池に落ちました。
自分の口から登っていく気泡とは逆にどこまでも身体が沈んでいく。膝下ぐらいしかない池のはずなのに、一向に浮上しない身体に自分は底なし沼にでも落ちたのではないかと思い始めた。
艶のある黒い髪は漆黒に近く、薄めの唇に通った鼻筋、橘蓮は所謂美少年であった。17才になったばかりな彼の一番の魅力はなんと言っても目である。見つめるだけで吸い込まれそうな黒目には儚い顔立ちを引き立たせた。だがその儚さはみためだけで、蓮自身は全く儚いとは程遠かった。
弓道部に所属している蓮は友人達と別れ、人の少ない道を選んで帰ろうとした。いつもわざわざブレザーに着替えて帰るのだが今日は着替える時間がなかったため袴のままだった。袴に弓道具を背負ってるとすごく目立ち、蓮はたまにその道を使っていた。
その通り道の途中に人気のない公園があり、気が向いたら足を運び、息抜きとして公園の奥にある小さな池を眺めていた。決して大きくはないが水が澄んでて底まで良く見え、見ていると心が穏やかになる。
「ん?あれ…なんだ?」
池の底の落ち葉の隙間から白いものが見えた。
(んん〜手伸ばせば届きそうだなぁ。)
なんとなく、手に取って間近で見て見たかった。その石を知っているような気がしたから。
背負ってた弓道具を置いて白い物を拾おうと水面に手を触れた瞬間、何かに手を引っ張られた!
「…なっ!!!」
たかが池に落ちたのにどこまでも沈んでいく身体に、あぁ、ここで死ぬんだ、と妙に冷静になった。
(池に落ちて溺れて死ぬなんて、父さん!母さん!ごめん!!!)
死を覚悟して目を閉じた瞬間、また何かに手を引っ張られ今度は身体が凄い勢いで浮上していった!
水面が近づき光がどんどん強くなり眩しさに思わず目を瞑った。
「…っ!…ハァっ!…っ!!!」
ようやく水面から顔を出し息を吸った瞬間、首に冷たい金属を当てられた。
「ーー!っ!」
当てられた金属はどうやら剣のようで、剣が伸びてる先に甲冑のような物を付けた男が居た。その男がこちらに何かを言ってるが、全く分からず首を傾げるしかなかった。
それよりも、男の側に立つ、黒い、古代中国の着物みたいなのを着た男の顔から目を離せなかった。
「…綺麗、」
彫刻のような美しさというのを初めて感じた…切れ長なその目には感情が見えず、どこか冷たい感じがする。向こうも目を逸らさない。
「ーーっ、ー、ーー」
そんな沈黙を破ったのは剣を持った男だった。
男は何故かオレの首から剣を引き、黒い着物の男と何やら話だした。
改めて自分の足元をみると蓮が咲いている池、蓮池って、言うのかな?に立っていて、間違ってもあの公園の池ではないし、周りの風景も、全然知らない…何かの建物の中に居るようだ。
ーーオレは、これからどうなるんだろうか。
はじめまして、最上ゆちと申します。
話はそこそこ頭でまとまってるのですが、なかなか文書に出来ないですね(´・∀・`)
気長にお付き合い頂けるとありがたいです(^∀^)