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クジ引きで勇者に選ばれた村娘。後に女神となる。  作者: ふるか162号
一章 勇者編

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8話 強化魔法

誤字報告、いつもありがとうございます。


 ゴブリンは、強化された自分の体を確認しているようだ。

 この威圧感は、弱い魔物が出す威圧感じゃない。これはどうしようか……。


 しかし、ゆーちゃんには驚かされる。

 他人への強化魔法というのは、対象となる人の魔力波長が完全に一致しないと、成功しないと聞いたことがある。

 しかもそれは人間の場合だ。魔物相手では話が違ってくる。

 魔物の場合は、魔力波長がランダムに変わるから、強化出来ないと聞いた。

 ゆーちゃんがかけた魔法は魔物を強化した。

 きっと魔法を研究している人達からすれば「在り得ない!!」と言うだろうが、目の前のゴブリンは実際に強化されている。


 ……と、今はそんなことを考えている場合じゃない。

 目の前のゴブリンがいつ襲ってくるか分からないから、警戒を解くわけにはいかない。


 ゴブリンは右手を上にあげる。

 何をするつもりだ?


「ゆーちゃん!! 下がってて!!」


 僕が叫ぶとゆーちゃんはゆっくり木の後ろに隠れる。

 もっと遠くに逃げていて欲しいが、ゆーちゃんの足では仕方ないかもしれない。

 僕は嫌な予感がして、ゴブリンの首を斬りに行く……が、ゴブリンの首は予想以上に硬く、剣が弾かれた。


 硬っ!?

 嘘でしょ? この皮膚って鉄以上の硬さなの?

 何度も同じ場所を斬るけど、全て弾かれる。


 ゴブリンは僕の攻撃を気にせず、大斧をどこかから取り出した。

 あ、あれはヤバい!!


 僕は一瞬でゴブリンの攻撃範囲から抜ける。……が、ゴブリンの動きも速い!!

 避けられるか? いや、避けなくては死んでしまう。

 ゴブリンが大斧を振り下ろす!! 僕はこれを避けるが、大斧が地面に激突した時の衝撃で吹き飛ばされそうになる。


 これは不味いなぁ。()()()している場合じゃない。

 僕は、()()()で腕を斬りに行く。


『パワーが無くて硬いものが切れない場合、超高速で斬りつければ斬れる場合があるわ。それと関節を狙いなさい。皮膚や外皮が硬くても、関節はそこまで硬くない場合が多いわ』


 僕に剣を教えてくれたハインさんの言葉だ。

 僕は、ゴブリンの関節部を狙い自身の出せる最高速で斬りつける。

 ゴブリンもこの動きには反応できなかったらしく、腕は宙を舞う。

 斬れた!!


「ギャガアアアアアアアア!!」


 ゴブリンにも痛みがあるのか、斬れてなくなった部分を押さえている。

 斬り口からは血が噴き出していたのだが、筋肉で血を止めたのか今は血が止まっている。

 本当に出鱈目なゴブリンだ。

 ゴブリンは僕を見て口角を釣り上げる。


 こいつ……僕に勝てると思っているな? 

 今度は腕じゃなくて首を落とす。

 僕は、さっき腕を斬り落とした速度で首を狙うが弾かれる。


 なんで? と思ったけど、ゴブリンは筋肉を硬化させて防御していることに気付く。

 これはアレだ。

 村の近くの森にいるイノシシと同じくらいの強さだ……。

 まともに戦ったら、僕の方が分が悪いかもしれない。


 僕はゴブリンの攻撃を避けているうちにゆーちゃんの傍に来ていたらしく、ゆーちゃんが僕のズボンを引っ張る。


「え? ゆーちゃん、危ないよ!!」


 僕は焦るが、ゆーちゃんは焦りもなく僕をジッと見る。


「みーちゃんはどうしてまりょくをつかわないの?」

「僕には魔力が無いんだよ」

「んー?」


 ゆーちゃんは僕をジッと見る。

 もしかして、疑っている? 確か魔眼の特性って……。


 人の隠している力を見破る……。


 そうか……ゆーちゃんには隠していても仕方ないか。

 陰で隠れている、()()()にもバレるけど、ここで死ぬよりかはマシだ。


 僕は生まれながら魔力が無い。だから魔法はもちろん、魔力を使う生活用の魔法具すらも使えない。

 僕はそれが悔しくて、魔力の代わりに何かできないかをじいちゃんに相談した。

 じいちゃんは魔力を使わない、『闘気』という力の使い方を教えてくれた。

 本来、闘気は衝撃波として使うのが普通らしいが、僕は闘気を体の中に押し込めることで身体能力の強化を実現した。

 魔力による身体強化は、魔力を持つ者ならば息を吐くようにできるらしいが、僕は意識しないとそれが出来ない。

 その代わりと言っては何だが、この闘気を纏う力は武器にも反映させることができる。

 僕はそれを使うことによって、僕よりも格上のイノシシを倒すことができていたのだ。

 武器に闘気を纏わせることは、村でも僕にしかできなかったことだ。


 ゴブリンは僕の攻撃が効かないことをいいことに、大斧を拾い上げ襲いかかってくる。

 流石にこのままじゃ負けてしまう。

 全身に闘気を巡らせることで、僕の動きは数倍は速くなる。

 身体能力も高まっているので、ゴブリンの様な巨体でもぶん殴れる。


 僕はゴブリンの頬を思いっきり殴る。ゴブリンは殴られた反動で無防備に吹っ飛び倒れている。

 ゴブリンが倒れているのを見過ごす僕じゃない。

 一瞬で倒れているゴブリンの真上に移動する。そして、剣をゴブリンの核部分に突き刺す。

 僕の知る限りゴブリン……小鬼族の核は胸の中心部分のはずだ。


 僕が剣を突き立てると、ゴブリンが苦しみだす。

 しかし、死にはしないみたいだ。


 ゴブリンは苦しみながら立ち上がろうとする。

 僕も一度剣を抜き、剣に闘気を込めそのままゴブリンを縦に斬る。


 流石の強化ゴブリンも両断されれば絶命するらしい。

 ゴブリンはピクリとも動かなり、何とか倒せたようだ……。

 

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