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未定  作者: 橋本 凛子
3/3

ラヴ




―――…



10:47。3分前に教室についた。

教室につくと、要が席を取っておいてくれた。

3人掛けのテーブル。

左側に恭平が座っていて、真ん中に要が座っていた。

恭平にテキストを渡すと要が缶コーヒーを渡してくれた。


「おーサンキュー」

「今日暑いね」


要はなんていい男なんだ。

恭平はというと無言でスッと学生証を滑らせる。


「その写真、本当ブスだよな」

「死んでくれ」


恭平が私に悪口を言う時は、大体ブスかうるさいと言う。

要はいつも、そんなことないよと言ってくれるが、恭平には届かない。


「梨香に彼氏が出来たら怒るくせに」

「俺がいつ怒ったんだよ」

「お前高校の夏休みに…」

「黙れハゲ」


なんなんだコイツ…

はあ、と要は溜息をついて私を見て困ったように笑う。

恭平はふて寝してしまった。

チャイムが鳴り、授業が始まった。


授業が始まると、私たちは授業に集中する。

恭平は寝ているけど、寝ているときは大体予習が済んでいるときだから、テストで困ったりはしない。

授業の妨げになるような会話はしないし、私も授業だけで理解しきりたいから、恭平みたいに寝たりはしない。

まあ、恭平は頭いいけどね。

要は学年トップクラスだし…

つまり私がいちばんバカということになる。

要に負けるのはなんとなくわかるんだけど、恭平に負けるのは違うと思うんだよね、本当にウザい。


てかあと3週間で期末試験か。

そろそろ図書館に籠ろうかな。

てゆうかこの構造式なんなんだよマジで殺したい…

わからないとこはプリントに〇しといて、そのほかのところはあまりメモしない。

一回で理解できないようなところはメモするけど、メモする時間が勿体ないから、基本的に手は動かさないで全力で話を聞く。

これが昔からの私のやり方。


そうは言っても生理前は死ぬほど眠くなるから、眠くないときにどんどん予習して、授業中眠くなったら一応努力はするけど寝ちゃう。

結局恭平みたいなことして、恭平と2人で並んで寝ることもある。

たまに要も寝てるときあるから、珍しいなーと思って写真撮ったりする。

恭平と並んで寝てると、兄弟みたいで可愛い。






―――…



「んーーーっ」


授業が終わって伸びをする。

要がくれたコーヒーを飲みほして、立ち上がって私の後ろを通る恭平に手渡す。


「お前昼買いにいかねえの?」

「んーお腹すいてないからいいやー」

「あっそ」


要は昼休みの売店は混むからいやだと言って、いつもコンビニで買っている。

今日はスパサラを食べるみたい。OLか。


「てかさー」


今日のバイクの話をする。

恭平が乗せてくれたことと、バイクを取りに行ってくれること。


「恭平は優しいね」

「はあ?」

「事故ったらほぼ死ぬじゃん」

「全くわからん」


あと、後ろ乗りにくいから変えてほしいっていう話もした。

要のは乗りやすいから、おんなじのにしてほしい。

恭平のだとちょっと怖いから強く掴まっちゃうんだけど、運転手的にはあんまりがっつり掴まられると困るじゃん?


「あー、それね。俺は最初から梨香の運転を信用してないから、梨香が一人で乗るよりかは俺と乗った方が安全かなって思うんだけど」

「なにそれ、失礼じゃないですかそれ」

「まあそれはごめん(笑) でも恭平は梨香を後ろに乗せるのが怖いんだって。梨香だったら絶対俺をアシにするから乗りづらいバイクにするって言ってたよ」

「うーん…」

「要するに梨香が大事なんだよ」


…?

大事にしてる奴にブスとか言うか?普通。

つうかそんなに言われるほどブスじゃねーし。

こう見えてバイト先レギュラー除けば1位だし!

顔と関係んあいかもしんないけど。


「あ、アイス食べたい。電話しよ」


恭平に電話をかける。

呼出音が鳴ったと思ったら机の上で携帯が揺れる。

…。


「最悪だ。アイス買ってくるけどなんかいる?」

「んーじゃあ俺もアイス。梨香と同じやつお願い」

「ほーい」


クッソ。

恭平の奴。確信犯だなこれは。








エレベーターがなかなか来ないから自販機のアイスでいいかと思い、2階下の自販機のもとへと向かうと恭平が上ってきた。

非常階段は混んでなくて人もいないから涼しいような気がする。


「あんた4階から階段使ってきたの!?」

「なわけねーだろ」


なんてトゲのある男なんだ…

人をイラつかせる天才だ、きっと。


「アイス買ってきた」

「なんて惜しいことをしたんだ…、恭平が携帯を持ってさえいれば…」

「何言ってんのかわかんねえけどお前らのもあるよ」

「え!ほんと!?」


思わず恭平に駆け寄り持ってる袋の中を見ると、メロンパンとクリームパンとチョココロネと私がよく食べるチョコアイス3つが入っていた。


「天才!好き!天才!」


恭平のお昼ご飯ごと袋を奪って1階分降りてしまった階段を駆け上る。

お前本当にアホだよな、と恭平が呟いていたけど気にしない気にしない。


恭平は見た目細いくせにものすごい甘いもの好きで量もたくさん食べるんだけど、早食いではないからアイスが溶けちゃう勿体ないと思ってさりげなくものすごく自然に恭平のアイスまで食べたら、本気で怒られた。


「お前俺の食ったろ」

「え?」

「とぼけてんじゃねえよブス」

「いやブスではないし」

「マジふざけんな」

「パン3つも食べてたじゃん」

「アイス込みで昼飯なんだっつうの」

「まあまあ…」


滅多に(本気で)怒らない恭平が怒るときは、大体私が恭平のデザートを食べたとき。

こないだ恭平の家行った時なんて、冷蔵庫に『きょ』って書いてあるプリンが入ってて、並ばなきゃ変えないプリンだったから思わず食べたらマジ切れされた。

要は、恭平は梨香が大事、とか言ってるけど、多分コイツは私よりデザートが好きなんだと思う。

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