春風夏希の異変
ガラガラ…
俺たちは、学校のドアを開ける
日曜日は、何事もなく終わり 今日からまた月曜日だ…
するといつものように 俺の横の席に春風が居る 変わりばえしない学校風景が展開されている
俺は、何も言わずに席に座る あまり春風と関わりたくないと言うのもある
あの日 俺は、春風と一緒に居たあの日 俺は、確かに春風を見て胸が痛くなった その意味することは、恋かもしれない…だけど 信じたくない 絶対 嘘だと思いたい
(地獄と天界は、敵同士…恋なんかに落ちたらダメなんだよ…)
だからこそ 俺は、春風から離れることにした 席が横なので 絶対喋らないとは、いかないのだげれど 自分の口からは、喋りかけないことにした…
いつもは、俺が着いたと同時におはよーとか言ってくるんだけど今日は それがない…かなり助かった
(チッ…暇だな)
俺は、前に居る 中山早苗に話を振ることにした…
「中山…なんか話ないか?」
「はい? なんでしょう 佐藤君 話なら放課後の保健室で…」
「嘘だ…どうやら話振る相手を間違ってしまったらしい…」
「嘘です…今のは、嘘です だから そんな顔しないでください…そうですね…話ですか…佐藤君の好きそうな話だとすると 過去のこととか どうですか?」
「中山から そんな話を積極的に振ってくるとは、思わなかったぞ…言ってみろ…」
(これなら 春風のことを気にしなくてすみそうだ…)
「私もいいかな?」
そう言って 真剣な顔をした春風が俺の真横に来る 突然だったため 俺は、驚く
「なっちゃんも… うん良いよ」
(そういやぁ こいつ忘れてることに対して罪悪感みたいなもの持ってるみたいだったからな…)
「そういやぁ 春風 ゆずは、いない見たいだな? どこだ…」
「えっ…なんか用事があるとかで 今日は、休むらしいよ… 決して天界の用事じゃなく 私達の用事…らしい もしかしたら記憶がないワケもわかるかもしれないって力説してたよぉ」
「なにっ!!!!!」
俺は、思わず立ち上がる
(記憶がないワケがわかるだと…まさか 犯人がわかったのか…それにしてもなぜゆずがそこに辿り着いたんだ…急展開過ぎんだろうが…)
「ちょちょっと 秋冬君 みんなが見てるよぉ…」
小声で春風が俺に言ってくる
「あぁ…ごめ・・・」
言い切る前に止まる
(なぜ 俺がすんなり謝る言葉を口に出してんだよ…)
「秋冬君どうしたの? なんか今日 いつもの秋冬君らしくないよぉ…」
そう言って 春風が俺の顔を覗き込んでくる
ズキン!!!
「お…お前だって いつものお前らしくねーだろうが…」
「えっ? 私…う うーんと…えっと ちょ ちょっと風邪気味なんだと思うよ…あははは」
(ごまかしきれてねーぞ…)
やはり 春風は、俺を意識している 多分これは、間違いない…
(相手のことなんか知りたくねぇ…知りたくなかったのに…なんで俺は、ここまで…)
これじゃあ 中山早苗もおかしいことに気づくんじゃねーかと中山早苗の顔を見る 中山早苗は、どうにかしてこの場を戻そうかと必死に考えてるようで そこまで頭がまわらないらしい
俺は、ちょっと安堵する
(ここは、あれだ…ゆずに着いて行き 早く真相を知った方がいいのかもしれねぇ… そしたら俺の全部の過去が元通り その過去により 今の記憶を消そう…)
これしかない これしかないのだ 俺が春風のことを忘れる 感情を忘れることしか今は、できない… 決して恋愛感情なんかにうつつをぬかしてたらダメなんだ
「チッ…今日 学校早引きすんぞ」
「えっ! はい? 秋冬君 急にどうしたのぉ?」
「佐藤君 いきなり急ですね」
春風も中山もビックリしてる様子だ 俺の急な言葉に
「ゆずに着いて行くぞ… 俺らは、過去の記憶を取り戻したいと言う理由で集まったよな?」
2人は、コクっと頷く
「なら話は早い… あいつばっかりが良いとこどりされてもなんか嫌だしな… それに自分の目で犯人の目を焼きつけたいのもある」
「おおーっ… 秋冬君らしい感情・・・」
「なに 感慨深いこと言ってんだ…お前らも来るんだ… わかってんだろうな?」
それを言うと 知ってるよと言って 廊下に出る 同じく中山早苗も
「今の言葉は、褒めてるんだよ 秋冬君」
「やっぱり 佐藤君です」
(なんだ こいつらもやる気じゃねーか…)
「チッ…んじゃあ手っ取り早く あいつ連れてゆずんとこいくぞ…」
『オオーッ!!』
「かけ声入れんな…キモイ」
(しかもハモってるし…)
「かけ声でやる気出してるのに 秋冬君 横槍入れないでよぉ 」
「チッ…知ったことか」
俺は、勝手に足を進める 後ろを確認せずに 2人は、待ってよぉとか言って 駆け寄ってくる・・・なぜ? 急に歩いてたか…限界だった このまま 春風と喋っていたら もう この俺自身のキャラに戻って来れないと思ったから それほどまでも俺は、春風を見てドキマキしていた
(チッ…認めねーぞ)
・・・・・・・・・・・・・・・・・
中野PART
ガラガラ…
「おはよう 中野さん」 「おはよー 中野っち」「おはよう」
私がドアを開けると みんなが朝の挨拶をしてくれる
私もそれに答えて みんなにおはようと言う
なんか今日は、朝から清々しい いつものことだが 気持ちがいい
(こういう雰囲気 なんかいいですね…)
そのままの気持ちを維持しながら 私は、自分の席に戻ろうとした時だった
ガバラァァァァ!!!
「おい!! 中野 行くぞ!!」
「はっ…はい?」
私は、後ろを振り向く
「チッ…こんなことしてる場合じゃねぇ…早く来やがれ」
「せ…先輩 いきなりなんですか…って ちょちょちょっと」
私は、軽々しく持ち上がり 築いたら お姫様だっこをさせられていた
周りのみんなから おおーっととかヒューヒューとか囃し立てる
(は…恥ずかしい)
私は、顔が赤くなる
「せ…先輩 あのー…本当に恥ずかしくて恥ずかしくて…はっ 離してくださいぃ…」
「なにっ? 離せだ!! 離せるか!! 」
カァァアアア・・・・・
(佐藤先輩…あなたは、今 ここで何を言ったか 知ってるんですか…)
「じゃないとお前 足が遅いから…チッ…行くぞ!!!!」
「はい? 足が遅い!! 失礼な…私は、学校では…って せ 先輩 私をどこに連れ出す気ですか…ももう学校 始まりますって…聞いてない!! うぇぇ〜ん 先輩に犯されるよ… シクシク…」
教室の中は、ハテナマークでいっぱいになったことだろう
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「えっ!? それならそうと言ってくれればよかったじゃないですか…私 てっきり・・・」
あの後 必死で逃げようとする 中野を無理矢理 運んで行って 春風と中山早苗が訳を話した
「早く知りたいんだよ…チッ 」
「佐藤先輩 ちょっとせっかちすぎやしませんか… どう考えても あんなことされたら そう叫ばざるおえないでしょうが」
周りの目が痛かったというか 中野に同情した目を送っていた気がする
「そうやって 世の男共を手玉に取って来たんだな… とんだ悪魔だ」
「せ…せんぱい! 変な勘違いしないしないでください そんなことやったことありません」
「ちょっと 2人共 落ち着きなよ 秋冬君も秋冬君で なぜにお姫様だっこなの?」
「中野の太腿の感触を味わいたかった…」
それを言うと その場に居るみんなの顔が赤くなる
「せせせせせんぱい!!!」
「秋冬君そんなことしたらダメなんだよ… ダメだよ…」
「佐藤君 私ならいつも感触 味合わせてあげるのに…」
「って 言うのは、嘘だ…」
それを言うと 春風と中野が安堵する
「先輩のジョーダンきついです…」
「ふぅ…本当よかったよぉ」
(こいつら案外 感情 コロコロ変えて忙しいんだな…)
「んじゃあ…行くか…」
と そこに ゆずが急に現れる 音もなく
(ふっ…やっぱりな 絶対来ると思った…)
俺に過去の記憶について聞いて来た奴が1人で行けるわけがない
俺と春風と中山早苗は、あまりビックリしなかった けど中野は、うわぁーー!! とか素っ頓狂な声をあげて 後ろに尻餅をついた
「中野…見えてるぞ」
優しく俺は、教えてあげる
「はい? 見えて・・・って!!!」
中野は、すぐさま 足を閉じる ここに居る糞の男子達だったら 凝視してるところだろう
そして 中野は、スカートの埃を払いながら立つ
「男子に男子に私のパンツが見られちゃった…グスグス お嫁に行けない…行けない うぇぇん!!」
と言って急に泣き出す
(本当 人間界の女子って めんどくせぇ…)
春風がよしよしと中野の頭を撫でている
「パンツ見られたからって いちいち泣くな…めんどくせぇ…」
「パンツって…パンツって 言われた…」
「秋冬君 それは、ないんじゃないかなぁ…秋冬君は、見ちゃったんだから謝らないと…」
「はっ?」
(なんで俺が悪いみたいなことになってんだ? 俺は、足を広げてた 中野に優しく言っただけなのに…なんで? どこが悪いんだよ…)
春風の目は、真剣だ…
「意味不明…どこが悪いんだよ…」
今も中野は、泣いている 心を穢されたとかいろいろなことを言ってる
(チッ…どいつもこいつも)
「秋冬君…」
なぜか春風は、俺に悲しい目を向けている
(ここで こんなことやってる時間なんてねーのに…なんだよ こいつ…本当意味わかんねー なぜ そんなに春風は、俺のことを謝らせたいのか…)
「はいはい…わかったよ すいませんでした これでいいんだろう?」
「もっと感情を込めてやってよ…」
(チッ…早く終わらせるためだ)
俺は、中野の顔を覗き込む もう泣いてはいないみたいだ
「悪かったな…」
「えっ! あの…私も取り乱しちゃって すいませんでした…」
そう言って 中野の顔は、赤くなる
「春風 これでいいよな? 気が済んだか?」
「・・・・」
「おい!! 春風!!!」
「わぁ…あっ ごめん 聞いてなかった うん 秋冬君 じゃあ行こうか…」
そう言って 先に歩き出す
(やっぱり あいつなんか変だ…)
そう言って春風の後ろ姿を見る やけに悲しそうな背中をしていた こんな俺でも心配してしまう
(チッ…なんで俺があんな奴を心配しないと・・・うぅ…)
日に日に増している 胸の痛さ そして この感情は、ミラをも凌駕する痛さだと今 気づいた
(俺…もしかしたら 昔 あいつに告白を受けたような・・・チッ…まぁいいや 今 考えることでもねーしな…)




