第十五話「安堵」
「それで、私に何の用だったの?」
「今日って身体検査だから体操服で行こうか、それともいつも通り制服で行こうか、みとせはどっちなんだろうって……それを聞きたかっただけ」
「あ、そうなんだ。じゃあ私と一緒だね」
安心したようにほっと柔らかく微笑んだ。
「こういうのって一人で悩んでても不安しか感じないから……自分だけ違ってて他の人はみんな一緒だったら恥ずかしいし」
俺を信じきった目で不安を吐露していくみとせ。
みんなと違う……仲間外れになりたくないという小さな不安を吐き出していた。
「こういうのって一人で悩んでると不安で仕方がないから……だから、尊がいてくれてほっとする」
「俺もみとせが傍にいてくれると嬉しいよ」
みとせが素直な気持ちを伝えてくれたので、俺も応えるようにできるだけ優しい口調で想いを告げる。
ちょっとむず痒い雰囲気になってきて恥ずかしいな……話を元に戻そう。
「たまにしかできないことだし、二人とも体操服で行こうか」
「うんっ、わかった。じゃあ私、着替えてくるねっ」
軽い足取りでパタパタと自分の部屋へ戻っていくみとせ。
「さて、俺も着替えるかな」
体操服を手に取り、登校の準備に入ることにした。
俺とみとせは体操服に身を包み、朝の通学路を歩いていた。
今日も快晴で、少し暑いくらいの天気だ。
汗をかくかもしれないからある意味、体操服での登校は正解だったかもしれない。
「おーい尊ーっ、みとせちゃーん!」
背後から聞こえてきた元気な声に振り向くと、俺たちと同じように体操服を着たクラスメイト――真直と凛子がこちらに駆けてきていた。
「尊~、みとせちゃ~ん、はよーっす!」
「おはよう」
真直は見ていて暑苦しいくらいに元気な、凛子は風のように涼しげな表情で挨拶してきた。
「尊とみとせは二人とも体操服なのね」
「うん、真直と凛子と同じ」
「あはは! この分だとみんな体操服だったりしてなッ」
「ふふっ、そうかもね」
安堵の表情を見せるみとせ。
みんなと同じ服装で登校できたからか安心しているようだ、良かった。




