Blank-Can
昔はね、中身が詰まってたはずなの。
だけどね。
今は空っぽなの。
壁の上にね。
一列に、並んでいるの。
口を上に向けて、暑い空を眺めているの。
いつか、また中身が詰まることを夢見ながら。
空っぽの体でね。
壁の上でね。
一列に、並んでいるの。
端っこから。
直径6mm。
一個ずつ。
中身が入っているか、確認していくの。
からん。からん。
一個ずつ、壁の向こう側へ隠れていくの。
一個ずつ、夢を見ながら落ちていくの。
空っぽの体でね。
身を投げるの。
押されながら。
満タンにしてあげた。
大きく、空気を吸い込んで。
一列を。
最後の一個まで。
押してあげる。
再充填したら使えますかね。
空の方が使えますかね。
リサイクルがいいですかね。