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クジ引きで勇者に選ばれた村娘。後に女神となる。  作者: ふるか162号
一章 勇者編

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23話 魔王リュウト 

いつもの一人称視点です。

一部指摘があったので直しました。19.6.11


 赤い鱗に覆われた体、今のリュウトは人間というよりは亜人だ。

 正直な話、目の前で変化を見ていなかったらリュウトだとは思わなかっただろう。

 リュウト自身も今の変化に理解が追い付いていないのか、棒立ちになっている。


 今なら、リュウトを殺さずに拘束できるかもしれない。

 そう思った僕は、気付かれないように足の腱を斬ろうとしたが、弾かれてしまった。


 硬い!!? やっぱり龍鱗だった。

 龍鱗ならば今の攻撃を弾かれたことも理解できる。


「これは、闘気を使うしかないかな?」


 とはいえ、赤色の龍鱗を切り裂くにはそれ相応の闘気を込めなくちゃいけない。

 僕は、一つ不安があった。それは剣が僕の闘気に耐えられるかどうかだ。

 いや、この剣は何の変哲もないただのロングソードだ。耐えられる筈がない。

 それならどうするかだが、砕ける前にケリをつける。それしかない。


 リュウトも自分の変化を受け入れたのか、急に叫びだした。声で地面が振動している。

 そして僕を一睨みして僕に迫ってくる。


 攻撃自身は、ただのパンチだ。

 思っていたよりも速いが、闘気を纏った僕ならば避けることも、そのまま反撃に出ることも可能だ。


 僕はリュウトのパンチを避け、目の前にあった右腕を斬り飛ばす。勿論、闘気を込めてだ。


 リュウトの右腕が宙を舞う。これで痛みを感じて退いてくれるかと思ったが、痛みを感じないように、今度は左腕で攻撃してきた。

 右腕を斬り飛ばした時と同じように左腕も斬り飛ばすと漸く後ろに退いてくれた。


 さて、どうやって無力化するか……。


 当のリュウトは笑っている様に口を開いている。

 口の中を見た僕は「見た目ももう魔物じゃないか……」とつぶやいた。

 リュウトの口は、さっき喰った族長の血で真っ赤に染まり、獣のような牙が何本も生えていた。

 

「グガガガ。オマエ、ナゼオレノジャマヲスル?」


 喋った、ということは意識があるの?

 今のリュウトの状態は魔物じゃなくて亜人って言うこと? 意味が分からない。

 でも、話が通じるのなら。


「邪魔をしてるんじゃなくて、勇者らしからぬ行動をとろうとしているから止めてあげようとしているだけだよ」


 これで止まってくれればいいが、リュウトが亜人をどう思っているのか……考えるまでもないが、ここに賭けてみよう。

 もし、これでもダメなら……殺すしかないのかな……。


「僕からすれば人間も亜人も『人』なんだよ? あんたがやってたのは人殺しなの。分かる?」

「マモノハコロスベキダロウ? オマエモマモノヲコロシタコトガアルダロウ?」


 やっぱり亜人を魔物と思っているのか……。

 以前ゲンさんが言っていた、人間至上主義の人が良く言うことだ。

 どのみちリュウトにこれ以上の言葉は通じないだろうから、僕も覚悟を決めるか。


 僕は、剣を強く握るが、当のリュウトは何故かキョロキョロしだし、どこかに向かって走り出した。

 何だ? 僕はリュウトの向かっている場所を見る。そこには、なぜかリザードマンが一人だけいた。


「な!? なんでこんな所に!!?」


 僕はリュウトを止めようと走り出す。よいやみも僕の行動とリザードマンに気付いたらしく、リュウトに向かって走り始めた、が間に合わない。


「ひぃいいいいいい!!」


 リザードマンの悲鳴が湿地帯に響く。

 僕達はリザードマンを助けることは出来なかった。

 一瞬でリザードマンの上半身が無くなった。リュウトに喰われたんだ……。


 そして、リュウトの変化が再び始まった。

 赤かった龍鱗は黒く染まり、顔はドラゴンの様に口が裂けている。目は金色で羽根と尻尾まで生えていた。

 そして一番驚いたのが……。


「いい気分だ。今の俺ならばお前達にも簡単に勝てるだろう」


 完全な意識を持ってる!? こいつは完全に亜人になったんだ!!?

 でも、なんだろう? この嫌な魔力は……。


「か、完全に魔物になっちゃたんだね。無様だね、勇者リュウト」

「はんっ。何とでも言え、お前は今から俺に許しを請う側になるんだからな。今のうちに精々吠えていろ」


 リュウトは僕の挑発をいなす。精神的にも成長しているの?

 ともかくここからは、殺す気で行く!!


「俺はすでに勇者じゃない。俺は魔王リュウトだ」


 ま、まおう? 今こいつはなんて言った? 魔王を名乗ったか?


「お前如きが魔王を名乗るなぁ!!」


 僕は我を忘れて、リュウトに斬りかかった。


≪よいやみ視点≫


 みつきの()()が乱れだしたっすね。

 みつき自身は魔力が無いと言っていたっすけど、たまに微量っすけど、()()を感じてはいたんすよね。恐らくゆっきーも気付いているだろうし、道具屋のいつきも気付いていそうっすね。

 これは闘気とは明らかに違うっす。闘気を発動している時は魔力を感じることは無いっすからね。

 何故かは知らんっすけど、いつもは何の影響もないから放っておいたんすけど、今はその魔力が暴走しだしているっす。

 リュウトの『魔王』という言葉で完全にキレたと言った方がいいと思うっすけど、魔王に特別な思い入れでもあるんすかね? まぁ、そこは帰ってから尋問すればいいっす。

 しかし、アレじゃあダメっす。アレじゃあ、敵を()()することは出来ないっす。


 ……そろそろあしが動くっすか。


「みつき!! 交代っす!!」

「死ねえぇええええ!! リュウトぉおおおおお!!」


 ダメっすね。聞こえてないっす。

 みつきの攻撃は、まるで子供が剣を振り回しているだけに見えるっす。

 普段のみつきの剣技は、一撃必殺を狙っているような剣技で、とても流れが良いと思うんすけど、今は見る影もないっす。まぁ、剣のことは良く知らんすっけどね。

 剣が砕けるのも時間の問題、というかもう砕けるっすね。それくらいはわかるっす。

 リュウトの方も避けるのに必死と言ったところっすか? まぁ、たいしたことないっすね。


 あしは、魔力を込めてみつきの前に移動するっす。そしてみつきの剣を掴むっす。その瞬間、剣は砕け散ったっすね。

 やっぱり限界だったんすよ。みつきの闘気と魔力に耐えきれていなかったっす。

 あしはみつきを抱きしめて、耳元で囁くっす。


「あとはお姉さんに任せるっす」


≪みつき視点≫


 剣が砕け……よいやみに抱きしめられた? えぇ!? 


「お姉さんに任せるっす」


 そう言って、よいやみはリュウトの間合いに一瞬で入ると、腹部に拳を討ち抜いた。


 凄まじい轟音がしたと思ったら、リュウトの腹部に()()()()が開いていた。

 一撃!? 素手で龍鱗をぶち抜いたの!!?


「がぁ?」


 リュウトは口から血を吐き、背中から倒れた。

 おそらくアイツ自身、何が起こったか分からなかったんだろう。僕だって目の前の状況には混乱している。


「はい。終わりっす」


 よいやみは笑顔で僕に近付いてくる。強いのはこの二か月で分かっていた。でも、ここまで圧倒的だとは思わなかった。


「みつきー。何を呆けているんすか? いつものみつきならこいつ程度、簡単に殺せたっすよね?」


 確かに、殺すことだけなら簡単だったとは思うけど、それでも……。

 僕はよいやみの行動に動揺していた。けれど、よいやみは笑顔で僕を抱きしめてくる。


「ダメっすよ。()に甘さを持つのは危険っす。それで自分が危なくなるのはもっとダメっす。こういう時はお姉さんに任せるっすよ」


 こんなこと言われたら、本当にお姉さんと思ってしまうじゃないか……。


「後で『魔王』についてしっかり話してもらうっすよ」


 うっ……。

 こ、これはもう隠しきれない……。


 そういえばリュウトは?


 僕達は思い出したようにリュウトを見る。リュウトの体は、足の方から崩れ出していた。


「え? ど、どういうこと?」

「魔物変化症にかかった者の末路……ですね」


 僕達は、声がした方に振り返る。そこには、いつもの道具屋の服とは違い、綺麗なローブ姿のいつきさんが立っていた。


 活動報告でも書いたんですが、一人称寄りの三人称視点で書いてみようと思い書いたんですが、旧クジ引きの設定は生きているので情報量が多くなり訳が分からなくなってしまい、一人称視点で書き直しました。

 活動報告の方に一人称寄りの三人称視点の23話も載せているので、もしよかったら読んでみてください。ネタバレな情報も入っていますが……。


 感想やこうしたらいいよとアドバイスがあればぜひよろしくお願いします。

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