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クジ引きで勇者に選ばれた村娘。後に女神となる。  作者: ふるか162号
一章 勇者編

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10話 よいやみ


「ちょ、ちょっと!! 大丈夫!?」


 僕は女の子を見る。

 可愛い子だなぁ……、綺麗な金髪のせいかお姫様みたいに見える。

 しかし不思議な格好の女の子だ。

 長い金髪を後ろで太い一本のみつあみにしている。みつあみにせずにそのままの方が奇麗だと思うのに、それに服装は顔に似合わず、武闘家さんが着るような動きやすそうな服を着ていた。

 僕は拳を見る。

 これは鍛えている人の拳だ。腕も細いけど、筋肉がしっかりついているような気がする。

 この子は武闘家なんだろうか?


 僕が女の子を見ていると、ゆーちゃんがワクワクしながら「ひーる? ひーる?」と聞いてくる。


「流石にダメだよ。この子が死んじゃったらどうするの。ねぇ! 大丈夫?」


 女の子に声をかけるが、反応はない。しかし、気を失っているわけでは無いみたいだ。目だけは薄っすら開いている。

 ん? 何かを呟いたぞ?


 僕は女の子の口に耳を近づける。


「お、お腹……減ったっす」


 もしかして、空腹で倒れていたの!?

 まぁ、死にかけているわけじゃないみたいだから、少し安心した。


 僕達は女の子を連れて、ゆーちゃんが行きたがったお店へと向かった。

 

 これが全ての間違いだった……。


 食事が終わった後、僕は茫然とした。


「食事代、29万8000ルーツになります」

「あ……はい」


 僕は、泣きそうになりながら食事代を払う。

 この食事代を払ったことにより、僕達は一気に貧乏になった。というか、財布の中が1万ルーツもない……。

 こんな状況になった原因の一つがこの店だ。

 この店は高級店で一つ一つの料理が高かった。

 とはいえ、僕とゆーちゃんだけなら5万もいかなかっただろう。しかし、問題はこの女だ。

 後から聞けば財布をどこかで落としたらしく、お金を持っていなかったことでご飯が食べられなかったらしい。

 しかもだ、お金を持っていないにもかかわらず、人のお金で飲むは喰うわ。このか細い体のどこに入っているのか。

 この女の名前は『よいやみ』冒険者になる為にこの国に来たらしい。

 よいやみの質の悪いところは、奢らせるだけ奢らせて逃げようとしたことだ。

 流石に逃がすわけがなく、ゆーちゃんのひーるにより捕獲したわけだ。


「で? 何か言いたいことはある?」

「な、なんなんすか!! ちゃんとお礼を言ったっすよ!? それなのにこの仕打ちは何すか!!」

「いや、普通はお礼を言っただけではだめだよね? ちゃんとお金を返してもらうよ」

「あしはそんなお金は持ってないっす」

「あんたで作るから問題ないからね」


 僕は笑顔でひーるの麻痺効果で動けないよいやみを拘束する。

 拘束される間も「人でなしっす!!」と騒いでいたが気にはしない。

 よいやみをロープでグルグル巻きにして、売り飛ばす為に冒険者ギルドに連れて行った。



 冒険者ギルドの勇者専用の受付でラビさんが僕とよいやみを見て絶句している。


「み、みつきさん? その捕獲されている女の子はどちら様ですか?」

「この子を売りに来たんだけどいくらになる?」


 お金でお礼をできないのであれば、よいやみ自身がお金になればいい。そう思って売りに来たのだが、ラビさんに拒否された。

 なんでだろう。

 よいやみは顔が良いから、売り飛ばせばいいお金になると思ったんだけどな。


「人身売買反対っす!!」


 人身売買とは人聞きの悪い。ちなみによいやみはゆーちゃんのひーるで麻痺しているので動くことは出来ない。

 普通の人は全身麻痺になれば話をすることも出来ないはずなのだが、よいやみは話すことが出来、なぜかうるさい。


「うるさい。じゃあ、どうやってお金を返すの?」

「あ、あれっす!! 冒険者の報酬で払うっす!! あしを信じるっす!!」

「いや、あんた、お店出た瞬間逃げようとしたよね? そんな奴をどう信じろと?」

「それは誤解っす!! 逃げようとしたんじゃなくて、その……あの……」


 何をごにょごにょと……。

 僕達が騒いでいると、奥の部屋からリリアンさんと少し強そうな冒険者が出て来た。どうやら奥の部屋でクエストの打ち合わせをしていたようだ。

 いいことを考えた。この強そうな冒険者に直接売りこもう。


「おじさん。この子買いませんか?」


 おじさんは呆れた顔をして「この国では人身売買は大罪だぞ?」と忠告してくれた。


「いや、非人道的な人身売買じゃなくて、荷物持ちにでも」

「それでもダメだろう。一度拾ったなら、最後まで面倒を見るべきだ」


 だ、ダメなの? お金が無くなったせいでちょっと暴走していたのは認めるけど、え? ちょっと待って。

 最後まで面倒を見るということは、こいつを僕がどうにかしないといけないってこと?

 い、いや。こんなのを飼ったら僕は破産してしまうのだが……。


「どうしたの? みつきちゃん」


 僕はリリアンさんにこの状況を説明する。

 僕としてはどうにかこの大喰らいをリリースしたいのだが、売り飛ばすことはダメだし、どうすれば?

 

 リリアンさんは「私に任せて」と言って、よいやみを連れて、女神の魔宝玉を取りに戻る。

 ちょっと待って、アイツ麻痺しているはずなのに、ぴょんぴょん跳んでリリアンさんについて行っている。アイツ何かおかしくない?

 

 十分くらいでリリアンさんは顔色を変えて戻ってくる。拘束の解かれたよいやみと一緒にだ。

 麻痺の効果が消えたのか、よいやみは普通に歩いている。


「みつきちゃん。よいやみちゃんもパーティに入れてあげて。武闘家として戦えるそうよ」


 え? いや、リリアンさんが言うのなら素質はあるんだろうけど、なんで顔色が悪いの?

 もしかして、犯罪者?


「こ、この子も……オリハルコン……なのよ……」


 え?

 よいやみがオリハルコン?

ブックマークの登録、評価、ありがとうございます。


よいやみの容姿を旧クジ引きから変えました。

以前、金髪ツインテール 今回 金髪、後ろでみつあみ

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