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オロチの子種  作者: 雛鳥めっせ
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第十八話「敵は内と外に」

 体育館に入り、順番に体力測定を行っていく。

「よっしゃーっ! 張りきっていくぞォォォッ!!」

 一人だけガッツポーズを決め握力測定へ臨む真直、そしてうるさいと関節を極めにいく凛子、俺とみとせはその光景を眺めながらまたか……と失笑していた。

 体力測定は体育館とグラウンドを行き来し、休憩を挟みながら行われる。

 種目は握力、上体起こし、長座体前屈、反復横跳び、持久走、二〇メートルシャトルラン、五〇メートル走、立ち幅跳び、ハンドボール投げ。

 一日で全てをこなすことは体力的に難しいため、いくつかの項目は別の日に体育の授業内で行われる。

 また、体力測定は原則、血力使用不可である。

 そのため地力での結果を出さねばならない。

 特別な理由がある場合は血力の使用を許されているが、血力使用時・未使用時の二回測定を行うことになる。

「真直くんは握力、得意そうだよね」

「そうだね、筋トレオタクだし」

 予想通り真直はクラスどころか学年一位の成績をたたき出し、計測員の先生たちを驚かせていた――すごい一年生がいるぞ、と。

「ふーん、彼、すごいねえ」

「あ、御堂君」

「体力測定なんかで力使ってると後に響くのに……」

「真直は何も考えてないからね、単純だし」

「瀧真クンも全力を出すの? この後の血力鑑査に影響が出ると思うけど」

「一応は。勝負も受けちゃったしね、最後まで真直に付き合うよ」

「ふーん」

 御堂君は面白くなさそうな相槌を打つと、みとせに視線を移した。

「赤霧さん、だったっけ」

「えっ? はい……そうですけど名乗りましたっけ」

「男子でナンバーワンの実力者は瀧真クンだって聞いたとき、ついでに女子のほうもナンバーワン候補は誰か聞いてたんだ」

「そ、そうですか……」

「へぇー……赤い髪か」

「っ……」

 みとせは御堂君に不安を覚えたようで、俺の背中に隠れて彼からの視線を遮った。

 確かにみとせの赤い髪は色んな人の目を引くけど……あまりよろしくないな。

「綺麗だね」

「あ、ありがとうございます……」

「御堂君、あっちでクラスの人が呼んでるみたいだけど」

「ああ、そっかゴメン。じゃあまた後でね」

 俺の後ろにいるみとせに視線を送ると、御堂君は自分のクラスのもとへと帰っていった。

「尊、ごめんね……髪のことを言われると、怖くて……つい」

「いいよ、むしろ俺をどんどん使ってよ。みとせを守ることができたらそれ以上の喜びなんてないんだから」

「も、もうっ……人前でそういうこと言わないでよ……」

 視線を下に落とし、指先をもじもじと弄り回すことで恥ずかしさを紛らわせていた。

 しかしみとせは自分の髪のことで精いっぱいだったから気づいていなかったみたいだ……御堂君が色目を使っていたことに。

 行方不明者の出る事件からも、学園内の人からも守ってあげないといけないな。

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