第一話 星屑のステラ
「痛っ」
額を何かに突かれる痛みで、思わず声を上げた。その後、更に頭に何かが落ちてきた。ごろごろと“何か”が床を転がる音が響く。
重い瞼を気合を入れて開けると、奇妙な光景が飛び込んできた。
「…………?」
上から吊るされた縄、転がった椅子、そして、だらんと力なく手足をぶらさげた二つの身体。その形相は形容し難いほど悲惨で、下には排泄物やらが撒き散らされている。
『ウケケケ! 臭くてたまんねー! こんな地獄までやってきて助けてあげた俺っちは聖獣の鑑じゃん?』
ご機嫌に色鮮やかな赤い羽を広げて踊り狂っている糞鳥。細い脚を小刻みに動かして、少女の周りを挑発するように飛び跳ねる。
「ねぇ、貴方」
『ウケケ! 俺っちは、ねぇ、なんて名前じゃないじゃん! さぁさぁ、ご主人、俺っちの名前を呼ぶといいじゃん!』
「…………」
『ひどいじゃん! 記憶は戻ってるはずじゃん!』
「ねぇ」
『俺っちの名前はクレバー! ご主人、その身体になって脳が退化したんじゃね! あ、もしかして不完全だったかな? ウケケ、困ったじゃん』
「ねぇ。私の話を――」
『ウケケ、おいおいご主人、本当につれない―ーグエッ』
喧しい鳥の首を掴み上げ、強引に引き寄せる。白目を剥いて嘴を左右に動かすクレバー。あちらの世界へ送る一歩手前まで力を篭める。思ったより力が入らない。
(……状況が良く分からない。とりあえず、あまり好ましくないのは確かかしらね)
軽く溜息を吐いた後、手の力を緩める。鳥が誰だかようやく思い出した。
「ねぇ、クレバー。暫く見ない間に随分偉そうになったじゃない。そうだ、再会を祝して頭の中を見てあげましょうか?」
『し、死ぬじゃん! 冗談にしてもあんまりじゃんか! 超面倒臭ぇと思ったけど、わざわざ来てやったじゃん!』
「うるさいわねぇ。それより、この状況を簡潔に説明しなさい」
『小娘になったくせに偉そうじゃん! ご主人だからって超ムカツクじゃん!』
「ああ、もういいわ。その羽と嘴をもぎ取ったら世の中多少は静かになるでしょうね。ちょっと痛いけど、我慢しなさい」
左手で羽を掴むと、プギーと叫んだクレバーが涙目になりながらもがく。
『ウ、ウケケ! ちょっと小粋な冗談じゃん! 今すぐ説明するじゃんか!』
「分かりやすく簡潔にね。長話は嫌いよ」
クレバーを解放し、足元に転がっている“何か”を拾う。不気味な紫色の光を放つ球体だ。見れば見るほど奥に引きずりこまれそうな不吉な印象を受ける。だが、少女はそれを懐かしいと感じた。それがあることが当然のように思った。大事な何かが身体へと入りこんでくる。力が漲る。そんな気がする。
『えーと、どこらへんから説明すればいいじゃん?』
「とりあえず、私の現状を分かる限りで説明しなさい」
『ウケケ、一家心中したってのに、一人だけ生き残っちまった間抜けな小娘じゃん。間に合ってよかったじゃん!』
「なるほど。それは僥倖ね」
理解できた。首に縄で締め付けられた痕がある。意識を失った事が幸いし、止めを刺されなかったのだろう。死んだと思われて。
娘の死を見届けた両親は、遅れてはならぬとばかりに命を断ったのだろうか。残念ながら確かめる術はない。知りたいとも思わないが。
『生き残っても地獄だぜぇ! 借金は語るも恐ろしいほど膨れ上がってるじゃん! やったなご主人! 働き甲斐があるって奴じゃん。生涯タダ働き確定じゃん!』
クレバーが羽を使って器用に拍手している。パサパサと赤い羽が舞い落ちる。
ご機嫌なクレバーに紫の球体を投げつけてやると、プギーと叫んで壁にへばりついた。ごろりと転がった球体を拾い上げる。頑丈なので絶対に壊れない。球体から残りの記憶が流れ込んでくる。それはやがて奔流となり意識を飲み込んでいく。今の記憶と、昔の記憶が完全に混ざり合い、一つの塊へと変化する。
(……なるほど、現在の状況は、本当に地獄のようね)
自分の名前はステラ・ノードゥス。雑貨屋グレンの娘。年齢10歳。痩せ型、不健康、顔色と目つきが悪い、人付き合い苦手。銀のおかっぱ頭だけが特徴の地味な娘である。
だが、そんなことはどうでもよい。ステラは愕然とする。
「――じゅ、十年も無駄に生きてしまったというの? わ、私の人生の6分の1が、もう消化済み?」
『両親の死体を前に、他に感想があるのが普通じゃん。念願かなって折角人間になれたのに、これじゃ意味ないじゃん!』
呆れたクレバーの声が聞こえる。
「明らかに怪しい儲け話に飛びついて失敗した挙句、私を道連れにしようとした男のことなんて知ったことじゃないわ。同情するだけ馬鹿馬鹿しいわね」
一瞬、稲光のような頭痛が走るが無視をする。
『ウケケ! 相変わらずひでぇ! この悪魔! 魔女!』
「ひどい? 私たちは世界を影からずっと見守っていたのよ。なんの見返りもなしに、退屈で退屈で発狂するぐらい長い長い日々を」
『でも本当に見守るだけだったじゃん』
クレバーの声を聞き流す。
「その私が悪魔や魔女のわけがないでしょう。そうねぇ、女神とでも呼んでもらいたいくらいよ」
『ぷーっ! こんな性格の悪いのが女神! ウケケ、流石はご主人! センスは全然変わらないじゃん!』
遠慮なしに噴出す頭の悪い鳥。
「まだ躾が必要なのかしら? 次はもう少し捻りを加えようと思うのだけど」
『いらないじゃん!』
「……ところで貴方、そんなに身体小さかったかしら? 前はもっと大きかったような」
記憶は混ざり合ったが、ところどころ靄がかかっている。忘れてはいけないだろう大事な箇所にだ。そういえば、この鳥はこんなに小型だっただろうか。赤くて喧しかったのは確かだと思うが。やはり思い出せない。
『き、気のせいじゃん? そ、それよりご主人! この死体はどうするじゃん? まさか、これからもこれと一緒に暮らしていくんじゃ。いくらご主人でも、それはいただけないじゃん。頭おかしいじゃん』
身体を捻りながらドン引きしているクレバー。いくらなんでもそれはない。
「臭いしこのままにしていたら蛆が湧いてひどいことになるわ。誰かに連絡して片付けさせなくちゃいけないわね」
『家族なんだから自分で片付ければいいじゃんか』
「今は死体でしょう。それにこの身体じゃ、とてもじゃないけど無理よ。貧弱すぎるわ。我が身のことながら、実に情けない」
『確かに、いつ死んでもおかしくないって感じじゃん』
「そうならないようにしないとね。後で10分ほど反省することにするわ」
『らしくないじゃんか! ところで、何を反省するんだ? あ、俺っちに一回も感謝の言葉がなかったこと?』
「全然違うわよ。人間の寿命なんて上手くいって精々60年でしょう。既に10年も無駄にして、しかもこんな貧弱に育ってしまった。思わず首をつって死にたくなるじゃない。だから、ここでしっかり反省して気合を入れようと思って」
『へ、へぇ、そっかぁ』
「なにかしら」
『ご主人、本当に悪魔じゃん。親の死体を前にして出てくる言葉がそれって。そんな娘、聞いたことないじゃん。流石の俺っちもどん引きじゃん』
「貴方の感想は求めてないから。まずはちょっと休憩させてくれるかしら。話しすぎて疲れたわ」
『久々なのに冷たいじゃん!』
ステラはその声を聞き流し、大きく息を吐いてその場に倒れこんだ。深呼吸すると、異臭が鼻を突く。死臭だ。嗅ぎなれた臭い、だが、この身体ではそうではない。胃液が自然と込上げてくる。なぜか、涙らしきものも込上げてくる。もしかしたらだが、少しは悲しいのかもしれない。もし、自分も一緒に死んでいたら、“私”はどうなっていたのだろう。魂は同じ、だが異なる記憶が混ざり合ってしまった。それは果たして私なのだろうか。そもそもどれが本当の私なのか。
(いわゆる、哲学の分野かしら。まぁ、今はおいておきましょう)
良く分からないので、答えは保留にしておいた。死ぬ前に答えを出せば良いだろう。
10分後。大きく伸びをしたあと、ステラは立ち上がった。まずは死体を片付けなければならない。このままでは虫が湧くし、臭いが更に酷くなる。
「いずれにせよ、何とかしないとね」
紫色の球体――魔水晶を強く握る。これがあれば大抵のことはなんとかなるはずだ。一人でも生きていける。気をつけるべきは病による死、あとは不意打ちぐらいか。この貧弱な肉体では抵抗も難しいだろう。
と、店の入り口の方から喧しい声と共に、扉が乱暴に開けられる音がした。
「おいおいおいおい! 借金腐るほど抱えてるくせに、休業とはいい根性してるじゃねぇか!! 今日は安息日じゃねぇぞ! おら、いるんだろうがグレン! 今日こそ利子つけてきっちり払ってもらうぞ!!」
「隠れてんじゃねーぞ!! ぶっ殺すぞ!!」
商品棚を蹴飛ばす音、売れ残りの商品が散らばる音がする。ステラは溜息を吐くと、面倒くさそうに立ち上がる。
「借金、ね。いくらぐらいあるのかしら」
『ウケケ! 一生かかっても返せない額だぜ! 一世一代の大勝負を仕掛けたつもりが、金貸しと、話を持ってきた親友がまるっとつるんでて一巻の終わり! ぜーんぶ掌の上だったってことだな! ウケケ、世の中甘くないじゃん!』
「それで、あの馬鹿どもは、どうやって回収するつもりなのかしら」
『ご主人がもうちょいアレならアレなんだけど、まだ無理そうだからとりあえず人買いに売るつもりじゃん? あいつらは裏でつながってるから、死ぬまで搾り取って、あとはポイってとこじゃん。ウケケ!』
「本当に、ひどい話ねぇ。怖いわぁ」
『全然怖そうに見えないじゃん』
「そんなことないわ。奴隷なんて、怖くて涙がでちゃいそう」
『弱い奴は徹底的に搾取される。この糞みたいな街じゃ、それが当たり前みたいじゃん! 本当、人間って面白いなぁ! ウケケケッ!』
ご機嫌なクレバー。このピーベリーの街では、それが当然の話としてまかりとおるのだ。騙される奴が悪い。弱い者は搾取され、強い者が甘い汁を吸う。弱い者はなんとか上に行こうともがき、強い者はその頭を押さえつける。その度に金と血が流れ、命が消えていく。それよりも多くの人間がここに流れ込む。
西には星教会連合軍、東には遠征してきたホルシード帝国軍。両者の勢力圏の境目に存在するのがこのピーベリー。かつての領主は帝国遠征のどさくさで、腹心であるグレッグスという男に殺害されている。グレッグスは権力を握ると金をばら撒いて街を完全に牛耳った。今では勝手に代表を名乗り、統治を行っている有様。戦で利益を得ようとする傭兵、商人、甘い汁を吸おうとする糞虫どもが集まるのがこの街なのだ。
「とりあえず、逃げても行く場所もないし、あれをなんとかしないといけないみたいね」
『いっとくけど、魔術を使うのは無理だぜ! その貧弱な身体がハジケ飛んで素敵なことになるじゃん! ウケケ! 前みたいにご機嫌状態になるのは多分一生無理だぜ!』
「そんなことは分かってるわ。それが代償でしょう。本当に、嫌になるけど、へこたれてもいられないわ。せっかくこうなったのだから、精一杯生きなくちゃね、自分で選んだ道だもの」
ステラは首を軽く鳴らすと、紫の球体――魔水晶を持って店先へと向かった。これは武器であると同時に自分の分身でもある。誰もステラから奪うことはできない。
「こんにちは、お兄さんたち」
「おう、グレンとこの糞餓鬼か。相変わらず死人みてぇな顔しやがって。それより、てめぇの情けねぇ糞オヤジはどうした。金もってとっとと出て来いって伝えろや!」
「それがね、ちょっとできなくなっちゃったみたいで」
「ああっ、てめぇ、ストック商会をなめてんのか! この汚ねぇ店に火つけてやろうか!? どうせ客なんか来ねぇんだから構やしねぇよなぁ!」
「落ち着いてお兄さん。舐めてなんていないの。そうだ、直接会ってもらったほうがきっと早いわ。お兄さんたちも忙しいでしょう?」
ステラがこちらへどうぞと案内を始めると、舌打ちしながら二人の男がついてくる。手にはナイフ、身なりは粗野で、そこらの盗賊となんら変わりない。こんな連中が闊歩しているのが、このピーベリーの街である。行く宛のある者は逃げ出し、ない者は搾取されることを受け入れながら泣く泣く生きている。
「なんだってんだ。前みたいな泣き言なら聞きたかねぇぞ!」
「その心配はないみたい。覚悟を決めた顔をしていたから。はい、この部屋よ。それじゃあごゆっくり」
ステラは一歩さがり、前をゆずる。そしてこっそりと魔水晶を握り締め、意識を集中する。
「ったく手間かけさせやがって! おい、グレン! 約束通り金を取りに来たぞ!!」
「おい。ちょっと待て、ベック。――この臭い。グレンの野郎、まさか!」
男が慌てて扉を全開にすると、ぶらさがった両親の死体が現れる。二人の心に一瞬だが、隙ができる。
「――魔瘴解放」
紫の靄が男たちの身体に背中から入り込む。二人はそれに気付いていない。死者を鞭打つように雑言を吐く。
「チッ、案の定の有様かよ。おいおいおい、どうすんだよ、これ。まーたメイスさんに怒鳴られるぞ。金の貸し逃げじゃねぇかってよ」
「そんなこと言ったって仕方ねぇだろう。俺たちのせいじゃねぇ」
「ガルドの兄貴が追い込みすぎなんだよ。あの人、加減を知らないからな」
「ったく、グレンもグレンだ。死んで逃げやがるとは本当になさけねぇ奴だぜ。金を返してから死ねっての」
「全くだ。借りた物は返す、子供でも知ってることだぜ。……でも本当にどうするよベック。流石に手ぶらじゃ帰れねぇぞ? 俺たちにも面子があるからよ」
「そうだよなぁ。とりあえず、この糞餓鬼売りに行くか?」
「それで決まりだな。こんな死体同然の奴、端金にしかならねぇだろうけどよ。ったく、もっと肉をつけときゃ、変態に売れたのによ!」
「へへ、違いねぇな。というわけだ、糞餓鬼、てめぇはこれから良い所にって。――な、なんだ、身体が、おかしいぞ」
近づいてこようとした男が、上半身だけでもがく。非常に滑稽であり、ステラはおもわず笑みを漏らす。人間のくせに人形のような振る舞いだ。実に面白い。
「なんだこりゃ。おい、どうなってんだ。足が、う、うごかねぇ! いや、腕も重い!」
「く、くそっ! 何だってんだ!!」
苦悶の表情を浮かべる男たち。ステラは楽しそうな顔で、それを見上げる。
「長くてつまらない話をペラペラご苦労様。貴方達、頭は悪そうだけど今回は我慢してあげる。なんにせよ労働力は必要だからね。それに、その格好だけは面白かったしねぇ」
「て、てめぇ、何かしやがったのか!」
「教える必要性を感じないわねぇ」
「ふざけんじゃねぇ! 俺を誰だと思ってやがる! 泣く子も黙るストック商会の――」
「あっそう。まぁとにかく、これからは私のために働いてくれるかしら。いい子にしていたらご褒美はあげるわよ」
腕組みをして偉そうに話すステラ。
「誰に口聞いてんだ糞餓鬼!」
上半身だけ捻り、背後のステラに必死に怒鳴る。ステラは軽く笑った後、男が手に持っているナイフを奪い取る。何回か素振りをした後、頷く。不恰好だが、急所を切り裂く分には問題ない。これぐらいならば扱えそうだ。
「この身体だと、イマイチ力がはいらなくて。ちゃんと狙えば大丈夫そうよ。でも、片付ける死体が4体になるのは面倒でしょう。だから、大人しく私に従ってくれないかしら」
「うるせぇ! くそっ、なんで身体がうごかねぇんだ!」
「はぁ、頭だけじゃなくて、聞き分けも悪いのねぇ」
ステラはわざとらしく首を横に振ったあと、正面に回り男二人を見定める。反抗的な目は変わらない。やはり力が落ちている。この状況でこいつらを吹き飛ばそうとでもすれば、自分も一緒に死んでしまうだろう。暴走というやつだ。力や知識はあっても、使いこなせなければ意味がない。それは、これから取り戻していかなければなるまい。
ならば、人間らしいやり方で、こいつらを使いこなしてみるとしよう。
ナイフを右側の男の肩めがけて、下から抉るように突き刺していく。ぐりぐりと捻り、痛みを最大限にまで与えてやる。
「う、うぎゃああああああッッ!!」
「私の力で貴方達の自由を奪ったの。偉そうにしてたけど、死体を見た瞬間、微かに動揺しちゃったでしょ? ふふっ、案外小心なのねぇ」
「て、てめぇ、一体」
「生かすも殺すも私次第なのよ。もう一度だけ聞くけど、私のために働いてくれるかしら。もしも次、“否”と言ったら、これで喉を切り裂くわ」
「だ、誰がてめぇなんかの――」
「なら貴方はいらないわ。時間の無駄は嫌い」
躊躇なく男の喉下にナイフを一閃させる。血が噴出し、部屋を赤く染め上げる。ステラの白い服も。両親の死体にも。左の男は、目を丸くしてそれを見ている。喉を切り裂かれた男は、ゴボゴボと血の泡を吹きながら、立ち尽くしたまま絶命した。呪縛をとくと、身体がくずおれる。
「ひ、ひぃい!!」
「それで、貴方は、どうする? 確か、ベックとかいったかしら? あれより少しは賢いといいのだけれど」
ステラがナイフについた血を払いながら笑いかけると、ベックという名の男は涙目になりながら首を縦に振った。
「そう、ありがとう。貴方は少し賢いみたいねぇ。ふふっ、やっぱり人間はいいわ。私達と違って、とっても柔軟な思考ができる。本当、苦労して人間になった甲斐があるってものよね」
『ウケケケ! その血塗れの姿で良く言うぜ! でもお似合いじゃんか!』
「ふふっ、お褒めの言葉をありがとう。さぁて、これから何をして、どうやって生きていこうかしら。私の人生は、今日ここから始まるのよ。後たった50年しかないけれど、面白楽しく生きなくちゃ。――そう、退屈とは無縁のね」
ステラはへなへなと座り込んだベックの髪を撫でながら、血塗れの顔で満足そうに笑った。
リハビリがてら、執筆していました。どうぞ宜しくお願いします。
人間50年、ステラは欲張りなので60年です。