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オロチの子種  作者: 雛鳥めっせ
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第九話「不穏な気配」

「じゃあ尊ちゃ~ん。そろそろいいかしら~」

「リンゴの件?」

「うん~」

 事情を知らないみとせとお父さんの視線がこちらに向く。

「え、リンゴ? 何の話?」

「順を追って説明すると――」

 商店街から同学年の生徒につけられていたこと、リンゴが買い物袋から無くなっていたこと、食べた後のリンゴが不自然に置かれていたことなど一部始終を詳しく説明した。

 団欒の場に重い空気が漂う。

 ここ数週間で行方不明者および死者が何人も出ており、新聞やSNSでもセンセーショナルな話題として取り上げられていた。

「もう~食べた後のリンゴを道路に捨てるなんて悪い人ね~」

「今の論点そこじゃないから」

「じゃあ、リンゴを盗ったのが悪いってこと~?」

「……とりあえずリンゴから離れない?」

 そこで、俺とお母さんのやり取りを見ていたお父さんが口を開いた。

「周りに誰かいる気配がしたか?」

「特に何も……視線も感じなかったし、不審な音もしなかった」

「匂いは?」

「何も無かったよ」

「最後にもう一つ。気温の変化はあったか?」

「それも無いね。何も変わらなかった」

「ふむ……」

 お茶を口にして一息ついていた。

「尊も、みとせちゃんも、そして美智恵も道中は気を付けるように。なるべく人気の多いところを選んで移動しなさい。犯人が仮に強い血力を持っていたとしても、犯行現場を見られたくないはずだ」

 血力や犯行の一部始終を通行人に見られたら対策を取られてしまう、と犯人もわかっているからだろう。

 明日からはもっとみとせの近くにいてやらないとな。

「犯人の目的は何なんでしょうね。それがわかれば対策とかできるんですけど」

「みとせちゃんの言う通りなんだが……目的がわからない以上、警察も手を焼いているのだと思う」

 話題がひと段落したのか、お父さんは食事を再開した。

 俺たちもそれにならって食べかけのおかずなどに手を付け始める。

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