13話 金の勇者クレイザー
昨日投稿したと思い込んでいたんですが、投稿していませんでした。
さっき14話を投稿したことで気付きました。申し訳ないです。
僕達を乗せた馬車は、オーガによる襲撃を受けた村に到着した。
村は、幾度となく襲撃を受けたせいか村はボロボロだ。
しかし、不思議なことがある。真ん中にある大きいお屋敷だけはほとんど無傷だった。
どういうことだ?
そもそも僕の中では、この村が襲われているのは自業自得だと思っている。
というか、アロン王国では魔物の縄張りを犯すという行為が、どれほどのことかを教育すらしていないのか? とすら思ってしまう。
僕達が村に入ろうとすると、門番をやっていたボロボロの皮鎧を着たおじさんが僕達を止める。
「お嬢ちゃん達はどうしてこの村に? たいしたようがないのなら、早く帰るんだ。この村は危険だ」
危険ね……。
僕はおじさんが悪いわけじゃないと思うのに少し不機嫌になってしまう。
この国の冒険者や国民がどう思っているのかは知らないが、魔物の縄張りに入って狩りをすることはそれなりのリスクを伴う。
村全体で、オーガの縄張りを奪いに行ったのならば、今のこの村の状況は自業自得だ。
ハグロは村人は村長を止めていたといっていたけど……。
僕がいろいろと考えていると、リリアンんさんが代表で門番のおじさんと話をしている。
話の内容としては、村長の所在と盗賊達、それと金色の勇者のことの様だ。
おじさんはリリアンさんが冒険者ギルドのサブマスターであることに驚いていた。
そして僕を勇者と紹介した時によいやみも驚いていた。
「みつきって勇者だったんすねー。ただ者じゃないと思ってたっすけど、凄かったんすねー」
よいやみは僕が勇者に選ばれた経緯を知らないのかな? 僕はクジ引きで選ばれただけのなんちゃって勇者だよ?
まぁ、そのことはいいや。
今はオーガ討伐についてだ。
おじさんは僕達が冒険者ギルドから来たことを驚いていた。それと同時に、何か不満そうな顔もした。なんで? おじさんにとってこの村の一大事で、おじさんの格好からオーガに迷惑を受けているんでしょ?
僕は怪訝な目でおじさんを見る。その目に気付いたおじさんが重く口を開く。
「お、オーガを討伐に来たのか? この村の状況はオラ達の自業自得であり、これで村が滅びるのであればそれが運命だ。このような小さな村は静かに消える。だから、引き取ってくれないか?」
ん? 何故おじさんがオーガを庇うようなことを?
これは詳しく話を聞く必要がある。
おじさんが言うには、村長が縄張りに入って好き勝手するまではオーガとはいい関係だったそうだ。
それもそうだろう、縄張りにさえ入らなければ、オーガは襲ってこない。それどころか、村が別の魔物に襲われたときは守ってさえくれていたそうだ。
だからこそ、村人達からすれば村長が許せなかったらしい。
今は村長と盗賊がどうなったのかを聞くと、オーガの襲撃が始まった時に一番最初に逃げて行ってしまったらしい。
リリアンさんはそれだけ聞くと、何かを取り出した。アレは通信用の魔宝玉? 確か、ヴァイス城でも使われていた。
暫く魔宝玉に話しかけて「村長達は指名手配したわ」と笑顔で答えていた。顔とかを特定できるのだろうか?
それはともかく、今は村の状況だ。
勇者が来たというのに、村は活気がない。どういうことだ?
「おじさん。ここに勇者が来たんでしょ? そいつはどうなったの?」
するとおじさんは、あの無傷の屋敷を指差す。どうやらオーガにやられて怪我をしているそうだ。
怪我と聞いて、リリアンさんが「村の被害は?」と聞くと、何人かは盗賊が逃げる際に斬りつけられたりしたということだ。
ここでも、オーガは人に対しては全く手を挙げていないらしい。
つまり、オーガはできるだけ傷つけずに追い出そうとしているのだ。僕達はとりあえず、無傷のお屋敷に入ることにした。
お屋敷の中では、床に傷ついた人達が寝ていた。怪我をしている人達は重症の様で、苦しそうだった。
リリアンさんが急いで一人一人の治療に当たることになった。
幸い、この中には命に別状のある人はいなかった。そこだけは良かったと思う。
僕は件の勇者を探す。
金色の鎧などを着ているのならば、目立つはずだ。
すると、たった一つだけあるベッドにそいつはいた。
僕がそっと近づくと、そいつは間抜けな顔をして寝ていた。
ちょっと待って、こいつの怪我、村の人に比べたら明らかに軽症だ。
どういうことだ? なんで前線で戦ったはずのこいつが一番怪我が少なくて、一人だけベッドで寝てるんだ?
村人に勇者が怪我をした時の状況を聞くと、呆れてものが言えなくなった。
こいつは、村人の制止を無視してオーガに集団リンチを受けたらしい。
流石に、王都の勇者を殺させるわけにはいかないので、村の貴重品である薬草などを使い、勇者を癒したそうだ。
ほぅ……。
僕は、思いっきり勇者が寝ているベッドを蹴り倒す。よいやみも何かムカついたらしく、勇者の腹を蹴っていた。
「ぎゃはぁああ!! な、なにをするんだ!!」
「何をするじゃないよね? 君、勇者でしょ? なんで一人だけベッドで寝ているの?」
「そうっすね。お前以上に怪我をしている人がいっぱいいるのに、なぜ一番若く怪我も軽いお前が寝てるっすか?」
勇者は僕達二人に凄まれて、少しずつ後退り、誰かに当たる。
勇者が恐る恐る振り返ると、そこにはいい笑顔のゆーちゃんがいた。
「みーちゃん。いい?」
「いいよ」
僕がそう許可すると、ゆーちゃんは勇者に向かって『ひーる』を使う。
勇者のお仕置きはゆーちゃんに任せるとして、僕は治療中のリリアンさんに声をかける。
「リリアンさん。これからどうするの? オーガを討伐、および殲滅するのは僕はしたくないよ」
「そうね、私も同じ気持ちよ。みつきちゃん、さっき話してくれたハグロという鬼族の人に協力してもらうことは出来ない?」
リリアンさんが言うには、一度拗れたオーガと人間の関係を両方の中間の存在である鬼族に仲裁してもらいたいとのことだった。
もしこれが実現すれば、亜人と人間が共生できる証拠になると……。
魔大陸ではとっくに共生できてるんだけどね。
「リリアンさんはここで待っててください。僕がハグロと話をしてきます」
そう言って、僕は村を後にした.




