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モチベーションも続かないままに、惰性でようやく6話といったところでしょうか・・・・・・
終わりは来るのか・・・・・・。がんばりてえ
「だからね、町長さん? 僕は、眠ればいいんだって思ったんだ」
町長さんの家の食卓です。
ネロがナイフとフォークを高く掲げてそう言ったことが、町長さんにはまるで分かりませんでした。
「ごめんね、ネロ。もう一度聞かせておくれ? きみは、眠ることができるのかい?」
町長さんはネロの腕をゆっくりと降ろしながら、もっとゆっくりとそう尋ねました。
「う~んとね、だからね・・・・・・。なんか、やってみたらできたんだ!」
「それで・・・・・・。なんで眠ろうと思ったんだっけ?」
町長さんは、ネロの周りに散らばったパンくずを払いながら、もう一度ネロに尋ねました。
「だって、レムは眠ってる世界にいて、僕は起きてる世界にいるでしょ? だから、僕はレムと遊べないでしょ?」
「・・・・・・ああ」
「だから、僕も眠ってる世界に行けばレムと遊べるかなって思ったんだ!!」
「・・・・・・それで、どうだったんだい?」
ネロのお椀にミルクを注ぎながら、町長さんは続けて尋ねました。
「レムと遊んだよっ!!」
「レムはなんて?」
白くなったネロの口元を拭き取りながら、町長さんは最後にそう尋ねました。
「レムはねえ、僕のことが好きだって! 僕もレムが好きだよ!」
「・・・・・・そうかい」
「あと、町長さんも好きだって-!!」
「・・・・・・・・・・・・」
ネロが見ていたというのは、本当にただの夢なのでしょう。町長さんはそう思っていました。
だってレムは町長さんとずっと一緒にいて、その間ネロはひとり置き去りにされていたのですから。しかも、レムはネロのことを今まで知りもしなかったのです。あの、毎日のようにレムを訪ね、レムに話しかけていた少年のことを、レムは「誰なの」と聞いたのです。
「ねえ、町長さん? ・・・・・・今日もダメなの?」
「ダメだよ。ネロ」
「そんなあ・・・・・・。僕、またレムと夢の中で遊びたいのに・・・・・・」
目を覚ましてからのネロは、とにかくレムと会いたがりました。夢の中ではレムと遊べる。そう思い込んでいるネロは、すぐにでも、またお屋敷で眠っているレムにまた会いたくて仕方がないのでしょう。食事も終えたネロは、いよいようずうずとし始めていました。
「でも、ダメなものはダメだよ」
・・・・・・そう。あんなことがあった後です。そう簡単に、またレムを起こしてしまう訳にもいかないと、町長さんは思っていたのでした。それに・・・・・・。
(ネロは・・・・・・本当に自分の母親のことを・・・・・・?)
そう。また誰かが眠ってしまっては、本当に取り返しのつかないことになってしまいます。町長さんは、それを本当に恐ろしく思っていました。
どうしてネロはお母さんのことを忘れてしまったのでしょう。どうして、お母さんは眠りについてしまったのでしょう。再び目を覚ますことはあるのでしょうか・・・・・・。何もかもが分かりません。それに、これから何が起こるかだって、まるで見当もつかないのです・・・・・・。
「だから・・・・・・ネロ。辛いことだろうけど・・・・・・」
町長さんは、悲しい目でネロを見つめます。
「レムのことは、もう・・・・・・忘れなさい」
町長さんは悪くはありません。町長さんだって、自分のことを自分でそう思っています。でも・・・・・・。町長さんは・・・・・・。
レムに二度と目覚めて欲しくはない。そう、確かに思ってしまっていたのでした・・・・・・。
「見てごらん、ネロ。雪だよ」
俯きがちにネロが見やった窓の外では、かすかに白い結晶がちらついていました。
町に、冬がやってくるのです。
次回あたりから、話を急展開にしていきたいなとおもひます。いい加減、真・町長さん無双は飽きてきました