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オロチの子種  作者: 雛鳥めっせ
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第四話「血力発動」


「えーっと……牛乳、キャベツ、ニンジン、牛挽き肉、ミニトマト、ししゃも、味噌、麦茶パック、リンゴ……よしっ、全部買った」

 スーパーで買い物を終えた後の帰り道、俺はスマートフォンに登録していた買い物リストを確認しながら歩いていた。

 住宅街の道路はすでに夕陽のオレンジ色に染まっており、あと一時間もすれば夜が訪れる。

 最近は誘拐・失踪事件も起きているから早めに帰りたい。

「にしても今回のお使い、結構買わされたな……痛たたっ」

 ビニール袋の取っ手が指に食い込み、ときどき反対の手に持ち替えながら歩く。

 こういう時にママチャリが便利なんだけど持ってないからなあ。

 自転車は持っているけどカゴ無しだし、しかも学校までは歩いて十分くらいの距離だから遅刻とかで急いで登校する理由がなければ乗る必要もない。

 ならなぜ自転車を持っているのかというと、中学生のときに乗っていたものだからだ。

「……………………、ん?」

 背後から足音が聞こえてくる、というか商店街辺りからずっと付いてきている。

 この辺りは住宅街だが人気が少ないため、姿を見られず音も立てなければ犯罪もやりやすいちょっとした危険地帯だ。

 しかもこの数週間、近辺で物騒な事件が立て続けに起きていることからも警戒せざるを得ない。

 心臓が一つ、ドクンと大きな音を立てる。

 手にも嫌な汗が湧いてきた。

 相手が何者かは知らないが、万が一にもみとせを置いてどこかに消えるなんてことはできない。

 後ろから付いてきている人が仮に犯罪者だとすると、うちの周りにも現れるようになったということ。

 つまりそれは、みとせにも危険が及ぶ可能性があるということだ。

 そんなことはさせない……みとせは俺が護る!

「…………っ」

 少し歩くと前方に曲がり角が見えた。

 これを使わせてもらおう。

 残り八歩……六歩……四歩……二歩……曲がった。

 これで相手の視界から俺の姿は消えた。

 その一瞬の間に俺は回れ右、曲がり角から顔をのぞかせてくる相手と対峙する体勢に入る。

 振り向くまでのわずかな間に空いた右手へ力を集中させて、血力を発動させた。

 粒ほどの白い光が手のひらに集まっていき、やがて野球ボールの大きさに育つ。

 光の玉の中から刀身の先端が顔を出し、二十センチほどの刃が出現した。

 刀身を完全に出し切るにはもう少し時間が必要だったが仕方ない……途中までで相手をするしかない。

 先手必勝。

 曲がり角に入ってから血力を発動させ相手が顔をのぞかせてくるまでの時間、わずか一秒。

「うおッ!?」

 曲がり角を歩いてきた男が驚きのあまり身を引く。

 刀身の切っ先は、すでに相手の目に向けられていた。

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