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オロチの子種  作者: 雛鳥めっせ
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第二十九話「一安心」

 身体検査の翌日、俺とみとせは制服でいつも通りに登校し、教室に着いた。

 早めに到着してしまったようで、教室にはまだ数人いるだけだ。

「おはよう」

 いつものように軽く手を上げ挨拶する。

「…………」

 しかし挨拶が返ってくることはなかった。

 ちゃんと声は届いていたはずだけど……。

「……っ」

 みとせは息苦しそうに胸元をきゅっとつかんでいた。

 視線もあちこちさまよっており、あたかも他人の家にお邪魔したときのような落ち着きのなさだ。

 幼少のみぎり、みとせは人見知りが激しかった。

 だが成長とともに少しずつ改善していき、初対面の人相手でも話せるようになってきたのだが……再発、なわけないよな。

 むしろ教室だし、知ってる人ばかりだし、どうして急に。


 時間が経ってクラスメイトが一人、また一人と登校してくる。

 隣の席の西条くんもやってきた。

「おはよう」

 できるだけ明るい口調で声をかける。

「え……ああ……」

 いつもならハッキリおはようって返してくれるのに、その言葉すら発しなかった。

 不思議に思った俺は流れに任せて聞いてみる。

「どうしたの?」

「いや、別に……」

 西条くんは(いら)えず、視線も合わせてくれない。

 どう考えても避けられている態度だった。

 ……あまり考えたくなかったけど、これはもうあれしかないな。

 みとせの血力のことがみんなに知れ渡っているんだ。

「はよーっす!」

 教室の扉をガラガラっと勢いよく開けて教室に入ってきたのは真直だった。

 すぐ後ろには凛子もいた。

 二人が俺のもとへやってくる。

 その一歩一歩が俺の心臓を高鳴らせた。

 お前たちも、みとせの力を知って俺たちから距離を置いてしまうのか?

 もっとみとせのことを理解してほしい。

 たまたまそういう血力を使ってしまうってだけで、彼女は本当に優しいんだ……嫌いにならないでやってくれ!

「オッス尊!」

「え……」

「どした、元気ねえぞ」

「あ、いや、ゴメン。おはよう」

「おうっ!」

「おはようみとせ」

「あ……うんっ。おはよう、凛子ちゃん……」

 真直と凛子はいつも通り……ホント嬉しいことに、いつも通りに接してくれた!

 みとせの血力については相当話が広まっていたから、当然、真直と凛子の耳にも入っているはずだ。

 それでもいつもと変わらず接してくれた……それが何よりも嬉しい。

 小学、中学はなんとかいじめの対象から外れるようにするので精いっぱいだったからな……。

 他のクラスメイトたちが(すがめ)で俺とみとせの様子を窺ってくる。

 真直と凛子が臆することなく普段通りに接しているため、蚊帳の外から状況を分析しているようだった。

 この場合、こちらから無理やりアクションをとると避けられそうだから、向こう側から自然にやってくるのを待つ姿勢でいいかな。

 小学や中学の時のように孤立する心配はなさそうで、すごく嬉しかった。

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