第十話「好きなペット」
「尊ちゃん、みとせちゃん。飼いたいペットってある?」
「ペットですか?」
みとせは視線を少し上げてどういうペットが欲しいか懸命に考えていた。
そして答えにたどり着いたのか、口を開いて返事を……しようとしたところで落ち込んだ様子を見せる。
「あるにはあるんですけど……その、ペットとして飼うのはどうかと思って」
つまり犬や猫やハムスターとは違う珍しいものを飼いたいということだ。
みとせがどんなペットをほしがっているか、俺にはおおかた予想がついていた。
「飼ってみたいペット、当ててもいい?」
「え……わかるのっ?」
「部屋にあんなにヘビのぬいぐるみを持ってたら嫌でもわかるよ」
「うぅぅ……」
「でもぬいぐるみと実物とじゃ結構違うと思うんだけど」
「そのあたりはだいじょうぶよ。動物園に行ったとき実際に触ってみたりもしてるし……そういう尊はどうなのよっ」
言いづらいことをあっさり見抜かれた恥ずかしさからか、拗ねた物言いだった。
「俺はカラスかなあ」
「カラスって……ゴミ袋漁ったりするイメージしかないけど」
「黒い外見とかフォルムとかカッコいいし、動物なのに人間に近い賢さもあるし、だけど目とかクリっとしてて可愛いし」
「へぇ~変わってるのね」
同じ言葉をそっくりそのまま返してあげたい。
「カラスは確かにいいな」
同意の声を上げたお父さんはまんざらでもない表情でミニトマトをほおばる。
「ヘビも素敵よ~」
対するお母さんは頬に手を当て、幸せそうな表情で何か可愛いものを妄想していた。
ペットの話とはいえ、食事中にヘビだのカラスだの不吉めいた話を平然としている家庭はそうないんじゃないか。




