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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

死と共に生きる

作者: 白山 和彦

頭おかしいんじゃんしかな?


もし暇があったら精神科に行ってもたい。

楽しそう。


あと文才は壊滅的だけどこれが一番好き。。。


コメント下さいコメントは励みになります。

昔々、おじいさんとおばあさんが山の中で暮らしてました。


おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行った日の出来事だそうです。


おばあさんがいつものように川で洗濯をしていると、川上から小さな船が流れてきたらしいです。


船の中には生まれたばかりの私と供物と思わしき桃が乗っていたらしいです。


なぜ、流れてきたのか聞いてみました。


おばあさんによると、女の人は子供を産んだら川に流して対岸に着けたら名前をつけるという風習があるとおっしゃってました。


そしてもし対岸に着かなかったらその子を諦めると、言っていました。


普通、流れて来た子供を拾うなどいないらしいです。


おばあさんになぜ拾ったのか伺うと、子供を欲しいと思ってはいたが全く子宝に恵まれなかった。


そんな中、流れて来た私を見つけ、運命を感じて拾ったらしいです。


と、まあ……。


そんなこんなで、私はこのおじいさんとおばあさんに育てられるようになりました。


ーーーーーーーー


おばあさんが私を家に持ち帰り、私は桃枝(ももえ)と言う名を授かりました。


おじいさんも私を育てる事を同意したそうです。


ただ、私を育てるための乳はおばあさんには出なかったのですが、周りの人に分けてもらう訳にも行かず結局頑張って乳を出したそうです。


なんでも乳には悪いモノから護ってくれる力があるらしいです。


そうして私はすくすくと、健康に育ちました。


ーーーーーーーー


そんな私の記憶で最も古い記憶は、良くわからない人達に家を襲われた事です。


私たちの家の周りには家が無くだれも護ってくれませんでした。


私達はどうする事も出来ず、ただ家を壊されていきました。


柱は折れ、天井は抜け、壁は壊され。


壊すだけで無くその人達は家の物をいくつも、持って行きました。


ただただ、おじいさんは泣いてました。おばあさんも、泣いてました。


ただ、あの頃の私は、ただ唖然として見守るだけでした。


家を壊された日、私たちは、簡易でねれる場所を作り、そこで寝ました。


次の日から家を立て直し始めました。


ただ、周りには家の建築を手伝ってくれる人はいません。


なので、出来上がったのは、雨も風も防げない小屋になりました。


それからも、長い年月が経ちました。


ーーーーーーーー


物心がつき始めた頃、私はおばあさんたちに内緒で、山に行きました。


少しジメジメとした森、名前も知らない木々。


見たことのない生き物。


そして不自然に草が生えてないところ。


そこを辿っていくと、少し開けた場所や、日当たりのいい場所にでます。


風が吹き、心地よい音を奏でる。


鳥の囀り、小川の音。


小川覗くと、虹色々に輝く魚。


川の中には普段見てるものとは違いう石があります。


拾いたいですが、服が濡れてしまいそう、それに、この川が深そうだからやめておきました。


川の元を辿って行くと、家が見えました。


ただ、家が見えたわけではありません。


家が密集しており、さらに、塀で囲まれています。


そして、長い槍を持った厳つい男の人。


あまりに自分の中での非現実すぎる世界に驚きました。


ただ、ここで何ができるわけでもなく、日が真上に昇りそうだったので家にかえることにしました。


ーーーーーーーー


物心が着いてから3回目の春。


大分と前に壊された家は、様になるくらいに修復されてました。。


それほどの時間。


ある日、私を居間に連れて来て、今までの事を滔々と話し出しました。


私が拾われた身である事。


基本生い立ちそしてこれからの事を中心に話が進みました。


これからのの事については詳しくは話されなかったですがただ一言。


「……なにかあったら畳の下に隠れなさい、畳の下にある刀を使いなさい」


そう言って、この話はお開きになりました。


ーーーーーーーー


物心ついてから9回目の夏。


予期せぬ出来事……いや本当は、なんとなくこうなることはわかってた。


そう、また家が、家が壊された。


事の始まりは、外が騒がしかったから外の様子を見た事から。


外には屈強な男達が、何ともわからぬ物を持って、こちらへ向かって来ている。


とっさに、家に引っ込み、畳の下に潜った。


下には刃渡りが1尺程度の短刀と階段がある。


まず、刀を手に取り階段を下って行く、少し降り、入り口をおばあさんに言われた通り大きな石で塞ぐ。


完全に周りが闇に支配された。


自分の感覚のみを頼りに、ゆっくり足を進める。


腰を階段につけ、両足で一段ずつ。


確実に


確実に


確実に……


少しすると1番下についた。


暗闇にも慣れ始め、目が見えなくても、手に取るように周りがわかる。


今約2間ほど先に壁がある。


そして、その壁をたどり、多分右に出口がある。


出口に向かい歩き出す。


暗闇が私を包み込む。


闇に馴染んだ体は闇の流れもわかる。


闇が私の体に染み込み、そして同化する。


闇は今の私の状況をはっきり教えてくれた。


闇は考える時間をくれた。


恐らくもうあの家には戻れない。


戻ってはいけない。


だから、もう用がない。


切り捨てる。


次は、今後どうするか。


恐らく今後この近辺の村に住む事は出来ない。


9年前、私がいた事は知ってるだろう。


だから、近くの村だと、身元のわからない少女だと知れたらすぐに私という存在が明るみになるだろうだろう。


よって、私は恐らく、遠い村に一人で行けなければ生きて行けない。


旅をすると言ってもろくに準備などしていない。


生き残れるかすらわからない。


ただ、この短刀を使って、生き物を狩れるだろう。


生き物の皮を売ればそれなりに生きれたらいいが……。


そんな物思いに耽ていると出口にたどり着いた。


「眩しい……」


照りつける光の眩しさに悪態吐きながら、ここが現実であると、再確認させられた。


ーーーーーーーー


今まで、ろくに外を歩いてなかったのが障ったのか、体力はすぐに尽き果てた。


今夜は、ここで、寝ようか……。


少し腰を下ろすと、奥の茂みが揺れた。


すぐに短刀を構え、茂みに注意を向ける。


茂みをよく見つめると、そこから白い毛が見える。


そして、紅い目。


"それ"が茂みを抜け、此方に近寄ってくる。


そして、始めて"それ"の全体を見た。


白い髪、紅い目、……そして、あざだらけの素肌。


そう、造形は人間だった。


それも同い年くらいの女性。


ただ、その人間は、四つん這いの状態だった。


その時、大まかな状況を理解した。


彼女は恐らく、捨てられたのだろう。


異様に白い肌、異常な紅い目。


それは人ならざる者として扱われ、森へ捨てられた事を表している。


そして、そんな子は……。


獣に喰われるか。


はたまた、獣に育てられるか。


そして、生きてるということは……。


獣に育てられたという事。


後ろの茂みから白い狼が2匹姿を現した。


ギラギラとした紅い目。


……勝てない。


万が一にも勝つ可能性はない。


絶対に負ける。


第1、もうあまり体力もない。


もう無理だろう。


できればもう数十年は生きたかった。


そんな希望なんて叶わないのだろうけど……。


まあ、どうにでもなれ。


ーーーーーーーー


いやまあ、なんと言うか……。


起きたらよくわからない穴倉のような場所にいた。


まあ多分、拾われたな。


普通はそのまま喰われて死亡。


無視されたのなら元の位置に居るはず。


でも、誰に拾われた?


こんな森の中で。


いや、確認する必要などないだろう。


現に今、隣を見たらあの少女と狼がいたのだから。


……別にいっか。


生きてるから


ーーーーーーーー


朝、圧迫感で目が醒めると彼女がこちらを覗き込んでいた。


とても長い髪が私の体を軽く押さえつける。


さらに腰にまたがられて動けない。


そんな彼女は観察するかの様に紅い瞳が私の瞳を真っ直ぐ見つめる。


瞬きこそするが、それ以外の時は私を、と言うより、私の瞳を表情一つ変えずに見つめている。


正直かなり恥ずかしい。


首を動かし、目を逸らそうとすると、急に両手で、頭を掴まれ、固定させられた。


決して目をそらす事を許さない。


そんな意思がひしひしと伝わってきた。


目だけなら動かせるから、目だけでも逸らしておきたい。


目をそらすと、手を目に伸ばしてきた。


あ、これダメなやつ。


素直に目を元の位置に戻すと、その伸ばしてきた手を元に戻した。


抵抗しても無駄か……。


ただ、目を自由に動かせないのは辛い。


唯一の救いは、彼女が満足したらこんな事をやめてくれるだろうという確証に近いものがあったからだ。


まあ、こんな事をやってるぐらいだ。


こちらに好意があるのだろう。


なら、こちらからもそれなりの好意を示せば満足してくれるだろうか……。


自由に動かせるから両手で、彼女の背中に手を回す。


そして両手に力を入れ、抱き寄せる。


獣独特の匂いが鼻腔をくすぐる。


接触した素肌から心地良い温もりが伝わってくる。


彼女は大層気分を良くしたようでそのまま頰をすり寄せてくる。


溢れてくる多幸感の波に翻弄されながらそのまま、眠りに落ちた。


ーーーーーーーー


彼女とはそれなりにやりとりならできるようになった。


彼女も人間だから、言葉さえ教えたら使いこなせる。


これにより彼女との関係はより深くなり、そして狼とのやり取りもとても楽になった。


食料は夜に狼が狩ってきてくれる肉と、彼女と取りに行く木の実や山菜。


たまに私も短刀を片手に狩に同行する。


昼は睡眠時間。


睡眠時間になると彼女は私の所に寄ってくる。


そして両手で私を包み込む。


彼女は抱いてる時に執拗に肌や頰をすり寄せてくる。


彼女が言ってたが匂いを上書きするためだそうだ。


……こんな生活いつまで続くか……。


いや、もう潮時だろ……。


狼は見るからに衰えてきて居る。


もし狼が死んだら今後どうしようか……。


ーーーーーーーー


やはりというかなんというか、狼はあの日から程なくして死んだ。


その出来事が効いたのか、彼女は私を離さなくなった。


狩りにも行かせてくれない。


木ノ実の採集すら行わない。


水すらもくれない。


ただただ、ずっと必死に、体をすり寄せて来る。


彼女の冷めた肌が触れるたび、明確な死の印象が映し出される。


少しでも抵抗をするとすぐに、彼女はすぐに目が濁り、あからさまな殺意と恐怖、そして動揺を見せる。


とても不安定な精神。


と言ってもお互い様。


どちらも不安定。


もう救いはない


ーーーーーーーー


ただ、救いだったのは、


私の方が


先に


壊れちゃったからかな?


ーーーーーーーー


最期まで私たちは一緒にいた。


ただ、最後の方になると私も一人になるのがとても怖くなって、私の方からも肌を擦り付けていた。


肌は冷たく生き物としての温もりはとうに消え去っていた。


ただ、ずっと近くで、一緒に。


そして、私は、ただただ、体をすり寄せあった。


……そうして、わたしは、意識を手放した。

裏設定

・言葉遣い

 └→心境の変化

・短刀

 └→自決用

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