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オロチの子種  作者: 雛鳥めっせ
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第十六話「身体検査、当日」

 登校し、教室で朝のHRが始まろうとしていた。

 クラスメイトのみんなは既に体操服へ着替えており、担任の板垣先生も教壇についていた。

 ハンサムで優しく、人当たりも良いため特に女子に人気のある先生だ。

「誰も遅刻なし、休みもなし。うちの生徒たちは素晴らしいな」

 白い歯をのぞかせて柔らかく微笑むと、クラスメイトの女子たちもつられて笑っていた。

「今日は予定通り身体検査が行われる。まず始めに身長・体重・視力などの測定、次に立ち幅跳びや持久走などの体力テスト、そして最後に血力の鑑査を行う。途中で気分が悪くなった時は近くの先生に言うこと。無理はだめだぞ。もし何か理由があって回る順番が変わる場合も先生に言ってから変更すること。以上だ、質問はあるか?」

 先生が言い終わった直後、凛子が姿勢を正しながら真っすぐ挙手した。

「血力鑑査の結果が良かった生徒は来週金曜の披露イベントで大々的に発表されるというのは本当ですか?」

「本当だ、例年のことだし今年もやると聞いている。学年ごとに男女一人ずつしか選ばれないからな、がんばれよ!」

 爽やかな笑顔をクラスメイトに向けると、女子から嬉しそうな声があがった。

「他に質問は……なさそうだな。クラスごとに移動するけど、順番を呼ばれるまでこのまま待機しているように、以上だ」

 板垣先生は身体検査の測定員らしく、伝えるべき内容を伝えると教室を出て行ってしまった。

 呼ばれるまで自由だとわかった途端、教室中が談笑モードに入る。

「なーなー尊、勝負しようぜ!」

「勝負?」

「血力鑑査以外でもどっちが身体能力が優れてるかだ」

 特に断る理由もないし、のってやるか。

「いいよ、勝負しよう」

「じゃあ負けたほうはプロテインおごりなー」

「そこは普通ジュースだろ、筋トレオタク」

「あっはっは、そう褒めるなって」

 真直は普段から筋トレに励んでいるそうで、鶏肉料理をよく食べたりしているそうだ。

 そのためか体の肉の厚さが同年代の俺より一回り大きいのが服の上からでもわかる。

「凛子ちゃん、私たちは普通にやろ。ね?」

「……………………」

 みとせはおどおどしながら凛子に平和的意見を述べ、普通に身体検査をしたいとお願いする。

 しかしカリギュラ効果が発動してしまったのか、凛子は口元だけで小さく微笑んだ。

「私たちもやりましょう、勝負。負けたほうがマシュマロをおごるのよ」

「そこは普通ジュースじゃ……」

 いくら好物とはいえ賭けの商品にしてしまうのはどうなんだろう。

 幼馴染はこういう妙なところが似てきてしまうんだろうか。

「変に気を使って手を抜くのはナシだからね、みとせ」

「うぅ~……わ、わかった」

 マシュマロはまだしもプロテインの用意は無理なため、平等を名目にどちらもジュースをおごることで話を付けた。

 その直後、校内放送のチャイムが鳴った。

『次は一年三組です。移動してください』

 担任の板垣先生はいないため、委員長がクラスをまとめながら移動していく。


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