は炎の魔法じゃない!?


『ブラックホール!!』


 いつきさんが魔法を唱えると、いつきさんの少し前に黒い球が現れて、グール達を吸い込んでいく。数秒で、通路を埋め尽くしていたグール達がいなくなってしまった。


「はい、終わりです」

「い、いつきさん? 今の魔法は?」

「え? 空間魔法の『ブラックホール』ですよ? 私が、使える唯一の攻撃魔法です」


 ブラックホール。

 僕が昔読んだ魔法図鑑に、最強(・・)の空間魔法って書いてあった気がするんだけど、そんなモノまで使えるなんて、本当に頼りになるリーダーだ。


 だから、僕がリーダだったような気がするけど、まぁ、いいや。


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