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クジ引きで勇者に選ばれた村娘。後に女神となる。  作者: ふるか162号
二章 人魔王編

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6話 スカルドラゴン


 塔の通路は暗く、外の光が入ってくる事はなかった。僕達はいつきさんの持ってきていた光の魔石で何とか進む事が出来た。

 魔石で最低限は見えるとしても暗く見にくい事には変わりない。どんな罠があるか分からないので、僕達は慎重に進む事にした。

 罠を確認しながら進んでいるとよいやみがポツリと呟く。


「スケルトンとはもう戦いたくないっすね」

「なんで?」

「見た目が気持ち悪いじゃないっすか。あしは死霊系の魔物が嫌いなんすよね」


 よいやみの言うことも分かる。冒険者の中にも、死霊系の魔物が苦手な人が多いというのを聞いた事がある。僕も正直、あまり好きじゃない。

 でもスケルトンはまだ大丈夫だ。問題はグールやゾンビなどの腐乱死体系の魔物だ。アレは見ていて気分も悪いし、何より臭いがキツイ。臭抗薬という薬も存在するらしいが、それでも完全には臭いを消す事は出来ない。それ以前に、人間が崩れているモノなんて、出来れば見たくない。


 暫く進んでいると、奥の方が明るくなっている。

 出口かな? と思ったのだが、塔の外の時間はもう夕方くらいのはずだ。陽の光とは考え難い。という事は、あの場所は意図的に光がある? 何かがいるという事かな?


 僕達は明るい場所へと出た。

 ここは光の魔石が天井に設置されていて、部屋の真ん中には魔法陣があった。

 しかし、この部屋はおかしい。

 明らかに塔の外周よりも広いのだ。

 

「あれは、転移魔法陣でしょうかね。しかし、発動はしていないようです」


 発動している魔法陣は、薄っすらと光っているそうだ。天井の光があるとはいえ、この部屋全体はまだ薄暗い。魔法陣が発動していたら分かるはずだと、いつきさんは言っていた。

 魔法陣を調べようと一歩踏み出すと急に乾いた音が部屋に響いた。この音はさっき聞いたばかりだ。

 よいやみと僕は警戒をする。

 暫くすると、スケルトン達が何もない所から現れる。まるで召喚されたみたいだ。


 あっという間に、広間はスケルトンに埋め尽くされる。

 しかし、魔法陣には近付かない様だ。

 こいつらを倒せば、魔法陣が発動するのかな? それにしても数が多い。ザっと見て、数百はいそうだ。


「いい加減スケルトンと戦うのは嫌になったっす。ちゃっちゃと終わらせるからそこで見てるっす」


 そう言って、腕をグルグル回しながら魔法陣に向かっていくよいやみ。

 スケルトン達も、魔法陣に近付くよいやみを見ているだけだ。何体かはよいやみを止めようと襲いかかるが、殴り飛ばされて崩れていく。

 よいやみは歩いて、魔法陣の上に立つ。そして、片膝をついて思いっきり拳を振り上げる。その瞬間に、よいやみが何をしようとしたかが理解できた。

 僕は、ゆーちゃんをいつきさんの隣に連れて行き、剣を地面に突き立てる。


「みつきさん?」

「いつきさん、じっとしてて!!」

「ちょいやーーー!!」


 よいやみは思いっきり地面を殴る。

 アイツは闘気を使った。闘気は波紋の様によいやみを中心に広がっていく。

 僕は、その衝撃を闘気を纏わせた剣で軌道をずらす。これで二人を守れるはずだ。


 僕達はよいやみの放った闘気の衝撃波を防いだが、スケルトン達はコレをまともに受け、バラバラになって崩れている。

 しかし、塵にはなっていない。


「らくしょーっす」

「楽勝じゃないよ。範囲攻撃をするなら先に言っていてよ!!」

「ははは。みつきなら、この程度、避けられるっすよね」

「僕は大丈夫だけど、ゆーちゃんといつきさんもいるんだよ!!」


 よいやみは、少しハッととした顔になった後、いつきさんを見る。

 いつきさんは何も言わずにニッコリと微笑んでいる。


 あぁ、これは怒っているかもな……。


「い、いや、すまんっす。死霊系ばっかり相手にしていて、ストレスが溜まっていたっす!!」

「違いますよ。私が怒っているのはソコ(・・)じゃないんです。攻撃そのモノは、みつきさんがいるので安心はしています」


 いつきさんが何に怒っているのか、僕も分からない。

 でも、僕を信用してくれているのは素直に嬉しい。

 よいやみもソコを怒っていると思っていたみたいで、ソコじゃないと言われて少し戸惑っている。


「よいやみさんはどこ(・・)を殴っていましたか?」


 よいやみが殴っていた場所……。地面。魔法陣……あ!!


「し、しまったっす!!」

「まさかと思いますけど、転移魔法陣を破壊(・・)してはいませんよね?」

「み、見てくるっす!!」


 よいやみは走って魔法陣を確認しに行く。

 暫くすると、額の汗を腕で拭いながら帰って来た。


「大丈夫っす。出来るだけ地面に傷が付かないように殴ったっすから」


 絶対嘘だ。

 傷付かない様に殴ったんなら、なんであんなに焦って確認に行ったんだろうね。

 よいやみといつきさんのやり取りを見ていると、ゆーちゃんが僕のズボンを引っ張ってくる。


「みーちゃん、がいこつたちがちりにならないよ?」


 ゆーちゃんが、スケルトンの残骸を指差す。

 確かにスケルトン達を見てみると、確かに崩れはしているが、塵にはなっていない。さっきまでは崩れた瞬間に塵になっていた。もしかして、本物の死霊系の魔物?

 しかし、腑に落ちない。何故、ここにだけ本物の魔物がいたんだろう? 魔法陣を守る為? いや、魔法陣はまだ発動していないようだ。

 どちらにしても、このまま放っておいたら復活してしまう。

 

「浄化の灰をかけに行こうか。普通の魔物なら魔石くらいは出るだろうし……」


 僕は浄化の灰を道具袋から取りだし、スケルトンに近付こうとしたのだが、骨が急に動き出す。


 まさか、もう復活する? そんな馬鹿な!?


 スケルトンはしつこい魔物とは知っているが、ここまで復活が早いモノなのだろうか? 何かがあるのか?

 暫く警戒をしてみていると、骨の一部が浮き出し、骨が一か所に集まっていく。

 そして、骨の集合体がドラゴンの形になっていく。


 大きい。

 僕は剣を握る。


「よいやみ、ここは僕がやるよ」

「結構大きいっすよ。大丈夫っすか? 手伝うっすよ」

「大丈夫だよ。所詮はスケルトンの集合体だからね」


 僕は、戦うために準備運動をする。

 骨のドラゴンは威嚇するように咆哮している。しかし、攻めてこようとしない。

 攻めてこないのならば、先制攻撃でもしようかな。


 僕は剣に闘気を込めて、一気に跳び、ドラゴンの頭を潰しにかかる。

 ドラゴンも僕に気付くが、でかい分動きは鈍い。

 ドラゴンの頭を両断する為に、僕は剣を振り下ろす。闘気により、僕の斬撃は数倍の長さになっている。十分にドラゴンを両断する事は可能だ。

 しかし、こいつはスケルトンだ。また復活するかもしれない……と僕はそう思っていた。

 ドラゴンは真っ二つになった後、塵になっていった。


「え?」


 斬った僕ですら何が起こったのか分からない。

 たまに真面目に戦おうと思ったら、こんなに弱いなんて……。消化不良じゃないか。

 いや、もしかしたら……。


「闘気で直接斬ったから、霧散しちゃった? スッゴイ、期待外れなんだけど……」


 僕が不満を呟きながらみんなの下へと帰ってくると、よいやみが呆れた顔で僕に声をかけてくる。


「前から思っていたんすけど、みつきの闘気の使い方は何かおかしくないっすか?」

「何が?」

「闘気というのは、元々、衝撃波の様に使うモノっすよね。あしも前衛職っすから、闘気くらいは使えるんすけど、みつきみたいな使い方はできないっすよ?」


 確かに、僕みたいに闘気を使う人は見た事はない。

 

「でも、僕は魔力がないからね。闘気を魔力の代わりに使うしかないんだよ」

「え? みつき、いっつもそれを言うっすけど、冗談っすよね?」

「え?」


 よいやみが何を言っているのか分からない。

 僕に魔力が無いのは、出会った時に言ったはずだ。実際、僕は生活用の魔法具すら使えない。

 魔法具とは、魔力を使って使用する生活用品だ。これを使えば、火がない所でも物を焼いたりできるわけだ。しかし、これは魔力が無いと使えない。当然魔力の無い僕には使えないのだ。

 そのせいもあり、いつきさんの拠点でも、僕一人では料理も出来ないのだ。ちなみに魔大陸にある家では、火打石で火を起して料理をしていた。


 僕とよいやみが話をしていると、いつきさんが魔法陣を調べ始める。

 すると魔法陣が光り始めた。


「どうやら、これで次の階層に行くようですね。しかし、何があるかもわかりません。今日はここで一泊しましょう」

「こんな所で?」

「はい。テントを用意しています」


 テントか……まぁ、何もないよりはいいかな?

 僕達が、一晩過ごすための準備をしていると、急に広間が暗くなる。

 広間に設置してある光の魔石を見てみたが、光は消えていない。という事は、魔法陣の周りだけが暗くなっている?

 僕達が警戒していると、魔法陣の丁度真上辺りに一人の男が浮かび上がっていた。


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