第十三話「げんきょう」
鍵はかけていないし、そもそもドアノブが回らない。
それってつまり、外から誰かがドアノブを押さえつけてるってことだよな。
お父さんがそんな非常識なマネするわけないから、消去法でいって確実に……。
「お母さん?」
「うふふ~そう簡単には出してあーげないっ」
「子供のいたずらか!」
強く握り直し思いきりドアノブをひねるが、それでもビクともしない。
「うおっ、すっげー力! こんなくだらないことに……ッ」
年甲斐もなくこんなことして何が面白いんだか……。
こういうのはイタズラ好きな男の子のやることだろ!
「みとせも嫌がってるからさ、早く出してよっ!」
「べ、別にいやじゃない!」
「えっ?」
「あ…………」
またもや振り返ってしまい、頬を赤く染めた下着姿のみとせと目が合ってしまう。
透き通ったきれいな水色の瞳が羞恥に震えると、次に俺の視線は下へと移っていった。
胸はまだそこまで大きくなっていないようで、いわゆる谷間と呼ばれるところには浅い影ができているだけだった。
細いウェストは綺麗にくびれており、そのまま下に続くヒップのラインも丸くて美しい。
「いやああぁぁーっ!」
みとせは羞恥のあまり大きな悲鳴を上げ、その場にしゃがみこんでしまった。
「ああっ、ゴメン! 綺麗だったからつい!」
「~~~~ッッ!」
これ以上ないくらいにみとせの顔は真っ赤になっていた。
やかんをのせればそのままお湯が沸きそうだ。
「お母さんッ、みとせがやばいから! 頭から血が吹き出そうなくらい顔真っ赤にさせてるからーッ! 出してッ! 出せってば! おいッ!」
「仕方ないわねぇ……じゃあ、ちょっとだけよ?」
「全部開けろッ!」
ドアノブが緩んだ瞬間を見計らい、全力でドアを開け放つ。
「尊ちゃん、おはよう~」
「よくもぬけぬけと……!」
いたたまれなくなった俺はその場から逃げるように自分の部屋へ駆け込むのだった。




